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85.仕組まれた殲滅戦


 あっという間に、最後の戦いの時がやってきていた。そんな重要な局面に、私たちは待機室で歓談をしていた。


 当たり前だが、待機室で聞く戦いの流れは、私たちが優勢だった。ただ他の姉妹たちが欠けていったという情報も流れてくるし、その全てが喜べるものだけではない。


「ねぇ、なにしてるの?」


「加勢に行きたい……」


「待機を命じられているでしょ!? いつもみたいに……っ、命令に従いなさい!」


「…………」


 姉に言われて、私は下がる。どうしてか、むずむずとして、いてもたってもいられなかった。

 いつもは、命令に不満をあらわすことの多い姉だが、今回ばかりは必死に私のことを止めるのが、不思議だ。


 そして、なぜか命令に反して戦いに向かおうとする自分のこともわからなかった。


「いい。これからあなたが行っても大したことはできないの。だから、あなたはここでおとなしくしてるの。お願いだから、おとなしく――( )


 ――警報が鳴る。


 〇〇三のコードだと、送られてくるデータは知らせてくる。

 それが意味することは、この拠点への外敵の侵入。


「どうして……?」


 この拠点は、『対時空歪曲結界』により、囲まれて守られている。内部への『空間短縮』での接近は不可能。

 まず、外敵の接近であるコード〇〇一。次に外敵からの攻撃であるコード〇〇二という順番で、コード〇〇三が発せられるのはそれよりも後のはずだ。


 想定外の事態に、混乱する。


「いいえ、『対時空歪曲結界』も、全方位を囲んでいるわけではない。地面と垂直に、四方を囲む壁が作られていて、それが大気圏内をずっと伸びているようなもの。穴ならある」


 確かに、真上からなら、『対時空歪曲結界』の影響を受けずに『空間短縮』で進むことが可能だ。


「大気圏……天然の蓋がある。いくら『空間短縮』でも、大気圏への垂直な侵入なら、大気の断熱圧縮により燃え尽きるはず……」


「理論上……『時空歪曲』を扱えば、燃え尽きずに侵入は可能。いえ、あくまで理論上だけど、現実に起こっているならそう考えるべきだわ!」


 姉の言葉を受けてデータベースで調べてみれば、理論上可能であるが、現在の技術水準では不可能だと結論づけていた論文があった。

 それを行ったとなれば、敵の評価を引き上げなければならない。


「でも原理上、『時空歪曲』は直線での『空間短縮』しか不可能。宇宙からなら、どこか中継地点が必要……。人工衛星なら、常に監視をされているはず……この拠点の真上を通るなら……」


「なら、人工じゃない衛星はどう?」


「え……?」


 外へと出る。

 宙を見上げる。真上には、そう、()が昇っていた。


「おそろしいわ。こんなことを思いついたとして、実行できる機会が訪れるとは限らないのに……。敵は天に恵まれているとしか思えない」


 あるいは、周到に計画したか……。

 そうであるならば、敵は全てを見通す力を持っているとしか考えられない。


「とにかく、倒さないと……」


「ええ、ここを狙ったのならば、きっと核融合炉が狙いよ。あれは世界の電力の三十パーセント賄っている。もし、敵の手に落ちれば、それは世界に対する脅しにもなりうる」


「急がないと」


 敵の侵入のポイントのデータを受け取る。いくつもある。

 まずは一番近い地点へ向かうため、『アンチグラビティ・リアクター』を起動する。


「ここは、わかれて対応、各自で敵を殲滅する。担当を割り振ったわ」


「了解」


「それと、殲滅が終わり次第、そう……核融合炉の制御室へ向かうこと。私が先に向かっているから、後で合流ね」


「わかった」


「じゃあ、散開」


 そうして、空から降ってきた敵への対処にあたる。もともとある防衛設備によって、充分に足止めはできているようだった。


 いつもと同じで、敵は弱い。『アンチグラビティ・リアクター』を使用すれば、あっさりと撃破できる。


 多少こちらが手薄とはいえ、この程度なら対応は可能だろう。最後の抵抗ということなのだろうか。


「私の名は、『ウラヌス』。我ら『太陽の守り手』において天王星の名をいただく七番目の『十星将』にして、もっとも疾き敵を屠りし者なり」


「変なの。いた」


 空を飛んで、こちらを見下ろす女だった。

 ただどうしてか、人間のその両腕を鳥の翼に取り替えたような姿をしている。しかし飛行は『時空歪曲』によって行われているようだった。

 ものを持ちづらくなるだけだろうに、どうしてそんな姿をしているか、私にはわからなかった。


「ふん、貴様もアンドロイドだろう。どうして人間なんかに……あんな最低なクズどもに従っているのか、理解に苦しむ」


「敵は倒す」


 私は『氷翼』を開いた。

 同時に重力を消し、地面を蹴る慣性のままに敵へと突撃をする。


「はは、思った通りだ。動きが単調……直線的だ! どうやら、『時空歪曲』での軌道のように、微細な動きはできないようだな!」


「……!?」


 私の突撃は、敵の『時空歪曲』での急激な加速の動きにかわされてしまう。

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