剣聖の弟子です、一応
鳴海城
大手門
(これから首実検に行きます)
「おまえ。どういう身体してんだよ?
飛んでくる矢を全て斬り落とし、深田をものともしないで突撃するとか。
尋常じゃねぇ」
もう2刻以上たっているのに、利家はまだしきりに感心している。
後ろに付き従うアゲハが胸をそらして自慢げにしているのがわかる。
「いや、ちょっと1年間ほど、上野国(群馬県)の上泉伊勢守信綱の道場でもんでもらったんだよ」
「剣聖か! だが1年であれほどになるはずがないだろっ!」
俺を連れて来た坊主姿の変な奴に、遺伝子レベルで変えられているようで体が自由自在に動くんだよ。ヒトの遺伝子、勝手にさわるなよ。一応これのお陰で、何度も命拾いしたけどね。
「だがな。
新陰流の奥義は身につけられなかった。
さすがに転は真似できないなぁ」
転が本当にあったのにはびっくりしたが、周囲の敵を瞬く間に素手で全員スッ転がすとか、神かよ。
さすが剣聖。
いや、もう剣聖じゃないよな。
剣神だよ。
そろそろ『流浪』するんだよな、正史では。
ゲームの中だけの技でないことは、新発見だったので嬉しかった。
時間があったら、また行って教えてもらおうかな。
「その信綱殿、槍はやらんのか?
教えてもらいたい!」
「やっているね。
だがその内、奈良の興福寺で多分宝蔵院流が出来るから、そっちの方が近くていいな」
よくわからない顔をしていたが利家は満足したようでなにより。
大分俺の口先三寸に慣れてきたようなので順応性は一流ですね。
「あの鉄砲は、普通じゃないな。
腕前も凄いが、種子島とは別ものか?」
これは対信長戦の極秘兵器だから。
これないと圧迫面接で踏みつぶされて、「末筆ながら、貴殿の今後益々のご活躍をお祈り申し上げます」と、お祈り手紙を渡されるのは目に見えている。
「まあ見ていなって。
ところで又左よ。
義元の首実験の時、一緒にいていいんだよな?」
「もちろんじゃねぇか。
お前がいなければ、この首取れなかったぜ」
右手に吊るした血まみれの頭陀袋を持ちあげて、晴れ晴れとした良い笑顔を向けてくる。
うん。
こいつはいい奴だ。
ずっと仲良くしておこう。
こいつは秀吉の生涯の大親友だったはず。
こいつとつるんでいれば、豊臣秀吉も友達になれるのか?
秀吉もいい奴ならいいんだが。
秀吉とも仲良くなって、楽して大大名に!
これで俺の野望に一歩近づくか?
『光秀の野望』
あとでボードゲームつくろう!
果たして魔王信長に採用されるのか?
いったいどんな採用条件なのか?
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