第6話
第6話 薬草クエスト
古代スキル『オリジナルコピー』は、
使えば使うほど進化していく神スキルのようだ。
俺はこれからクエスト達成やダンジョン探索をやるに当たって、
たくさん敵の技を吸収していくこととした。
「これからどうしますかね~」
ミニスカートから伸びた白い足をぷらぷらさせながら、ビーチェは言った。
「宿屋をとって、休もうぜ」
「えっ、あたしも一緒の部屋でいいんですか!?」
「いや……別の部屋をとるんですけど」
「あ、あぁ……そうかぁ。あたしって宿屋に泊めてくれる人に拾われたんだ……。
ありがとうございます、ありがとうございます……」
こいつは今まで、一体どんな境遇だったのだろう……。
一緒に組むことにしたから気が滅入る。
「なら、宿屋に行くぞ」
「はい~」
俺たちは冒険者ギルドの酒場に、エール酒のジョッキを返すと、
そのままギルドを出た。
都市の街に出て、宿屋を目指して一緒に歩く。
石畳を歩きながら、途中で面白そうな屋台を発見する。
「お。イカ焼き食おうぜ」
「お金ないですよ、あたし」
「俺が払ってやるよ……」
「ありがとうございます!」
イカのソース焼きを買って、2人で仲良く頬張った。
もぐもぐ。
「おいしいですね」
「うまいな」
なかなか美味しかった。
そのまま宿屋にたどり着き、
亭主に2人分の部屋を取ってもらって1泊した。
ふかふかのベッドが心地良い睡眠をもたらしてくれた。
翌日から、俺たちは冒険者としての活動を開始することにした。
冒険者ギルドに再び赴いて、受付嬢のところに並んだ。
「いらっしゃいませ。今日はどんな御用向きでしょう?」
「クエストを受諾したいんだが」
「先日、Fランク冒険者になられたアルドさんですよね。
う~ん、今はFランク冒険者は薬草採取ぐらいしか案件がないですね」
「分かった。なら、薬草採取してくるよ。どこに行けばいい?」
「都市リュインから東に30分歩いたところにある、始まりの森で、
回復用の薬草を30本以上採取してきてください。
薬草1本につき、銅貨3枚の報酬を支払います」
「オッケー、分かった」
「道中、強い魔物が出るかもしれませんが、気をつけてくださいね」
「あぁ」
俺とビーチェは薬草クエストのために始まりの森までやってきた。
「薬草採ればいいんですよね。頑張りますよー」
「あぁ……とは言っても、ふつうに採る気なんてないけどな」
「えっ。じゃあどうするんですか?」
「スキル『オリジナルコピー』を使う。楽して、スキルで稼ぎたい」
俺が言うと、ビーチェは「あぁ……」という顔になった。
昨日、宿屋で簡単なスキルの説明はお互いにしておいたからだ。
ビーチェは主に回復系統での支援魔法使い。
俺はスキル・魔法・才能のコピー野郎。
どっちもピーキーな存在だった。
俺たちは周りを見回して、薬草採取している冒険者パーティーがいないかどうか確かめてみた。
十数分探しながら周りを歩いていると、やっと女の子2名、男1名のパーティーに出くわした。
「お……」
あいつらからスキルをコピーしたいが、『オリジナルコピー』は戦闘用だ。
あいつらと戦闘にならなければコピーができない。
どうするかなぁ。どうやってケンカ売るかなぁ。
と危ない思考になっていく。ダメだダメだ。安全運転だ。
「どうするんです?」
「黙って待ってろ」
「はい」
俺とビーチェがしばらくどうしようかと待っていると、
やがて彼らが魔物の大群に襲われた。
「げっ、スライムの大群だわ!」
「ラクス。あんたどうにかしてよ」
「任せろ!」
「任せろ!」
「え?」
被せてセリフを言った俺に、相手パーティーの全員が、
突如として登場した俺を見た。
どうも、スキルコピー野郎の登場です。
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