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第九十七話

「まずは採寸をさせて頂きたいのですが」


ジュリエットはそう申し出てきた。

が、俺は返事の変わりに手近にあった

紙にスラスラとゲカイのサイズを書き込む


そんな当然の事は測るまでもない

俺のデビルアイで

ゲカイちゃんの外寸はすべて

完全3D化出来る程


チェック済みなのだ。


身長・B・W・Hは言うに及ばず各関節までの

長さや太さ可動範囲までキッチリ書いてやった。


俺は自慢気にジュリエットに手渡す。


「これで。」


受け取ったジュリエットは

紙の内容を把握するやいなや

青白い顔になっていく


「か・・・畏まりました」


ふふ、どうだ

俺のデビルアイはすごいんだぞう。


ジュリエットの様子を不審に感じた

チャッキーとゲカイは横から紙を

覗き込む。


「・・・・うそ」


「・・・やべぇっすよ」


かつてないドン引きだった。

なぜだ


 変な空気を再度入れ替える様に

ジュリエットの指示で豪華なドレス軍団が

次々と運び込まれてくる。


「アモン様・・・こういう服装では・・・」


「うん、違うね。でもそういう場所に

潜入しなきゃならない任務も

あるかもだから」


「・・・はい」


「1着ぐらいは選んでおきなさいね」


最初は嫌々な感じだったゲカイも

次々着替えてはジャーンって披露し

俺とチャッキーがおぉ!ってのが

楽しくなってきた様子だ。


夢中になって選んでいる。


「髪が金だから同系統より対抗色で、

年齢が若いから落ち着いた色よりライトな」


チャッキーまで夢中だ。

何なら、お前も着るか


 ドレスを選んだ後は、普段着を選ぶ

こちらも相場の十倍もするが

生地はもちろん縫製の精度が段違いだ。

考えてみれば当たり前だが

貴族だって年柄年中正装でいる訳では無い

貴族用の普段着だってあるのだ。


 こちらはゲカイの趣味とチャッキーの

アドバイスで何枚か選ぶ。

お気に入りがあったようで

もう着込んでいる。

靴を含め、見事なバリエア市民の

お嬢さん状態になった。


 ドレスは寸法の調整があるので

後日渡しだ。

 予備の服と着ていた服は

店のロゴの入った、これもちょっと高そうな

紙袋に入れてもらった。


この紙袋だけ欲しがる娘もいるんじゃないかな


 用事が済んだのに席を立とうとしない俺を

不思議に感じたチャッキーが聞いて来た。


「まだ、何か買うんすか」


「うーん、店長」


俺は店長を呼ぶ。

仕事をジュリエットに任せ

終始見ているだけだった店長は

何を言われるのか不安な様子で

やってくる。


「はい。何でございましょう」


「君、名前は」


瞬間、ホント一瞬だけ顔が強張る店長


「ダリルと申します。以後もよしなに」


挨拶は優雅だ

先程の緊張が嘘のようだ。


「ダリル、人払いを・・・

あジュリエットさんは残って」


そそくさと退室しようとする店員の中から

彼女だけは残ってもらった。


ちょっと黙って様子をみると

俺以外のメンツも不審な様子に勘付いたようだ。


「あの・・・何か」


「ゲカイちゃん」


俺がゲカイを呼んだ瞬間

二人は素人目にみても分かるほど狼狽える

これはもう間違いないな。


俺は半人化する。

チャッキーも両肩に手を回して臨戦態勢だ。

戦闘関係に関してはチャッキーに

何も言う事は無いな

場数は踏んでいる様だ。


俺はゲカイに命令した。


「この二人ちょっと解除してみてくれる」


「それには及びませんアモン様」

「申し訳ございませんでしたアモン様」


ゲカイが行動を起こすまでも無く

二人は膝をついて謝罪を始めた。


「店員達に聞かれるとマズいか

場所変えよう。ついてきてくれるか」


俺は席を立つ


店員への引き継ぎと移動は店の馬車をと

二人は申し出てきた。

変な気は無い様なので任せた。


ジュリエットは奥に引っ込み店員達に引き継ぎを

ダリルは裏に回り、店用の馬車を引っ張り出してきた。


「アモン様・・・この二人って」


「うん、魔神13将の3位と4位だ」


俺とゲカイのやり取りを聞いて

驚くチャッキー


「マジっすか」


「マジっすよ」


「どっちがどっちすか」


「・・・・さぁ」


こうして俺達はゲカイちゃんのオニューの

服と、これを売ってくれた魔神二人を

連れてヨハンの隠れ家まで戻った。


「おーい、戻ったぞー」


俺が扉にそう声を掛けると

扉の向こうからやけにバタバタと

音が聞こえてくる。


何やってんだ?


その疑問は扉が開いた瞬間解決した。


「ぃょぉぁ兄貴ぃ速かったな」


ヨハンの息にゲカイちゃんが鼻を塞ぐ


「やっ酒くさーい」


「ぃゃさ、飲むのぉれとヘンスだけだからさ

ん何かみんなぃるとさぇ遠慮しちゃってた

からさ。久々だしめでてぇしつぃさ」


「ゲカイちゃん」


「ハイ」


「酔いって解除できる」


「出来ます。」


「お願いしていい」


「ぇ待って折角気持ちぃぃ状態なのに」


パシュ


「あああああああああーってはぁ済まねぇ」


ヨハンの酔いが解除された。


「いや、これからちょっとハードに

なるかもしれない話し合いだ。

終わったらゆっくり飲んでくれ」


チャッキーが連行している二人を

チラ見したヨハンが聞いて来る。


「兄貴、後ろの二人は」


「魔神だよ」


「何だって?!酔いが醒めちまうぜ」


いや、もう醒めてるから

俺達は家の中に入り

リビングまでいくと

そこには、もっとスゴイのがいた。


「うああああああああ私はああ

絶対に彼を救うんだああああああ」


ハンスが号泣してる。

こいつ泣き上戸だったのか。


「あれ、こいつ以前飲まないって俺に」


ベレンで魔王との会食時に断っていたのだ。


「ああ、こいつ自分が我慢すれば済む時は

そう言う嘘付くクセがあるぜ」


ハンスとは旧知の仲のヨハンがそう言った。

多分、最初の時の出身地の嘘も

勇者を伏せたかったのが理由だろう

それにしても


「どうしてこうなったの」


俺の質問にしどろもどろなヨハン。


「いや何か良く分かんねぇんだけどよ」


覚えてないんだろ

お前も酔っぱらってたんだし


「何もかも失ってなおおおおおお

他人を助けるばかりいで何故

何故誰も彼を救わないいいい」


いや、まずはお前を救おう。


「ゲカイちゃんお願いしていいかな」


「ハイ」


「神が彼を救わないならああああ」


パシュ


「わっ私ぃー・・・お帰りなさい」


「ただいま」


「ワケ分かんねぇっすよ!」


うん俺もだよ。


 後ろで殊勝な態度を取っている

二人組にハンスはようやく気が付く。


「アモンさん。そちらの二人は」


「魔神だよ」


「そうですかってええええええ」


はぁー進まないなぁ。

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