第5話
第5話 ビーチェ
どうやら、俺が助けた女の子はビーチェ、と言うらしい。
受付で冒険者カードのFランクをもらうと、俺たちは冒険者ギルドの酒場で飲み始めた。
ビーチェは「そうなんですよー」とへらへら笑っている。
「それにしてもアルドさんって強いんですね。レベルとか50超えてるんですか?」
「いや? レベルはたいしたことないな。それよりビーチェ。お前なんで絡まれてたんだ」
「あぁ……」
あはは、と苦笑いしながらビーチェは語る。
「あたしがパーティーでダンジョン探索中にドジしちゃって、お宝を落としちゃったんですね。
だから、『お前が盗んだんだろうが!』って怒られて……。
いつもこんなことばかりだから嫌になっちゃいますよ」
ふーん……。無能な女の子な気がするが、どんなスキルや魔法を持っていてパーティーに入っていたのか気になる。
俺は『鑑定』が使えないから、オリジナルコピーでビーチェのスキルの真価を図りたい。
「ビーチェ。お前さ、俺に攻撃できる?」
「え、えぇぇ!? あたしがあなたにいきなり攻撃ってどういうことですか!?」
「いや……特に意味はないんだが。死なないように攻撃してくれると助かるんだが」
「いやいや! 意味分からないですよ。え、逆にマゾヒストなんですか?」
「違う。まぁ当たり前か……。いきなり攻撃しろと言ってもな」
「あ、でも、ポーション投げなら……?」
「できるならやってみろよ」
「じゃ、行きますよ……」
ビーチェは小さいモーションで振りかぶると、俺に何かを投げた。
それと同時に、
【――古代スキル オリジナルコピー 発動】
何かは俺の身体にぶつかる前に、俺の手にキャッチされる。
パシッ。
握った手を見れば、ポーションの瓶だった。
【――ビーチェの『ポーション投げ』をコピーします。
命中と回復効果と支援能力を得ます。
薬効効果の支援能力が急速上昇しました】
おー。できたできた。
きゅいいいいん。
オリジナルコピーが進化していく。
【――古代スキル オリジナルコピー 3回成功しました
熟練度が上昇します】
きゅいいいいん。
【コピー先『豪腕能力』と『刺突能力』から、
腕力が常態に微上昇、攻撃力が常態に微上昇します】
【コピー先『ポーション投げ』から
薬効回復力が常態に微上昇します】
おー。かなり得だったな。
これで能力が消えずに、常に強くなれたはずだ。
「サンキュ、ビーチェ。実験が終わった」
「あ、そうですか? なんだったんだろう、あたし……
「すまんすまん。こっちで試してることあったんだよ。
それでさ、ビーチェ。パーティー組んでみないか?」
スキルをコピーするだけして、終わりっていうのは、どうにも。
「あ、はい。それは嬉しいんですけど。
いいんですか? あたしって無能って呼ばれてましたけど」
「オーケーオーケー。楽に行こうぜ」
「はぁ」
ビーチェがため息をつくように言った。
どうやら古代スキル『オリジナルコピー』は使いまくれば、俺が進化していくようだった。
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