表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/123

第八十話

「とにかく大事になる前で良かったですわー」


満面の笑みでババァルはそう言った。


「アモンさん。二人を開放して

差し上げてくださいな。」


「・・・・。」


「アモンさん?」


それは疑問が解消してからにしよう。

俺は真顔でババァルに聞いた。


「この時間停止はお前が行使しているのか。」


「はい。そうですわ。」


今は術が使えるのか

そうか


「ベレンでは転移が発動しなかったと

言っていたが、いつから術が使える様になった。」


返答次第では皆殺しだぞ。


俺の気合は暖簾に腕押しだった。

ババァルは顎に人差し指を当て考え込んでいる。


「いつからでしょう・・・か?

今は咄嗟に使用したらうまく発動いたしましたの」


見かねた様子でダークが割って入って来た。


「その説明は拙者が」


 ダークはババァルと会ったベレンの店の

後の出来事を話し始めた。


 それによると

魔神13将・序列6位「解のゲカイ」の仕業だという

ダークは純粋に護衛としてババァルの影に

潜んでいたのだがゲカイの解除能力で

強制的に潜伏を解除されてしまい

かなり離れた森の中まで飛んでしまったそうだ。


「護衛のクセに敵の接近に気づかなかったのか」


そう言った俺に申し訳なさそうにダークは答えた。


「面目無い。殺意も敵意も発せぬとなると

見分けが付かぬでござる。」


 解除能力。

あらゆる仕掛けを解除する能力。

それ自体に殺傷力は無い。

 攻撃力が無い

その代償という訳では無いのだろうが

上位の術にも解除は通用するようだ。


 影に潜伏するダークの術を解除し

彼を排除した後、ババァルを尾行し

事あるごとに転移を解除。

 当初の予定だった魔女裁判ついでに

魔王殺害の為

 衛兵の目前で飛行をしようとした所で

一時的に成功させ浮き上がった所で解除。

 目撃者の大勢居る魔法の現行犯として

捕縛され以後は俺がババァルから

聞いた通りの流れだろう。


 森からベレンに急ぐダークは

ババァルを抱えエルフの里方面に飛行する

俺を目撃、進路をエルフの里に変更したそうだ。


「ナナイとはいつ合流したんだ。」


俺の質問に今度はナナイが横から

口を挟んできた。


「私には計画が伏せられていてな」


 偽聖騎士団を尾行させている彼女の

部下から魔王殺害の計画を知ったナナイは

東の魔都からベレンに向け急行していた。

 その途中でダークに会ったそうだ。


「ふーん。なるほど」


「ふーん・・・だと!」


なんか

ナナイが凄くおっかない顔で睨んでいる。


「なんだよ。」


「貴様の立てた計画だろうが

詳しい作戦内容がいつまでたっても

伝えられぬから怪しいと思ってはいたが

まさか殺害などと強行手段に打って出るとは」


「ナナイ殿。計画自体はオーベルが

立てたと拙者は見ているでござる」


オーベル

魔神13将・序列5位「計のオーベル」

一言で言うと参謀ポジションだ。


「アモンが命じて立てさせたに決まっている

仮に違っていたとしても反対しなかった

同罪だ。」


ババァルは困った様にキョロキョロしている。

そうか、ダークとナナイはアモンさんの

中身を知らないか説明しておこう。


「アモンはもう魔界に戻った。」


俺は自分の胸に刺さった冠婚葬祭を引き抜くと

ナナイの腰の鞘に戻してやる。

その際にナナイの腰に触ったが

すっげー細い


「だから魔核を破壊しても死なない

もう死んでいるからだ。」


 改めてその事実に気が付くナナイ。

ダークも同様に驚いていて

二人して説明を求めてきた。


 俺は降臨からの流れを説明し

ババァルの保護を決めた経緯まで説明した。


「何とも信じがたい話だが

それならば姫様を保護するというのも頷ける

しかし・・・そんな乗っ取りがあり得るのか」


 なんとなく俺への敵意が薄れた様子の

ナナイは消化に時間が掛かっている様子だ。


「しかし、目の前のアモンは確かに

我々の知っているアモンとは別人としか

思えぬでござる。我々の知っているアモンならば

話し合いなど有り得ぬでござるよ」


流石は忍者。

現実を現実として冷静に受け止め

その後で仕組みを分析していくつもりだ。


何かに気づき

ハッと顔を上げるナナイは

ババァルに強く訴えた。


「ならば、なおの事ダメです

下等な人間と婚姻などグギギギ」


ナナイの魔核には、まだ俺の指が

巻き付いたままだ。


「でも、あんなに強く求められたら・・・。」


頬を赤く染め上げるババァル。

こいつはヴィータと同じ受肉なので

生体反応がある。


 そんな分析に逃げても

俺がババァルに求婚した事実は変わらない。

さっさと蹴ってくれて良いのだが

何故か引っ張る。

許可申請中のまま取り消しも認めない

俺は女のこういうハッキリしないトコロが

苦手だ。



そういえばシンアモンさんも

ババァル苦手って書いてあったなぁ。


 取り合えずもう危険は無い。

俺は話せる程度で止めて置いた

力の供給を再開し満タンにしてやると

二人の魔核を開放してやる。


「外じゃなんだ。エルフ達にも

もう危険は無いと安心させてやりたい

続きは中で話さないか。」


ダークは指が刺さっていた辺りを押え

異変が無い事を確認していた。

さらに驚いて言う。


「我ら二人に力を供給して

まだ余裕とは・・・これが力のアモン

恐るべき男でござる。」


ナナイは若干、恍惚とした表情で言った。


「いっぱい注ぎ込まれちゃった・・・。」


ナナイは殺そう。


俺は再び指を差し込むと

出来る限りの勢いで吸引してやった。


「ギゃーなんでなんでやめやめ

ヒッィィィィ裏返る裏返る」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