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27話 あやめは僕のもの

 朝、九郎が起きると玉枝は料理をしている。彼は気分がすぐれない、昨日悩んで寝たためか夢見が良くなかった。

 玉枝がテーブルに料理を並べる。今朝はご飯とマイワシの丸干しを焼いたものにみそ汁である。

 マイワシは良く脂がのっている。玉枝が料理の出来を聞いてくる。

 「おいしい?」「うん。」

 「九郎ちゃん、今日はテンションが低いわね。」「ちょっと夢見が悪かったんだ。」

 「私と一緒に寝て夢を見直そうか。」「結構です。」

気を許すと玉枝はすかさず誘惑してくる。油断は禁物である。玉枝が人間の女性だったら今頃、九郎はダメ人間になっているだろう。

 それだけ玉枝の色香は強烈である。九郎は玉枝を見ないようにして着替える。玉枝もネグリジェ姿から服を変える。

 今日は紺のセーターに白のスリムパンツである。玉枝は九郎に聞く。

 「似合うかしら。」「きれいだよ。」

九郎は正直に答える。玉枝はスタイルがいいのでどんな服を着ても似合ってしまう。

 しばらくするとインターフォンが鳴る。ドアを開けるとあやめが立っている。あやめは玉枝を見て言う。

 「玉枝さん、服に会ってますよ。」「ありがとう。」

 「九郎ちゃんは、あやめちゃんに何か言ってあげないの。」

あやめは薄い黄緑色のワンピースを着ている。九郎は感想を言う。

 「かわいいよ。服、似合っているよ。」「ありがとう。」

あやめは嬉しそうに礼を言う。アパートを出ると玉枝は気配を小さくして見えなくなる。

 九郎とあやめは並んで歩く。あやめは玉枝に聞く

 「玉枝さんのファッション、どこの情報なの。」「適当よ。想像したらその服になるの。」

あやめは感心する。九郎はネグリジェ姿を何とかしてほしいと思う。

 大学に入るといつものようにつよしが声をかけてくる。

 「おはよう、お二人さん。」「つよし、おはよう」「おはよう、木村君」

 「九郎、昨日部活面白かったぞ。」「何かあったの。」

 「おまえと社本さんの関係の話になったんだ。みんな、泣いていたぞ。」「さっぱりわからん。」

 「九郎と社本さんは相思相愛と言うことになったんだ。」「そうなんだ。」

 「驚かないのか。」

つよしが2人を見ると赤くなってうつむいている。つよしはからかうのをやめておく。

 3人は教室に入り席に着く。すると男子があやめの前に立つ。九郎が男子に言う

 「あやめは僕のものだから構わないでくれ。」「だれがおまえのものだ。」

男子の前であやめは九郎に抱き着く。男子はよろめくと涙目で去って行く。九郎は魂が抜けそうになっている。

 「九郎ちゃん、やるじゃない。」

玉枝が褒める。あやめは抱き着いたまま離れない。あやめは抱き着いたはいいが、どうすればよいのかわからなくなって固まっている。

 九郎とあやめは、教室に入ってきた教授に注意されるまで抱き着いたままでいた。

 うわさはすぐに広まる。あやめにプロポーズしてくる男子はいなくなる。

 2限目前の休憩時間、あやめは謝る。

 「急に抱き着いてごめんなさい。」「うれしかったよ。僕こそ変なこと言ってごめん。」

 「うれしかったの。もう1度言って。」「恥ずかしいよ。今度はちゃんと言うね。」

つよしと美琴は2人の甘い雰囲気に当てられる。


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