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第六十五話

 簡単に言ってくれる。

魔王・悪魔にしてみれば本体は安全な

魔界に有り、こちらには遊び半分とは

言いすぎかもしれないが、やはり真剣さが

足りない。

 死んだらそれまでの一度きりの人生な

人間にしてみれば正直腹立たしい。


 だが、ついこの間までの自分もそうだった

ログアウトしてしまえば関係無いと

人の事言えない

大いに反省すべき点だ。


「あのなぁ。」


しかし、よくよく話をしてみれば

撤退(死)まで含めた作戦は珍しく無いそうだ

ここ何百年の幾多にも渡る戦いでは

審判を待たず撤退という作戦も

しばしば見受けられたそうだ。


はーっ何だかなぁー


でも、これは真面目に考えてみよう。


【死亡ルート】

これは考えるまでも無く

悪魔側の計画通りに進む。

俺達にとっては都合が悪い。

まぁだから阻止したワケだが


【生存ルート】

悪魔達へのエネルギー供給が行われ続ける。

悪魔側は処刑が失敗に終わったと悟る。

どうなる?どうする?


 ババァルの話では主だった悪魔は

基本的に自分勝手で13将クラスの幹部と違い

集団の為に個を犠牲にする精神は無いそうだ。

そのせいで魔王処刑などという乱暴な手段が選ばれた。

 エネルギーが供給されているなら

その間は自分の興味本位だけで行動してしまい

集団として纏まらないのだ。


これは聖都の乗っ取りが滞る事は間違いない。

面白がってるのは幹部クラスで

下級悪魔は窮屈な人間の振りを

いつまで続ければいいのか分からない

やりたくないハズだ。

そうなれば

悪魔側はなんとしても魔王抹殺のために

残りの13将が動くだろう

人間に処刑させ悪しき習慣の旗揚げついで

という余興の余裕は無い。

変な搦め手は止めて

直に狙ってくるに違いない。


ルートはもう一つある。


【死んだふりルート】

エネルギーの個別お遮断は出来ない。

一個のコンセントから全ての電化製品に

タコ足配線してる様なモノだ。

生存しながら全遮断し死んだと見せかける事は

出来そうだ。

 どのタイミングで実は生きていましたー

ってやるのかが問題・・・・

いやいやいや

聖都侵攻が進んでしまうので

このルートの意味が無い。


迷うまでも無く生存ルートだ。


「生きろババァル」


カッコよくそう言った俺。

しかしババァルはクスクスと笑った。


「いつ死ぬかという事は

いつまで生きればいいかと同義ですわ

おバカさんですわね。言い方を変えてさしあげましょう

いつまで生きれば良いでしょーうかっ」


バカにバカって言われた。

俺は終わりじゃないのか。


ムっとするのを堪え俺は

同じ調子でカッコよく言った。


「ずっと生きろババァル」


なんか

もっと頭悪くなった感じだこれは

だめだ失敗だ。


 案の定ババァルは声を出して

笑い始めている。

笑顔がかわいいなぁ


「少なくとも審判の日まではな」


 そこまでなら俺は存在が可能だ。

太郎の予想では審判の日とその後の変化

そこまでは社もモニターしたいだろうから

意図的に電源が落とされる事は無いとの話だ。

 俺も同意だ。


「難しいですわね、身を守る術がありませんわ。」


 ババァルも分かっているのであろう

悪魔が早急に自分の命を落としに掛かって来る事を


 しかし、なんなんだコレは

魔王だよ。

それがさ、神側、悪魔側の両サイドから

命を狙われるってさ

本人の攻撃力0で

人間風情にまで、あんなボッコボコにされてさ

その上もっと強い連中が来る予定

勇者とか13将とか

オーバーキルもいいとこだ。

 

 なんだろう

胸の奥底が焦げ付くような感触

気に食わないな


「俺が守る。お前を狙ってくる連中は

全員、もれなく返り討ちにする。」


ババァルは俯いてしまった。

あれ

喜ぶトコロじゃないですかここは


「その見返りに嫁になれとおっしゃるのですわね」


体をガードするかのように

両手でそれぞれ反対側の肘を持つババァル


「はぁ嫁?何言ってんだ」


真っ赤な顔でキッと睨んでくるババァル。


「こここの間、求婚なさったじゃありませんか」


言った


「言った。」


誤魔化せて無かったか。

冗談だと言うと怒りそうな気がしたので

俺はそれとこれとは関係無いと言っておいた。


仮に了承されもても今それどころじゃない。


「そう・・・ですの。」


 なんか残念そうだ。

どっちなんだお前


「後・・・その・・・」


モジモジし始めるババァル

あー

何が言いたいか察しがついた。

このアンコ食う魔王


「そうか、じゃ移動だ」


そう言うと立ち上がる俺。

しかし、どこに連れて行く

流石にこのままベレンには行けない

処刑予定だった魔女だしな。

うーん

バロードの村・・・も

まずいな

ベレンと交流がある

こんな美人じゃ話題になる

噂はすぐにベレンに伝わるだろうし

そうなるとあそこしかない。


「どちらに移動なさるのですか」


神の信仰が始まってしまっているが

まぁ、なんとか胡麻化せるだろう。


「まぁうまいモンが食えるトコロだから」


こうして俺達はドラ焼きの材料が

全て整っている里に向け出発した。

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