131話 そろそろ学祭
お祓いが終わって、美琴も無事と分かり落ち着いたところで、九郎と玉枝、つよしは帰宅する。歩きながらつよしは九郎に言う。
「九郎は、バイトでお祓いの手伝いをしているのだろ。」「そうだよ。一久さんに頼まれたんだ。」
「危険じゃないのか。」「確かに危険だよ。今日も霊が弱かったからいいけど、強かったら大変なことになっていたかもしれないよ。」
「九郎は大丈夫なのか。」「僕は見えるから危険な時には逃げるよ。」
「でも、仕事だろ。」「一久さんも、危険かどうか判断するために僕に手伝わせているだよ。」
「今日はごめんな。」「みこが無事でよかったよ。」
つよしは気持ちを切り替えるように伸びをする。彼は九郎に言う。
「そろそろ、顔出さないとな。」「みこのお父さんのこと。」
「学祭のこと忘れているだろ。」「あっ、部長が返事を待っている。」
「明日は部室に行かないとな。」「みんなで行こう。」
「それで玉枝さんは、今日も泊まって行くのか。」「そうだよ。」
「うらやましいな。」「いい加減にやめないとみこに言うぞ。」
「頼む、黙っていてくれ。」「分かった。」
九郎はつよしと別れてアパートに帰る。彼が風呂に入ると玉枝が裸で入って来る。玉枝は九郎に言う。
「学祭楽しみね。」「屋台の休み時間にあやめと回れたらいいな。」
「私と回る選択肢はないの。」「玉枝さん、部長がいるよ。」
「熱烈なのはわかるけど、九郎ちゃんの方がいいなー」「部長に言ったらだめだよ。」
「諦めさせるのも部長のためよ。」「そうかもしれないけど・・・」
九郎は部長をふるには、はっきりと言わないとだめなことは分かっている。しかし、部長の落ち込む姿は見たくなかった。
その夜、九郎は夢を見る。玉枝が部長をふって、九郎に愛の告白をする夢だった。
夢から覚めるとまだ夜中である。九郎の目の前には添い寝する玉枝の美しい顔がある。
彼は夢が心の奥底の気持ちを代弁しているのではないかと心配になる。
そして、自分に頭の中で言い聞かせる。これは怨霊、これは怨霊、これは怨霊・・・
しかし、九郎には、玉枝を大切に思う気持ちがあることを知っている。




