22話 あやめ
九郎とあやめは極地のコーナーへ行く前に昼食を摂ることにする。九郎はレストランに入ろうとする。するとあやめが言う
「お弁当、作ってきたの。」「本当、うれしいな。」
フードコートで弁当を食べることにする。あやめの弁当は卵焼きにから揚げ、アスパラのベーコン巻き、ミニトマトである。
「おいしいよ。特にアスパラのベーコン巻きがいいな。」「喜んでもらってよかったわ」
「私のお弁当とどちらがおいしいのかな。」
玉枝が九郎に言う。弁当を食べ終わると2人は極地コーナーに行く。こちらではペンギンが展示されている。
「ペンギンかわいいな。」「うん、かわいいね。」
九郎はあやめの方がかわいいと思いながら言う。
次にイルカの水槽にに行く。この上はイルカショーの会場になっており、ここはイルカの水中の動きが見えるようになっている。
観覧用のベンチが並んでおり、2人は座る。九郎は2人の霊に気づいている。彼はまた襲ってこないかと緊張する。
「あの霊たちは大丈夫よ。」
玉枝が九郎に言う。九郎が黙っているとあやめが体を傾けて九郎に体を預けてくる。九郎はドキッとする。
「翼君、何考えているの。」「社本さんのこと。」
「嘘ね。」「嘘はつけないか。霊が2人いるから気を取られていた。」
「見えるって大変ね。」「さっきは、社本さんを助けることが出来たよ。」
「それもそうね。」「そろそろイルカショーが始まるから行こうか。」「はい。」
九郎とあやめは上の階へ移動する。イルカショーの会場は家族連れで込んでいる。2人は通路で立ってショーを見る。
ショーに見とれていると玉枝が言う
「初めて見たわ、イルカすごいのね。」
ショーが終わると2人は売店に入る。あやめは家への土産を買う。あやめはハコフグのぬいぐるみを気に入る。
しかし、値段が高いのであきらめる。代わりに2人はハコフグの小さなぬいぐるみの付いたキーホルダーをお揃いで買う。
九郎とあやめは水族館を出ると外にある公園に行く。ここはに日曜日にかかわらず、人はまばらである。
あやめが九郎に言う
「説明してくるのね。」「するけど、驚かないでね。」「分かったわ。」
「玉枝さん、お願い。」
玉枝は気配を少しだけ強くする。すると九郎の横に玉枝が姿を現す。
あやめは突然現れた美しい女性に言葉を失う。九郎は玉枝を紹介する。
「こちらは玉枝さん、いつも一緒にいるんだ。」「玉枝です。九郎ちゃんがお世話になっています。」
「・・・」「社本さん大丈夫。」
「ええ、玉枝さんは霊なの。」「私は怨霊です。」
「怨霊!翼君、大丈夫なの。」「僕たちを助けてくれたのは玉枝さんだよ。」
「青い炎は玉枝さんがやったの。」「燐火と言うそうだよ。それに料理を作っていたのは玉枝さんなんだ。」
「本当に怨霊なの。こんなにきれいなのに。」「あやめちゃんいい子ね。」
「九郎ちゃん、私が説明するわ。」「お願いするよ。」
「私は、霊を見える人を探していたの。そして九郎ちゃんを見つけたの。」「どうして探していたのです。」
「長年生きていると1人はさみしいのよ。それで九郎ちゃんと生活しているのよ。」「翼君とはどういう関係なんですか。」
「同棲しているの、混浴して、添い寝しているわよ。」「なっ。」「玉枝さん!」
九郎は玉枝に説明を任せて失敗したと思う。九郎はあやめに言う。
「何もやましいことしていなよ。」「混浴しているの。」
「しているけど体洗ってもらっているだけだよ。」「添い寝してもらっているんでしょ。」
「してくるんだよ。」「ふ~ん。」
あやめの目が吊り上がり、九郎を冷たい目で見る。九郎は終わったと思う。
「あやめちゃん、大丈夫よ。あなたの九郎ちゃんとったりしないから。」「わ、私のじゃありません。」
「九郎ちゃん、全然、手を出さないのよ。こんな美女が目の前にいるのに失礼じゃない。」「手を出さないのですか。」
あやめは九郎をじっと見る。
「女性に興味がないというわけではないから。社本さんに興味あるし、変な意味ではないよ。かわいいなーとか・・・」
九郎は必死に言い訳をする。あやめが言う。
「玉枝さんには名前で呼ぶのね。ずるいわ。」「え~と、社本さんのこと名前で呼べばいいの。」
「あやめと呼んで。」「あやめ。」
あやめは九郎にハグして言う
「九郎、もう一度。」「あやめ。」「はい。」
九郎の心臓はドキドキしている。あやめは反則級にかわいいと思う。




