魔族と交戦
俺達の前に現れたのは2人の男だった。
容姿は人間だが...。
「なんだ...。ただの人か…驚いた」
「ハハ、お前腰抜けてるし」
違う...。あいつらは人間じゃない。人間とは全く桁違いの魔力の大きさ。それに真っ黒い髪にあの目、間違いない...魔族だ。しかも上級魔族。
魔族には階級というものがある下から下級に中級そして上級。上級の魔族は魔力が半端じゃない。
その上級の中でも最も強いと言われている10人がいて魔王の下についている。
今までの中でも魔族と戦った事はあったが上級とは戦ったことが無い。
「優斗、康太、こいつらは人間じゃない。魔族だ」
「おっ!正解~!」
「えっ?魔族なのか…」
明らかに動揺している。初めて見るからな。
「ねぇ、そこの青髪の子。勇者くんを渡してくれないかな♪」
笑いながら片方の魔族が言った。あんなにチャラそうなのに目には殺気がこもっている。
「残念だがそれは無理だ」
俺は戦闘態勢に入った。ここで2人を庇いながら戦うことなんて出来ない。だから足止めして逃がす。確かにあの2人は魔力は高いがまだ魔法の使い方や武器の使い方すら出来ない。そんな状況で戦わせる訳にはいかない。
「優斗!康太!今すぐ全力で学校まで走れ!!それでこの事を先生に伝えろ!!」
「そ、そんな事出来ない!!置いて行くなんて」
「そうだっ!お前1人でどうにか出来るのかよ!!」
「早く行け!!勇者は人間にとって必要な存在なんだ!それに魔法は俺の方が使えるこれが1番いい選択なんだ」
「そんな事される訳ねぇーだろ」
痺れを切らしたのか殺気が強くなった。
これは本気でやんないとやばいかも。
俺は息を整えて鎌に触った。その瞬間封印されていた魔力が自分の体の中に流れてきた。
「エンチャントッ!!」
そう言うと武器に魔力を纏わせた。
「うわー、一気に魔力が上がった。俺ら魔族と同じくらいに...」
「どう言う事だ。人間でここまで魔力があるなんて」
相手が驚いている間に2人を逃がす。
2人と目が合った。悔しそうに走って行った。
「俺はあいつらを追いかける。お前はこっちを任せるぞ」
「りょうかい~」
そんな事させるものか。
1人が後を追う瞬間大きく横に鎌を振った。
もう少しで喉を殺れそうだったけど避けられた。
相当な速さで振ったんだけどな。
武器を振る瞬間に持つ手の部分に魔力を集中させ武器を軽くした。武器は魔力を込める部分や量の違いによって全然違う。さっきやったのは持ち手に少量の魔力を込め軽くさせる。例えば刃の部分に大きな魔力を込めれば威力も大きくなる。人間は魔力の量が少ない分を知識で補った。
「凄い速さだね。レオン大丈夫か~?」
「うるせー」
とはいえ魔族2人、それも上級魔族に勝てるのか…。
「こんなにワクワクしたのは何千年ぶりくらい♪」
「でも、そうだな。久しぶりだな」
何を言っている。確かに魔族や吸血鬼は人間よりも寿命が長いが不老不死ではない。
でも、さっき聞いた何千年ぶりってどうゆう事だ。いくら寿命が長いからって言ったって長すぎる。
「ねぇ、君。何でって顔してるね〜」
ニコニコと笑いながら言ってきた。
「君は歴代最強と言われた魔王って知ってる?」
歴代最強の魔王?こいつ何を急に...。
「おいっ、それ以上は」
「いいじゃん、少しくらい」
「歴代最強と言われている魔王はね凄い量の魔力を持っていたんだ。人間も吸血鬼も同族の俺らさえも怯える程にね♪でも、その魔王は変わっていたんだ。他の種族に興味があったんだ。それで色々と調べた。人間の持っている武器も吸血鬼の中に流れている血もね。魔王は興味はあったが自分から動いて行動もせず欲しいものも無かった。でも、そんな中、魔王は言ったんだよ…」
それ先を言おうとした瞬間、先生達が来た。
「アハハ、残念だね。この続きはまた後でね♪」
「あっ、待て!」
そう言うと森の奥へと消えて行った。
「良かったのよ、あんなに言って」
「フフ、だって面白そうじゃん♪」
「魔王に何か言われても俺はしんねーから」
「うわー、酷いな」
「いいじゃん、顔は見れたんだからさ」
「さぁて、魔王様は君達をご所望だよ…」