魔王復活
森に向かった二人が目にしたのはオークの群れであった。
オークの群れが畑や果樹園を荒らしていた。
その進行を阻もうとボンバモスが戦っていたのである。
町の人々は呆然とその光景を眺めていた。
「ばかな、オークが攻めてくるなんてここ何十年もなかった」
「なんてことだ...」
オークの群れは畑へとなだれ込む。
次々と荒らされていく作物。
そこへ飛んできたボンバモスの鱗粉が降り注ぐ。
鱗粉はオークの魔力に引き寄せられ、反応し爆発する。
作物を荒らしていたオークは消し飛んだ。
たちまち辺りは鱗粉に包まれていく。
オーク達は鱗粉塗れになり次々と爆破される。
鱗粉で霞掛かった町のあちこちで爆発音とオークの悲鳴が鳴り響いた。
マルコ達は鱗粉の危険性から直ぐに森から離れ遠くから様子を見ていた。
そこに服屋の老夫婦が追い付いた。
「なんという...ボンバモスが我々を守ってくれたのじゃ」
「有難や、有難や、」
ほのかに光を帯びた橙色の靄、その中で起こるいくつもの眩い爆発。人々は一時オークの襲来を忘れ、その幻想的な光景をただ恍々と眺めた。
オークは堪らず退散したが、暫く遠くの方で爆発音が鳴り響いた。
町の人たちは皆手を取り喜び合った。
しかし、何故オークが街を襲撃したのか。
オークが町を襲うなど服屋の老夫婦も経験がないという。
300年前の世界戦争後、各地の下級魔族も数が減少し、元の縄張りを追われひっそりと生活していた。
それが今暴走したのである。
前例のない事態に一同がざわついていると警備隊の一人がやってきた。
「隊長!報告があります!」
隊員は異常に慌てている。
「どうしたクリスト。言ってみろ」
クリストは一旦唾を飲み込み躊躇する。
口をパクパクさせるが中々言葉が出てこない。
「どうした。言え」
「魔王が!
復活したと報告を受けました!」
「なんだと!?本当か!」
「はい!王都より連絡がありました!」
「くそ!オークの襲来はそうゆう事か?
とにかく!森の復興と周囲の状況確認に当たれ!
行くぞ!!」
「「はい!!」」
周りの警備隊が一斉に動き出した。隊長は一旦戻り情報を確認する。
魔王復活...
町の人々はまた一様に騒ぎ始める。
「この町を出るか」
「いや、安全な場所などない」
「逆にここが安全では?」
騒ぎの中、服屋の老夫婦がマルコ達を心配して声を掛ける。
「マルコさん、大丈夫?
ずっとここにいた方が安全じゃないかしら」
「いや、魔王は怖いですが俺達は行きます。
どのみち帝国にも追われている立場なので、ここにいてもモリーさん達の迷惑になります」
「私たちは迷惑じゃないわ。変な気遣いは要らないのよ」
「いえいえ、俺はもともと冒険者ですし」
「そう。分かったわ。あなた達に神の御加護があらんことを。いつでも戻ってくるのよ」
「チョコちゃんに何かあったらわしが駆けつけるぞ」
「ありがとうございます。ほら、チョコもちゃんと言っとけ」
「ありがとー」
そうしてマルコ達は再び旅立った。遥か西、アルカドアを目指して。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
遥か昔、魔王の居城があった地ザビアス。今は荒野が広がりそこにポツンと魔王城の遺跡がある。
魔王の死後、その凶悪な魔力はこの地へと返った。
薄暗い霧に覆われ昼も夜もない闇の世界。
そこに一つの魂が辿り着いた。
この世に深い恨みを持って浄化せず、この世界を漂っていた邪悪な魂。
巡り巡ってこの地へ辿り着いた魂はその凶悪な魔力と反応し、融合した。
新たなる魔王の誕生である。
魔王の誕生をいち早く察知した上位の魔族達はザビアスへと向かった。
新たなる魔王の姿を目にした魔族は皆、その禍々しいオーラの前に何も言わずに跪いた。
魔王の復活によって活性化された各地の魔物達も凶暴となって人々を襲い始める。
おのれ人間、皆殺しだ!
そして、魔族軍の逆襲が始まる。




