魔法の武器
魔法測定が無事に終わり、次は武器について学ぶ事になっている。
「な~ノア」
「なんだ?優斗」
「武器ってなんだ?」
国王に教えてもらわなかったのか...。
「武器って言うのは人間にとって命を守る存在。戦う時必ず必要になる物だ」
「そんなに大切な物なのか?」
「ああ、そもそも武器が出来たのは魔力が多いい魔族と吸血鬼に対抗する為なんだ。魔力が少ない分を少しでも補うため」
「でも、他にも理由があるんだよ~」
いきなり後ろから声が聞こえた。振り返って見たら同じクラスのクライドだ。容姿は女性受けしそうな可愛らしい容姿で栗色の髪をしている。
「他の意味ってどういう事だ?」
優斗がそう聞くとクライドは少し黙るとニコって笑い教えて上げると言った。そこに映る瞳は何も映っていないように感じた。クライドは楽しそうに話した。
「ある日、人間は魔族と吸血鬼に滅ぼされそうになりました。そこで人間が考えたのが勇者召喚でした。別世界から人間を連れて来て助けて貰おうとしました。勇者は期待通り凄い力を持っていて人間は助かりました。これが勇者が召喚されるようになった理由だよ~」
「その勇者が俺と康太って事か...」
「そうだよ~ここからが本番だよ~」
「勇者は確かに強かった。けど、魔法の使い方や武術などはどうしても自力じゃどうにもいかなかった。そこで昔の国王は考えました。それを教える者が必要だとね。そこで選ばれたのが9人の魔法使い」
「9人の魔法使い?」
「うん、そうだよ~。その魔法使いは人類最強と言われていたんだ。国王もその力を認めていた。その組織にはこう名前が付いたんだ【Criminal】ってね」
ドクンッ!何でクライドがCriminalを知っている...。遥か昔に国王がCriminalの存在を隠したはずなのに...。
「Criminalは勇者の育成に励んだ。その結果いい方向にいったよ。でも、それも長くは続かなかった。過去のCriminalの中にはその自分の持っている強大な力でレジスタンを自分の物にしようと国王を殺そうとしたり、悪事をしようとしたり、中には他の種族に情報を流したりと色々な事が起こった。国王は危険だと判断した。周りの人間達も恐怖で震えていた。でも、国王はレジスタンを護る為にCriminalは必要だと思った。それでも周りからの反対が鳴り止まない為国王は妖精が創ったと言われる9つの武器をCriminalに渡した。
【剣】【刀】【槍】【弓】【杖】【斧】【銃】【盾】【鎌】をね。1人ひとつ渡し武器に魔力を封印し武器を使わない限り強い魔法が使えないようにした」
「でも、それじゃ武器を使えば魔力は元通りじゃないか?」
「この武器は妖精によって創られた物。妖精は悪を嫌っていて綺麗な心を持っていないと使う事が出来ないんだよ。魔族や吸血鬼は触る事すら出来ないしね。それは人間だって例外じゃない。もし、悪事で使おうとすると触る事も持つ事も出来ないからそれでCriminalを制御してたんじゃないかと言われてるよ。これがもう1つの理由と言われているよ。まぁ、現にCriminalは居ないといわれているけどね~」
「居ないのか?」
「う~ん、今は存在していないって言われてるよ~現に今知っている人すら少ないんじゃないんかな?」
「じゃ、何でクライドは知ってんだ??」
俺はクライドの方を向いた。何故知っているのかを知りたくて。
「...僕の村ではCriminalは有名なんだよ~。」
そういう事か...。確かにCriminalの信者がいるとは聞いた事があるが…何か引っかかる。
「まぁー、この話はとりあえず終わり!こんなもんかな?分かってもらえたかな?優斗くん」
「おう!よく分かっ...いてっ!何すんだよ...康太!」
「お前、武器について国王に教えて貰ったろ」
「えっ?あ!そうだった」」
結局、聞いてなかっただけか…。まぁ、国王が忘れる分けないもんな。
「で、優斗くん達は武器召喚の儀式はやったの?」
「あの、魔法陣のやつか?」
「そうだよ~妖精が創ったと言われている魔法陣の上に立って魔力を魔法陣に込める!どんなのが出来たの??」
「俺は剣だな」
「康太くんは?」
「俺は銃だ」
「うわ~ザッ、攻撃型だね!」
「クライドは何なんだ?」
「僕はね弓だよ~」
「そういえばノアくんは何なの~?」
「...鎌」
「うおー、かっこいいな!!」
「確かにそうだね~」
武器は10歳の魔法を使える子供達を集めて年に1回の武器召喚の儀式を行い武器を獲得する。
今は存在しないと言われている妖精が書いたと言われている魔法陣が描かれていてそこに立ち魔法陣に自分の魔力を注ぎ込んで武器を創る。
妖精自身が創ったと言われている武器は全部で9つしかない。何故なら武器を創った後、妖精はいなくなってしまったから。それは何でかは誰も知らない。妖精が居なくなって困った人間は妖精が書いた魔法陣を見つけそこに魔力を込める事によって武器が創られる事を知った。妖精が唯一創ったと言われている武器は代々Criminalが受け継ぐらしい。Criminalになる者は必ずこの武器に自分の魔力を半分込めなければならない決まりがある。妖精が創った唯一の武器って聞こえはいいけど実際は呪われた武器だ...。
「おい、次移動だって」
「あっ、そうか!急がないとな!ノア行くぞ!!」
「分かった」
優斗と康太の後を追うとクライドがこう言った。
「ねぇ~ノアくん。Criminalの意味分かる?」
クライドが笑いながら言ってきた。
俺は後ろを振り向きクライドと同じように笑いながら言った。
「犯罪者だろ.........。」
ガラガラッ
クライドはノアの後ろ姿が見えなくなるまで見ていてた。
「クスッ...正解」