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第ニ話 キルモン

  そうそうキルモンのこと話しておかなきゃな。キルモン使った貴族の決闘を見てさ。すげえ語りたいんだけどキルモンのこと知ってもらっておかないと話が進まないから。説明回で悪いけど付き合ってくれると嬉しい。


  これは俺が日本人村で聞いた話と俺の体験から現時点でわかったことなんだけどさ。まずキルモンの運用上の原則ね。


 おっとその前に日本人村ではキルモンは使われてないかったよ。基本農業で自給自足するって考えらしくってさ。農作業するのにもコンバインとかトラクターとか使ってなかったし。


 じゃあ、キルモン原則行ってみよー。


 一、キルモンは動力源を生物の生命力とした道具の総称。


まあ、生命力ってなんじゃい? って話なんだけど気力や体力を合わせたもの、って言われてるけど俺の実感としては性欲の割合が多い気がする。下世話な話だが魔獣といったほうがイメージしやすいかもしれないが、言語、火、道具を使わない知性がないとされる生物でも使える奴はいるらしい。


 ニ、キルモンに使われる素材は植物、土、水、金属、火の五つ、もっとあるかもしれないが俺が聞いたのはこんなところ。


これらを一時的に形を変えることができる。一度に変えられる最大の量は大体自分の体重と同じくらいで変形を維持できる時間と変形させている素材の質量は反比例するようだ。まあ、俺は素材に竹を使ってるんだけど魔術を使っている時の感覚は弓なんかを引いてそれをキープし続けるようなもんなんだ。気を抜くと戻ってるしね。


ちなみに何かを腕ずくで直接触れなくても可能。まあ、普通は遠くても数メートル離れると反応しなくなるらしい。ちなみに俺はまだ直接触れてないと動かせない。


 三、一つのキルモンに魔力を注ぐのに人数制限はない。


だから人を増やせば増やすほど大きな質量のキルモンを動かせるし魔力の。まあどうやって操縦するんだっていうのはあるんだけどさ。貴族たちは見事にそれをやるのよ。


 おっと、いけね、話が逸れそう。今は我慢してもうちょっと周辺情報語るわ。


 ただ、一対一の決闘とかならいざしらず組織的な戦争で運用するのは難しそう。むっちゃ疲れるんだよね。キルモン使うと。まあ、キルモンは貧しきものの武器なんて言葉も聞いたし。肉体労働者のサポートアイテムか酔狂な貴族の趣味の世界って感じかな。


 アニメで見るような巨大ロボみたいなキルモンをたくさん運用できたら世界征服できるんじゃないか、なんて最初は考えたんだけどそうはなってないみたい。そりゃ、そんなもん動かせるほどの大人数を運用するくらいならシンプルにこん棒で殴りかからせたほうが早いよな。だから普通に武器も進化してるよ。まあ、銃とか火薬を使った武器はまだないらしい。


俺は武器には詳しくないけど日本人村ではライフルとかマシンガンみたいなのを担いでる人を見かけたし日本人村が平和を維持するにはそれで充分なんだろう。俺は日本人村でもらった鉄製の認識票を首から下げてるんだけどそれを見せるだけで冒険者ギルドでは丁重に扱われたからだいぶ効果はあるんだと思う。


 それに俺がいるところは島国らしんだけど近くの大陸には頑張れば泳いで行ける距離らしいんだ。とりあえずそんなに近いのにひとつの国になってないってことは魔術があろうが武力は均衡していることなんだろう。


 あとキルモンで面白い話があってさ。なんか聞くところによると俺がいる国、テンブリっていうんだけどさ。そのどこかに古代の文明の遺品で巨大キルモンの指だったんじゃないかって言われてるのが並べられてる場所があるらしいんだよね。で、それが指だと仮定して計算していくとどうやら身長五七メートル、体重五五〇トン位になるだろうって話。


 まあ、それは現地の人たちの信仰の対象らしいから日本人で現物を見れた人はいないらしんだけどさ。いつかこの目で見てみたいな。巨大ロボみたいな感じだろうし。


 あ、ちなみにこれは俺が異世界で最初に連れていかれた日本人村の人に聞いた話ね。現地の数学じゃたぶんまだそんな計算できないんじゃないかな。冒険者の中には数字を十二までしか数えられない奴多いし。


