第2話
俺は荷物をまとめていた。
屋敷から追放されることになってしまった今。
未来への希望とか、職がないとか言い訳は効かない。
自分1人の力で生きていかなくてはならないのだ。
生活用品や着替え、残された金をありったけかき集めている。
売れそうなものが、どこかにないか……と、思わず自分の部屋を探して思う。
あれだけ金に恵まれた家に生まれたくせに、もう盗ることばかり考えているな。
「さすが、職業【盗賊】が適用されているだけはあるな」
ははは。自分でも笑いが出てきた。
金は、金貨と銀貨をかき集めても、3日分の資金しか無かった。
当たり前か。
日頃、どれだけ無駄遣いをしてきたんだろう。
部屋に持って行くものが何も無くなったので、廊下に出て玄関に向かった。
「お」
書庫だった。
途中で立ち寄り、いくつか本を引き抜いてきた。
売れば、多少の金にはなると思ったからだ。
「おい、アルド。早く出て行けよ」
「分かってる」
半開きになった扉のところに、親父のリエイスが怒ったように立っていた。
「……もう支度できたから行くよ」
「ふん。本を数冊盗むぐらいはすると思っていた。お前はどこまでも薄汚い血だったな」
「……すいませんでした」
頭を下げて、俺は屋敷を出て行った。
大きな革袋のリュックを背負って、歩き去っていった。
第二話 覚醒
屋敷を出て、自分たちの土地だった荘園を歩いて、外に出た。
町の主道路まで来ると、乗り合い馬車に乗って他の都市へと向かう。
ガタンゴトンと揺られている間、干し肉を食ったり昼寝をしたが、
予想以上に暇だったため、引き抜いてきた本でも読むことにした。
「どうせ売る本だしな。適当に読んでいよう……」
と思ったら、【古代書 簒奪者の栄光】と書かれている。
古代書? 読めねぇじゃん。
悪態をつきながら、中をパラパラとめくる。
案の上、意味不明の言語で書かれていたが、その時、本が不思議に光り輝き出した。
光が粒子のように集まって、俺の手と身体に集中していく。
【――古代スキル オリジナルコピー を覚えました】
頭の中に声が響く。
ん? 古代スキル……?
頭の中に響いたような。
確認してみるか。
乗合馬車の回りには幾人か人が座っているが、俺は所構わず言った。
「ステータスオープン」
――――――――――――
【スキル詳細】
・オリジナルコピー
→発動効果
敵のスキル・魔法・才能を一度でも回避or防御すると、
それをコピーして使うことができる。
使用条件に、戦闘中であることが必須。
ただし、ランクが異様に格上の相手の技はコピーできない。
使用レベル差は10~20。
戦闘が終わるとコピーした技は忘れてしまうが、
熟練度を高く稼ぐと、自分の技として取得できる。
――――――――――――
つ、使える……!
これは結構、強いんじゃないだろうか。
戦闘中に使うことができるスキル・魔法・才能が一気に集まる。
もっとスキルが身につかないだろうか。
古代書を読んで他のスキルが身につかないか試してみたが、ダメだった。
これ以上はスキルを覚えられない。
早速、実戦でスキル『オリジナルコピー』を試してみたくなってきた。
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