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第七十九話


 俺は潰れたナナイをデビルアイで解析する。

変な作りだ。

俺やベネット、それと今のダークは義体だ。

金属粒子が集まっている体だ。

 ナナイは一見すると受肉と間違えそうな程

金属粒子で骨や内臓を作っていた。

が、ほぼ形だけで生命体として有機的な

機能はしていない。

 言ってみれば保健室にある人体模型が動いてる

ような感じだ。

 圧壊した組織にナナイの力は通っていない。

魔核は潰さないでおいたので死んではいないが

しばらく動けないだろう。


 こっちは後でいいか。


 潰している最中も完全膝カックン耐性で

監視はしていたが、もう仲間は居ない様だ。


居るならばナナイの様子が豹変した時に

出てこないと行けない。


 俺は同じく倒れているダークに歩み寄ると

左手の小指を延長しダークに突き刺す。

 そのままダークの魔核に巻き付ける。


「変な気起こしたら即壊す。」


「・・・・・。」


 ダークは何か言おうとしている様だが

全く声になっていなかった。


殴り過ぎた。

魔核周囲にすらロクに力が通っていない

このままでは話にならないので

俺は指を通して力を注ぎこんでやる。


「・・・クッ、殺すでござる」


即時に回復が始まり

ダークはそう言った。


「いくつか聞いてからだ。それと・・・。」


「・・・それと?」


「そのセリフ、男子は言ってはいけない。」


「な・・・なにゆえ」


「貴様が理由を知る必要は無い。」


俺はカッコ悪い事をカッコ良く言った。

さて、そのセリフを是非聞きたい方も

回復するか。


俺は左手の薬指の方を延長しナナイに

突き刺すとダーク同様に力を注ぎこんでやる。


「・・・・くっ」


こちらも即時回復が始まり

潰れた胴体が見る見る戻って行く。


さぁ聞かせてもらうか


「なんでもするから、殺さないで」


こいつは常に俺の期待の反対に行く。


「・・・ナナイ殿。」


ダークが呆れているがナナイは必死だ。


「私が居なくなってしまったら

誰が姫様をお守りするの!

その為だったら何でもするわ

アモンにだって頭を下げる!」


「ナナイ殿!」


 今度は感動するダーク。

なんでもするって

俺がその姫様とやらを殺せと言ったら

どうする気なんだ。

後、アモンに頭を下げるのは

そんなに

そぉーんなに屈辱なんですか

シンアモンさん、どんな扱いなんだ。


バキン


物理的に音はしなかったが

俺にはそう感じた

その時、世界が音を立てて止まった。


なんだこりゃ・・・


ふと周囲を見回すと

大気が止まっている。

なんか薄紫色っぽいドームが

俺達を中心に半径1km程度で

展開されている。


「これは・・・。」


ナナイとダークが声を上げる。


「姫様の時間停止?!」


音の振動も止まっているので

音で聞こえたワケでは無いのだが

口の動きに合わせて脳内では

音声認識出来た。


 見えるという事は光は動いている。

俺は右手を握ったり開いたりしてみたが

通常速度だ。

停止というよりは厳密に言えば減速だ。

 悪魔、恐らく天使も時間停止は効かない

動く事が可能だ。


 では、何故

その姫様とやらは時間停止を行ったのだ。

なんとなく想像はつく

時間停止の効果が及ばないのは

悪魔の体内だけで

皮膚から外は停止している。

一度体から放たれた技は

発動しないか

した瞬間に止まってしまうだろう。


 俺は確認の為に右手から

狩りで使う弾丸を射出してみた。

想像通り弾丸は体から出た位置で

浮いたままだった。


「成程、その姫様とやらはお前達を

保護したいようだな。」


だが、完全に無駄だ。

俺の指は動く。

技など使わない、いつでも魔核を破壊できる。


しかし、その姫様とやらは、どこに居るんだ。

何故、俺が感知出来ない。


「アモンさーん」


俺達以外に停止時間内で動ける奴がいた。

そいつはベランダからモタモタと飛行してくる。

ババァルだ。


「ババァル。」


引っ込んでいろ、まだ、こいつらの仲間がいる。

続けてそう言おうと思った俺だが

ナナイ達の声で言えなくなった。


「姫様!!」


「姫!」


もしかして

姫=ババァルなのか


お守りするとか言ってたよな

あれ?


「どうか、その者達は手に掛けないで

下さいませんか?」


まーだ、先の方でモタモタ飛んでいるババァルは

そう言って来た。


「姫、私たちに構わずお逃げ下さい。」


「命に代えてもアモンを止めるでござる」


殺気立つ二人。

うーん

どうなってんだコレは


「お願いですわアモン。この二人は

数少ない私の騎士ですの。

助けて下さるなら・・・・・

婚姻の話お受けいたしますわ。」


「それだけは、なりませぬぞ姫様」


「そうです。こんな男の妻になる位なら

死んだ方がマシです。」


偉い言われようだなシンアモンさん。

なんか魔界での彼の扱いが心配になってきた。


「卑怯者、姫様をモノにする為に

どこまでも卑劣な真似を許せぬでござる」


「最低な男ね」


 俺は背を向け膝を抱えて泣いた。

魔核が壊れない程度の圧を

閉めたり緩めたりする。

 二人はそのリズムに合わせて悶え苦しむ。


 やっとババァルは俺達の所まで到着する。

細い両手で膝を押えハァハァ言っている。


「敵襲だって聞いたから応戦しただけだぞ俺は」


「はい、私もそう聞かされていまして

奥で匿って頂いていたのですが

ヨハンが終わったと仰ったので

外を見てみれば。」


「こいつら敵じゃないのか」


頷くババァル。

一応、本人達にも聞いておくか

俺は振り返り二人に聞いた。


「お前ら何しに来たの?」


キリッと答える二人。


「悪辣非道なアモンに囚われし姫様を

救出に馳せ参じたでござる」


「全く最低な男よね」


 俺は再び魔核が壊れない程度の圧を

閉めたり緩めたりする。


 今回の事件のまとめ


ヨハンは密かに接近する者達を感知し

敵が来たと思い迎え撃った。

ババァルは誰が来たのか知らない。


魔神二人はババァルが俺に保護されている

とは知らず、捕えられていると思っていて

救出にやって来た。


ヨハンがダークの呼び出した下級悪魔を撃退

ダークとの戦闘中に俺が帰還。

俺もババァルを殺害にやって来た魔神だと思い

戦闘継承。


つまり

全員カン違いしていた。


ぬっ殺さなくて良かった

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