12.エピローグ『雷霆』
「戻ったわ……!」
時空を曲げ、再び姿を表した少女だった。
「リアクターは……いや……」
尋ねかけて、それに意味がないことを悟る。『白翼』の少女は、意識のない女を、『雷霆』の天使を背負っていたからだ。
「リアクターなら、ここっ! ほら! これっ!」
自慢げに、彼女は手に入れた『円環型リアクター』を、俺に見せつけてくる。
相当に嬉しいのだろう。けれど、首都の管理コンピュータからキーを奪取しなければ、この『円環型リアクター』は使えない。彼女の喜びはぬか喜びだ。
「それで……その……背負っているそれは……」
彼女が背負ってきた大天使は、なぜか全裸だった。俺の目には毒だった。
「今は一時的な休止状態。捕まえたから、あとで起動し直して尋問をするわ! 情報を持っているだろうし……」
「なんで……服、着てないんだ?」
「あ、あの核の爆発で、一時的な休止状態になったのよ! その時に燃えたわ……。え、ええ……」
なぜか俺から目を逸らして、ぎこちない返答だった。理由はわからないが、解決できたのなら、それでいい。
ただその裸体は、よく見てはいないが、煤けている様子はなく綺麗だった。
「そうか……」
「でも! よかったわっ! 私のリアクターが、こうして手に入った……っ!」
「ねぇ、銃、持ってないかな?」
レネが寄ってきて、目標達成を喜ぶ少女に尋ねかける。汚いものを見るような目で、停止したアンドロイドを見つめていた。
「ええ、持っているわ! 実弾のやつならまだ……! なんに使うの……! はい、これ!」
レネの言葉に、少女は懐から銃を取り出し、素直に渡そうとする。その前にレネを抑える。
「いや、ちょっと待て! 渡すな! 渡しちゃダメだ!」
「は、放してラル兄……っ! こんなやつ……っぅ、こんなラル兄を奪おうとした女っ! どうなったっていいでしょ……! 私は許せない! 股にぶち込んで、タマ出し尽くして、二度と子供の産めない体にしてやるんだから……っ!」
「……!?!!」
アンドロイドを背負った少女は、身震いのままにレネから距離を離していた。銃は取り落としていた。
「レネ……落ち着け……レネ! 情報が手に入るなら、それに越したことはないんだ。殺す必要は……」
「アンドロイドなんでしょ……っ? だったら子どもが産めなくなるだけじゃ、死なないと思うけど……?」
「いや、それは……っ」
だからといって、レネの行動は倫理的にいろいろ問題があると思う。少なくとも俺は認めるわけにはいかなかった。
「放して……っ! 放してよ……ぉ!」
レネを宥めながら、俺たちは、『白翼』の少女の住処へと案内される。
全てはこれからだった。
登場人物紹介
ラル兄――主人公。
カロ――仕事の後輩。
レネ――幼馴染。妹兼ラスボス。ヤベーやつ。
サマエル――ポンコツ。メインヒロイン(笑)。
ラミエル――わたくしエロいので子ども作れます。わたくし偉いのでその場で結婚できます。
主――事あるごとに自分のせいにしてくる幸薄未亡人ムーブしてた部下が急に結婚してビックリした。
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