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第八十一話

 俺はババァルに時間停止を解除するようお願いした。

 一体どんな掛け声やポーズSEや視覚効果が

あるのか興味ワクワクだったのだが

ババァルは閉じた口をフニフニ動かしただけで

時間停止は解除されてしまった。


サマンサかお前は


 時間が通常運行に戻った瞬間

近くの茂みがガサガサッと音を立て

間髪入れず悲鳴が響き渡る。


「痛ってぇええええ!!!」


 茂みの中から尻を押えたチャッキーが

転がり出てきた。


「ふざけーんなよ!なんだよ、この鉄の玉!」


 片手で尻を押え、残りの手で尻に突き刺さった

弾丸を抜き取り、激昂しているチャッキー。


間違い無い。

あれは俺が時間停止の効果を確認する為

射出した弾丸だ。

時間が動き出したと同時に弾丸も

本来の運動エネルギーが作用し

飛んで行ったのだ。


それがたまたま茂みの中にいたチャッキーに

直撃したというワケだ。


ごめん

わざとだ


完全膝カックン耐性でチャキーが出てきたのは

知っていた。

脅かすだけで当てるつもりは無かったのだが

彼の事だ

もしかしたら命中するかもと思い

威力はおもちゃの鉄砲程度で射出しておいたのだ。


しかし尻で受けるとは流石だ。


「無事かチャッキー」


俺は何食わぬ顔で近寄る。

チャッキーは尻をさすりながら答える。


「超痛いっす。まぁ無事ですけど」


俺は顎に手を当て

わざとらしく感心してみせる。


「その弾丸でその程度とは、流石だな

鍛え方が違うのかな」


チャッキーは照れっ照れで答える。


「いや、別に普通っすよ」


「いや、並みの戦士じゃ死んでたんじゃあないか」


「いやいやマジ、全然っ凄い攻撃じゃなかったす」


もう痛く無いようだ。


チャッキー

君はなんて扱いやすいんだ。

世界中の人が全員チャッキー君だったら

戦争なんか起きない

きっと平和だろう


すごくやかましい世界かもしれないが


 何をしているのかを聞いたら

無くなった靴を探しているとの事、

ベランダまで超加減速した距離はおよそ1km

さらに今は夜。

諦めるよう勧めた。


 俺達はエルフの里に戻った。

プラプリに頼んで会議室的な大部屋を使わせて

貰うのと、皆に危険は去った事を伝えてもらう

様に頼んだ。

 その横でババァルはタムラさんと何やら

話している。


 会議室というより個人経営の山のロッジの

広間みたいな部屋だった。

 テーブルと椅子は宿泊の部屋に置いてある物と

基本は同じで、複数並べて大きくしている。

 各々適当に腰掛けると俺は早速話しを切り出す。


「まず言いたいのは・・・ダーク」


「はっ」


畏まって返事をするダーク。


「お前の背中の剣・・・なんだそれは」


「刀と呼ばれる剣でござるが、

この地方では珍しい刀剣でござるな」


こいつ

何を分かった様な口きいてんだ。


「馬鹿野郎!それは侍が使う太刀だ

忍者なら忍者刀を使わんか」


 片刃で大きく美しい弧を描いた刀身

日本刀は時代劇でもお馴染みの武器だ。

 しかし忍者が使っていたのは

もっと短く真っすぐな刀身の忍者刀なのだ。


「ちょっと見してみ」


 俺は寄越せとばかりに手を出す。

ダークは嫌がる素振りも無く

背中から刀を外し鞘ごと俺に手渡す。


 受け取った刀をデビルアイで

走査してガッカリする俺。


 なまくらもイイ所だ。

創業祭や冠婚葬祭とは

比較対象にすらならない。

俺が鍛え直したプリプラのレイピアのほうが

この刀よりも数段上だ。

 逆に興味が湧く

これは悪魔の身体材料では無い

鉄を人が鍛えたモノだ。

何故、魔神がこんな武器を使っているのだ。


 俺は理由をダークに聞いた。

ダークが言うには以前の降臨の際に

ひょんな事から共闘した

風変りな戦士から死の際に譲り受けた

思い出の品だそうだ。

もっと強い武器があるのは承知の上だとも言っている。


まぁ今回はそのお陰でヨハンがかすり傷で済んだ

魔神が武器で切り付けたのだ

いくら改造してあるとはいえ人間ベースだ。

絶命していてもおかしくない。


「これは歴史的価値の高い剣だ」


俺は説得の為に適当な嘘をついた。


「大事に保管して家宝にするべきだ

普段使いには勿体ないぞ。」


「そうでござったか・・・そうするでござる」


「かと言って丸腰も困るよな。コレを使え」


 俺は瞬間的に忍者刀を作成する。

光を反射しないように

刀身の材料は黒ずんだ金属を複数選び

なお割れない様に湾曲して積層させ、

靭性を持たせた。

 木目みたいな模様が浮かび上がっている。

なんだっけコノ製法

ググレカス

じゃない

ダマスカスだ。


 基本片刃だが先端は両刃

戦闘以外での実用性も考慮し

サバイバルナイフのデカい奴にしてみた。

鞘も目立たない様につや消しのカーボンだ。


・・・・・

折角だ、名前も入れてやろう

悪魔文字はよく分からないので

漢字で「葛飾北祭」と入れてやった。

和風だ。


もしかして

エッダちゃんの口癖って


いや考え過ぎだ。


 膝を着き大袈裟に両手で俺から忍者刀を

受け取ると、引き抜き確認するダーク。


「こ・・・これが忍者刀でござるか」


黒い刀身はまるで光を飲み込むかのようだ

影、まさしくその刃に相応しい。


「そうだ。」


嘘です

適当です


「有難く頂戴するでござる

この刀に相応しい働きを誓うでござる」


真剣な眼差しで言うダーク。


と言ってもコイツ瞳がない

まんがではよく見る全部白目

4番サイボーグみたいな目なので

どこ見てんのか分かんないだよね。

まぁ口調から真剣な眼差しだったと

言っておこう。


これで少しは口が軽くなるか

戦闘で気になった事をきいてみよう。


なぜ

あの下らない挑発に乗って出てきたのかを


俺がそう聞くとダークは意外そうに答えた。


「あの時、拙者はてっきり隠れ場所が

バレていると思って身構えていたのでござる

そこで、あの挑発・・・もう出るしかないと」


居るのは感知していたが

場所までは分からなかった。


「なぜバレたと思ったんだ」


ダークは懐に手を突っ込みゴソゴソと

探ると、ある物を取り出して言った。


「拙者の隠れている影にコレが

投げ込まれたからでござる」


ダークの取り出したある物を見て

チャッキーが絶叫する。


「俺の靴!!!!!」


面白い

持ち上げて降りられない様にしよう


「ふっ流石だなチャッキー。俺より先に

ダークの隠れ場所を察知していたとは」


俺は腕を組み目を閉じ

うそ解説をでっち上げ

更に畳みかける。


「しかも音速で移動中に命中させるとは

もはや人の領域では無い精度、神業だ」


 俺とチャッキー以外の面々が

「ホォー」と感嘆し尊敬の眼差しを

チャッキーに向ける

 

もっと

もっと見てやって


「・・・えっ・・いや・・そんな

それ程でもないっすよーーーー」


上がる上がる

もっと上がれ


「俺の靴どこっすか、あれはチャッキーの

靴を見つければおのずとダークに行きつく

そういう意味だったんだろう」


俺は畳みかけるのを止めない

真っ赤になるチャッキー


「ややややめロッテまりーんず!!」

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