 あと俺みたいに現地に溶け込もうとするよりも日本人村でスローライフすることを選ぶ人のほうが多いんだよね。俺、冒険者になってから何度か死にかけてるし、ただ生きていくためだけにだいぶ手も汚してる。もう俺は日本人村に戻れないよね。彼らと価値観違ってるから。


 正直者が馬鹿を見るなんておかしいやいっ!なんて思ってた日本でのサラリーマン時代をだいぶ遠くに感じてるよ。スローライフを否定はしないけどこっちにきてから俺は俺のやりたいことを我慢しないって決意する瞬間があってさ。俺のモラルは日本にいたころのものとはもう違うんだよね。


 この話はこの辺にしとこう。


  話はもどせるけど時は戻せないんだし。


 キルモンはほんとに千差万別。まず見た目。俺は令和の日本でおじさんだった人間だからその時代にその場所で見聞きしたものにしか例えられないんだけどさ。例え使わないで言葉で説明するほどの文章力ないし。まあ、これ読んでるあんたは俺より未来の人間だろうし文明も進んでるんだろうから申し訳ないんだけどわからない言葉は調べてもらえると助かるかな。


  まず一般的なのが介護の現場で使われるパワードスーツみたいに背中に背負って両手両足にパーツが伸びてる筋肉の負担を軽減しつつすごい力を出す感じの奴。


  素材は見たところは動物の毛皮と骨みたいのだったり、木材とか鉄とか。あと驚いたのは細長い袋に砂や水とか油も入れてる奴もいた。よく漏れてこないなと思ってじろじろ見ちゃった。あとテーマパークでキャラクターを模した着ぐるみとかあるけどあんな感じで顔だけ出してたりするね。


 あ、ちなみにね、俺のは素材が竹。ええ、竹なんです。まあ、かっこよくはない。まあでも最初は竹やりとか竹ベラのほうがよっぽど役に立つんじゃねえの? なんて思ったんだけど侮れないんだわ。俺これのおかげで野犬の集団から身を守れたし、まあ、いろいろあったよ。


 どんな格好かというと現地の一般的な服を着て、高足下駄みたいに足に着ける奴と脛と腕にガード件武器としてつけてる。あと腰に竹やりと鉈を下げてる。火打石とか現金とか細々したものを現地の布で風呂敷みたいに筒んで腰につけてる。


 あとすごいのが貴族クラスが決闘で使うやつ。まあ、戦争でも使うらしいんだけどさ。イメージとしてはむせる地獄で乗り捨てられるような大きさと形の人型の重機っていうか働く車って感じの奴。


  日本人村でも使えばもっといっぱい作物とれると思うんだけどね。まあいろいろ考えあるからね。だけど不思議なのは、そこは男女比がほぼ同じで十代から俺くらいの年齢の人が数百人くらいいるって話だったんだよね。二週間くらいの滞在で赤ちゃんとか子供を見なかったんだよね。


 やっぱり、口減らしじゃないけど採れる作物の量によっては人口が増えると飢餓が起きるからとかあるのかな。日本から物資を送ってもらっているっぽいんだけどね。まあ、そこの責任者に引き合わされてここじゃなくてすぐに死ぬことになってもいいから現地の人間として生きていきたいって宣言しちゃってさ。


 まあ、感染症を現地に巻き散らかすことの予防として二週間の滞在しかしてないからよくわからんことも多いんだよね。


 まあ天使のアンちゃんにいろいろ注射してもらってからきたから大丈夫だとは思ったんだけど郷に入りては郷に従えでさ。おとなしく二週間過ごしたんだよね。部屋でずっと。


  こちらから開けるまで外に出てはいけないって言われててさ。トイレに行かせてくれっていわれてもおまるにしろとか言われるし。まあどっちにしろ水洗トイレなんてないんだけどさ。 ときどきドア越しに話してくれる人がいたから助かったけどマジで頭がおかしくなりそうだった


 んで最終日の朝。いくらおじさんとはいっても二週間も部屋でじっとしてたらさすがに身体がコンバインOKって緊急自体宣言するからやむを得ず一人レッツコンバインしてたら扉が開かれた。


 俺は白く汚れちまった悲しみにくれながら両手を見つめ決めたんだ。


 もう我慢しないし日本人村には戻らない、ってね。

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