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第七話

「なんでーぇえ・・・え、なんでー」


 ぶつぶつ呟きながら、そのエルフは眉間に皺を寄せ、

口を△にし目を閉じ、おぼつかない様子で右手をヒラヒラ動かしている。


 無駄なことを・・・。


 おぉ女子だ。座っているので身長はハッキリしないが

恐らく150cm前後、スリムというより華奢な体型だが

膝まである皮のーブーツからスカートまで伸びる太ももは

中々よろしい。


 俺は胸元に注目して失望する。

悲しいレベルでペッタンコだ。


 神よ、まだ試練をお与えになりますか。

実りの季節は未だ遠いのか。

 まぁその神からしてペッタンコだったっけなぁ


 帰ろう。


 いや待て。そうじゃない。

俺は目的を思い出し、引き返したくなる気持ちを押さえ

ゆっくりエルフに近づくと

出来うる限りの最高の営業スマイルで話しかけた。


「こんばんはー」


「ふぁ!」


ビクッと体を震わせると勢いよく目を開けるエルフ。

おぉ瞳はグリーンだ。

そして俺に気が付くと


「ビィヤァアアアアア!!悪魔だぁああああ!!」


 座った状態のまま腰のレイピアを抜き、そのまま切りつけてきた。


高性能デビルアイはレイピアの刀身の材質、抜刀速度を瞬時に判断する。

俺の物理防御が攻撃力を遥かに上回っていると判断。

回避の必要無しだ。


 パキーンとカン高い音を立てレイピアは折れた、

折れた刀身の先は空中で数回回転すると、ちょい離れた地面に刺さる。

 身長は調整していたので170cm位になっている俺。

脇腹辺りに切り付けられた。当たった箇所は分かるが

全く痛く無い。


 エルフはパニック状態になってしまい折れたレイピアで尚も

俺に切り付けようと滅茶苦茶に振り回す。


 いきなり攻撃してくるとか。なんだこいつムカついてきた。

犯すか。どうせエルフなんざオークに凌辱されるだけの生き物だし

ここで俺がやっちまっても何の問題もないよね。


 振り回すのに疲れたのかエルフは荒い呼吸で項垂れる。

さっさと逃げればいいものをと思ったのだが

どうやら腰が抜けているらしい。


「イヤ・・・いやぁーーやめてーーーーー!!」


 遂に泣き出し悲鳴を上げるエルフ。

やめてって、何もしてないだろ・・・。


 やはり悪魔状態がいけなかったか、いや

プレイヤーならこっちの方が明らかにゲームキャラだと

判別しやすいどろうと思ったからこそ

この姿のまま近づいたのだ。

 

 むしろ人化した状態だったならば

先刻のレイピアで俺の胴体はAパーツとBパーツが

分離して〇ア・ファイターがむき出しになっていたかもしれない。

 

まだ、帰れる所があるのかハッキリしていないんだぞ・・・。


 ゼェゼェ言いながらブルブル震えるエルフ。

頃合いか。俺は言葉を続けた。


「すいません。God Or Demonのテストプレイヤーの方ではありませんか

自分もそうなんですけど」


「えっ??」


涙そのまま顔を上げるエルフ。


「嘘っー!!」


嘘じゃねぇよ。


「やだぁーーー!」


嫌なのかよ。

昭和の女子中学生かテメぇは。


「すっごくビックリしたぁー」


レイピアの破片を拾いながら俺も言わせてもらう。


「俺もいきなり切られてビックリしました。」


しかし、俺の質問はGod Or Demonのプレイヤーなのか?

であって、俺を見た感想を聞いているワケじゃあないんだが

まぁ、この反応はYESでいいんだろうな。


「えーだって、怖かったんだもん」


はいはい俺のせいね俺が悪いですね。


「直しますよ。貸してください」


柄から20cm程度になってしまったレイピア。

エルフ若干ビクつきながら俺に手渡す。

手を引っ込める速度が速い。


だから微妙にキズつくんだよなぁ、こういうの


「直せるの?」


 試しだ。ぶっつけ本番だ。

どうせダメでも、もう使いモノにならない状態だ。


「ダメだったら鍛冶屋探すしか無いスね」


俺は断面を合わせてレイピアの刀身を握ると

昼間、冗談でやった「蒸着」の感触を思い出しながら

切断面間で金属粒子を交換させるイメージで縫い付けた。


 手を離すとレイピアは元通りになっている。成功だ。


「すっごーい」


ああ、俺も驚いた。


「イリュージョン」


いや手品じゃねぇし


「うーん、まだ結合が甘いな」


 高性能デビルアイで刀身を調べる。見た目には元通りだが

衝撃でまた同じように折れるレベルだ。


 悪魔光線も試してみるか。


 俺は目からビームを放ち、溶け落ちないように小刻みに

刀身に照射し溶接した。


 その様子をエルフはきゃあきゃあ言いながら見ていたのだが

集中したかったので途中からは無視して作業を進める。


 相当になまくらな剣だったので、溶接ついでに蒸着の要領で

刀身内の酸素を出して真鉄にしておき。分子結合の向きも

そろえておいた。これで2ランク以上は上等になったんではなかろうか。


 修理し終わったレイピアをエルフに返すと俺は改めて確認する。


「で・・・テストプレイヤーさんなんですよね」


「あ・・・はい。エルフ族でキャラ名はプリプラ」


プリプラ

プリティ・プラム

かわいい小梅ちゃん

だったけか

って

おいおいおいおい


「お前!!小梅かっ!?」


殺そう。

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