155話 手をつなぐ
九郎とあやめは、大学へ出かける。玉枝は気配を小さくして見えないようになりついて行く。
あやめはアパートを出ると九郎の手を取る。2人は手をつないで歩く。これまで手をつないで歩いたことはなかった。
九郎は、あやめと手をつないで歩けて新鮮な気持ちになる。大学に入るとつよしと美琴が声をかけてくる。
つよしが九郎に言う。
「今朝はどうしたんだ。手をつないでいるところを初めて見たぞ。お熱いな。」「僕も新鮮な気持ちだよ。」
あやめが説明する。
「私、九郎の所で暮らすことになったのよ。」「同棲を始めたのか。」
「だから、手をつないで歩くことにしたの。」「うらやましいな。でも、お父さんが悲しむだろ。」
「私は、九郎といることを選んだのよ。」
美琴はあやめが随分攻めているなと思うと同時に九郎に嫌がられないか心配する。
同棲すればお互い、これまで見えたいないことが見えてくることになる。2人はそれに耐えられるだろうか。これまで同棲のことを考えて来ていた美琴は気になる。
あやめは玉枝と張り合っているので、九郎のことは良く見えていない。しかし、九郎にはあやめのこれまで見せなかった顔を見ることになる。
4人は教室へ行き、講義を受ける。昼になるとつよしと美琴は学食を食べるが九郎とあやめはお揃いの弁当を広げる。
つよしは九郎に言う。
「お前たち見せつけるな。僕もみこの手作り弁当食べたいぜ。」「一緒にいるから弁当はお揃いになるんだよ。」
「3食社本さんの手作りか。いいなー」「あやめは料理が上手だから楽しみだよ。」
「つよし、私がお弁当作ってこようか。」「みこ、本当うれしいよ。」
「私、料理下手だから覚悟していてね。」「せめて食べられるものを頼むよ。」
つよしは美湖の言葉に青くなる。
九郎たち4人は午後の講義の後、ハイキング部に向かうがクラブ棟は立ち入り禁止になっている。
いまだに学祭を中止に追い込んだ騒ぎの原因は不明のままだ。




