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65話 キスに邪魔はつきもの

 あやめの家に着くと一久が、九郎と玉枝を夕食に誘う。一久は九郎に言う。

 「九郎君、部活はどうだった。」「楽しく過ごせました。」

 「あやめとは進展していないのかい。」「それは・・・」「お父さん、私に聞けばいいでしょ。」

 「あやめは、教えてくれないだろ。」「当たり前です。」

 「九郎ちゃんとあやめちゃんは、肩を抱けるようになったのよね。」

 「玉枝さん。」「そうか、玉枝さんに聞けばいいのか。」

 「玉枝さん、教えちゃ嫌です。」「あやめちゃん、お父さんは2人のことを心配しているのよ。」

 「そうだよ、あやめ、まだキスもしてないなんてお父さん心配だよ。」「それは、私と九郎が決めることです。」

この後、玉枝は九郎がマイクロバスの中であやめにキスをしようとしてできなかったことを一久に話す。

 一久は、九郎の奥手ぶりを嘆く。夕食はキスの話で盛り上がる。

 夕食後、一久は、まじめな顔になり、九郎と玉枝に話す。

 「お祓いの話が来ているんだが、危険なようなんだ。」「何かあるのですか。」

 「霊に憑りつかれているという話なんだが、お祓いをした神主が亡くなっている。」「どんな霊が憑いているか見ればよいのですね。」

 「お願いするよ。」「強力な霊が憑いていても私がいるから大丈夫よ。」

玉枝は自信満々に言う。お祓いは2日後に行われることになっている。

 九郎たちは話が終わると晩酌を始める。彼はそのままあやめの家に泊まることになる。彼はあやめの隣の部屋で寝る。玉枝はネグリジェ姿で添い寝する。

 翌朝、あやめが九郎を起こしに行くと九郎と玉枝は眠っている。玉枝は九郎の右腕に抱き着いている。あやめの心にもやもやが起きる。

 彼女は、九郎の左側に横になり、彼の左腕に抱き着いてみる。そして、九郎にささやく。

 「九郎、朝よ。起きて。」

九郎は、目覚めるが、ボーッとしている。起き上がろうとするが起きれない。体が動かないのだ。

 彼は、これが金縛りと言うものかと思う。そして、動こうとあがいているうちに、彼の左側にいるあやめに気づく。

 「あやめ、何しているの。」「玉枝さんだけ、ずるいわ。」

九郎が右側を見ると玉枝が抱き着いている。九郎は玉枝に言う。

 「玉枝さん、起きてください。」「目覚めのキスをしてちょうだい。」

 「しません。早く離してください。」「キスがないと起きれないわ。」

あやめが九郎に聞く。

 「玉枝さんとしているの。」「何もしてないよ。」

 「目覚めのキスも。」「してません。」

 「本当。」「あやめにだったら、キスしたいよ。」

 「したら、離してあげてもいいわ。」「キスするよ。」

あやめは目を閉じる。九郎はあやめに顔を近づける。その時、彼は一久が部屋を覗き込んでいることに気づく。

 「一久さん、これはその・・・」「私に構わないで続けてください。」

あやめの眉が吊り上がる。

 「お父さんの馬鹿!」「あやめ、ごめん。」

 「九郎ちゃん、もう少しだったのにね。」「玉枝さん、起きているなら、離してください。」

九郎とあやめのファーストキスは、お預けになる。


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