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赤き炎よ、剣を以て、我が敵を切り伏せろ! ファイア・セイバー!

あけましておめでとうございます


とかもうだいぶ遅い、元旦から風邪をひき三が日には胃の働きの低下から激しい吐き気と痛みに苛まれ、その後出張先に戻ってきてゲームしたり仕事したりの日々で、応募するんだという覚悟が揺らいでいて申し訳ない、だが仕事中結末までは考えたから後は書くのみなのでどうかお付き合いを願う。

 ゴブリン、赤とか白とか黒とか色は色々あるけど大体同じ顔をしているよくわからない小人のような魔物だ、その生態は人を襲い食ったり玩具にしたりと度の過ぎた悪戯好きとして知られている。


 無邪気に襲い掛かってくるそれは、あまり頭がいい方ではないのか空中でお互いぶつかったりしている。

 だが、それが逆に軌道や行動が読めなくて厄介だ。


「燃えなさい」


 ファイアは特に狙いを定めず前方を焼き払った、牽制か。


「ジン、貴方私の中の(ファイア)以外の魔法は読んだことは?」


「ない、初級ができないのにそれ以上のものを読む時間なんてもったいなかったから」


「そう! ヒール、しばらく壁役頼めない!?」


「時間稼ぎですね!分かりました、大丈夫です!」


 ひるんだゴブリン達がそろそろまた飛びかかってくるところでファイアが飛びのき代わりにヒールが前に出る。

 ゴブリン達はとにかく目の前にある獲物から襲うようで一瞬で群がられ噛み付かれるヒールであったが――――。


「癒しを」


 その一言で柔らかそうな肌を突き破らんとする牙は肌を突き破るどころか押し返され、ぱっと見甘噛みされてるようにしか見えない状態になった……なにそれ。


「ジン! ぼーっとしない!」


 ファイアが俺の前に来ると額同士を合わせ目を閉じる。

 すると俺の頭の中に、始まりの魔法の様にファイアの火炎魔法の使い方が渦巻いて来た、その中から自己主張の激しい魔法が一つ……中級魔法「ファイア・セイバー」?


「呪文は覚えた?今すぐ唱えられる?」


 頭の中に使え使えと激しく訴えてきておいてよく言う、始まりの魔法と同じ理屈で頭の中にあったんだ、額を離した途端消えはしたが今なら、今だけなら唱えるだけなら簡単だ。


「任せろ、どうしたらいい?」


「私の胸に手を当てて唱えて頂戴、それで私はアレを発動できるから」


 なるほど……?

 俺は半信半疑でファイアの胸元に手を当てた。


「違う、こう!」


 しかしファイアさんは、俺の手を掴み自分の胸、おっぱいを鷲掴みさせる――――心臓とかそういうことじゃないのか!?


「え、えっと」


 羞恥心でちょっと呪文を忘れかける、七年も魔法に打ち込んできたとは言えこちとら健全な男子、いきなり女性のおっぱいを鷲掴みにして冷静さを保つなんて……。


「ぐぃっ、癒しを!」


 そんなこと思っている間に今にもヒールの柔肌は突き破られてしまいそうになっていた、ホントそれどころじゃなかった。


「ヒール! クソッ……」


 名前を呼んだことで少し盛り返した感はあるが長くは持たないな。人化したものは一つの命となる、死んでしまえばそこで終わり、それが人化魔法デメリットとも言われているところである、命である以上寿命も出てくるが、今はそんなこと言っている場合ではない。


「赤き炎よ、剣を以て、我が敵を切り伏せろ! ファイア・セイバァァァァ!」


「心得たわ」


 ファイアの手の内に炎が渦巻き、赤い刀身の片刃剣が現れた。


「いくわよ!ヒール!」


「大丈夫!癒しを!」


 ファイアがゴブリンを切った正確に言えばヒールごと、しかし切られたはずのヒールは切られた直後にそんな事なかったようにくっつきそのままバックステップでこちらへ戻ってきた。

 見れば二体のゴブリンを切りそこねていたらしく、ファイアが対峙していた。

 レッドゴブリンとブラックゴブリンだな。


「行くよ!」


 ゴブリン目掛け駆け出すファイア、ゴブリンも釣られて飛びかかるように迫って来るがこれは挟撃だ。

 両手持ちしていた剣を片手持ちにしさらに空いた手にも「剣よ」剣を出して二刀流にしすれ違いざまに切りつける。


「ゲラァッハ!?」


 断末魔と共に爆散するゴブリン、何とかなったな、っと安心したら腰が抜けてそのまま座り込む。


「癒しを」


 ヒールが絶え間なく癒してくる……ちょっと鬱陶しい。


「いや別にせんでいいぞヒール」


「そうですか? では」


 手を差し出してくるが、いや女の子に起こしてもらうのはなんかダメだろ。

 俺はその手を無視して自分で立ち上がる。


「2人とも急いでここを離れるぞ」


「家に帰るの?」


「ああ、母さんたちにゴブリンの事伝えないと、昨日のがたまたまはぐれた一体とかなら良かったっがこんなに居たんじゃ巣があってもおかしくない」


「私たちで倒すのは?」


「論外だ、そもそもあの程度の数でこれじゃあ死にに行くようなものだ」


 またヒールを盾にしてファイアが燃やすってか?その間に俺は食われるし、ヒールだって長くは持たないだろう仮にファイアがさらに上の魔法を使えるようになるとかあってもゴブリンの巣なんてのが本当にあったら無理だ、それに巣ならまだいい、集落でも作られていた日には俺たちは街総出で引っ越さなければならなくなる。

 ともかく街で強い人ら、俺の両親やらゾックのとこの親御さんなんかに一先ず相談しなきゃならない。


 俺たちは周りを警戒しつつその場を後にした。

ソードとかブレードとかありきたりかな?とか思ったからセイバーにしたけど大して変わりないしファイアとかヒールって言ってる時点で何言ってんだよって思ってしまう。

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