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第六十四話

「オノレ女神メェー!!」


俺は前回の反省からちゃんと加減したのに

ヴィータの女神びーむは前回と同じ

いや

それ以上だった。

脳内アラームがベネットの時と

同じ様に鳴り響いた。


「殺す気ですわ」


 ババァルも注意する程

今回の女神びーむはデカかった。


 なんとなく

こうなる気はしてしたので

今回は俺の方が対策を準備していた。

 デビルバリアを二重にしたのだ。


危ないなら二枚でどーだ。


 遅っい女神びーむがデビルバリアに

到達、拡散・貫通するタイミングで

俺は300m程度上昇すると体内に

収納しておいた爆薬を取り出す


 今回は派手さを重視して

火薬だけでなく、燃焼時にキレイな色を出す

様々な金属粉、多分マグネシウムとかだろう

を種類別に層上に配置した爆薬だ。


 こいつに着火、俺自身は170cm級になり

ババァルをお姫様抱っこすると更に上昇する

これなら生き残っているのは分かるまい。


 爆薬はドーンと大きな音を立て

緑や赤といった綺麗な火花が瞬間で

直径200m程度広がりスっと消えて行った。


 そう、花火だ。


「きゃっ」


 抱っこしたババァルが爆発音に驚く

しかし、その後すぐに喜んでくれた。


「キレイですわぁー」


 それにしても柔らかいなぁ

それに見てみればババァルの傷は

幻だったかのようにキレイに治っている。

 衣服はボロボロのままなので

それが幻では無かった事を主張している。


 この現象は想像がつく。

美味しかったのだ。

以前ベネットがベレンの事を

美味しそうな餌と言っていたが

その通りだった。


 今の茶番で得た大量の恐怖は

ベアーマンなどと比べものにならない程

質が良かった。


 こんなに差があるのでは

悪魔が犬をいたぶったりするより

手間を掛けてでも人間を標的にする事に

納得だ。


 美味しさに酔いしれる一方で

申し訳なさに心のどこかが痛む

それが非常に希薄な事に

俺は少し悩む。

 心は人間のつもりでいるのだが

徐々に悪魔になって行っているのか

元々そういう奴だったのか

 どちらにしてもヒドイ奴だ。


 ババァルの衣服が修復されないのは

俺の服と同じ理屈なのだろう

髪や爪といった部分を素材にしているので

治癒の対象外、代わりに痛みやエネルギーの

供給の心配もいらない。


 なので、早く別の服を生成して欲しい。

キズの治った健康体でその恰好は

マジで薄い本が熱くなるレベルだ。


 あれっておかしいよね

服は紙みたいに簡単に破れない

布が破れるほど強く引っ張れば

破れる前に投げ飛ばされるでしょ

柔道がそうでしょ

 生地が薄ければスゲー伸びるでしょ

服がボロボロなのに血の一滴も零れない

肌が無傷ってあり得ないでしょ

 服だけ切り刻んでキズ一切つけない

それも服はキレイに切れていない

破かれた様にボロボロの切断面

更に言えば背中側まで同様に切り刻んで

一瞬でまっぱに剥いてしまう。

そんなよくいる剣の達人。


すごいよね

どうやってやるんだ。

物理的におかしいだろ


でも


あれでいいんです

あれで正しいんです

ビリッって行かなきゃ

キャあぁっ

ぐへへ

ってならないし

血が噴き出したりしたら

ギャー

うわぁゴメン

ってなって

可哀想で

それどころじゃなくなる


優しく酷い目に遭わせないといけない


しかし

マンガやドラマなどでは

おぉっってなる状態なんだが

いざ目の前にいられると

まともに見られない。

頼むから

なんか着てください。


 俺は取り合えず思いついた避難場所

例のコントが行われた古城に即飛んだ。


「まずなんか着てくれ。」


これでは話が始まらない。


「替えはありませんの」


 聞いてみた所、ババァルは変化も生成も

出来ない(試した事がない)そうで。

 仕方が無いのでその辺にあった

適当な布のど真ん中に穴を開け

そこに首を通して着てもらった。

 貫頭衣って言うんだっけ

なんかTV見ながら「白い方が勝つわ」とか

言いだしそうな恰好だ。

 まぁ色白なので違うのだが

ともかく見られる様にはなった。


「やっと話が出来るな。聞きたい事が山ほどあるぞ」


 そう言って俺は長い話になる事を伝えておく

話が長いならばと、俺は話をしながらお茶を入れた。

 体内に貯めていた金属から銀を選んで

カップとポットを作り、水は大気から冷却で集め、

持ち歩いているセットの中から茶葉を出す。

 伸縮性の高い素材、いわゆるゴムバンドで

大きさの変動に対応した特性ベルトに

収納出来ない物やすぐに生成出来ない物を

まとめて入れてある、俺専用のお出かけセットだ。

茶葉は生物由来なので体内収納も生成も出来ないのだ。


 ババァルは話よりも、そのお茶を準備した方に

興味深々だった。


「まぁ、まるで魔法のよう」


魔法だよ。


胸の大きい女性はバカという俗説があるが

あながち嘘では無い気がする。

難しい事を考えてばかりいる人って

なんか小柄だったり痩せてたりする。

 のほほんとしていると成長が良いとかないかね

遺伝なのは間違いないのだが

育つ過程と環境の影響もあると思うよ。

 思春期になってからも

胸がデカいというだけでも

圧倒的なアドバンテージで

それだけでデレデレする男子が

チヤホヤしてくるので

 益々考えなくなる。

そうでない人は意中の男子の気を引く為に

あれこれ考えたり努力して

思考するクセ・実践する行動力が身に付き

デキる女の要素が鍛えられるとか

で、肝心の大きなバストと意中の人は手に入らず、

おっぱいばっかりでバカな女に取られちゃったりしてね。


何を考えているんだ俺は


 そう思いながらもポットに適当に

弱悪魔光線を断続照射してお茶を完成させる。


 聞いた話の内容を纏めると

魔王ババァル本人である事は間違いない事。

転移は使用しようとしたが発動しなかった事。

護衛はいつから居て、いつ居なくなったのか

ババァル本人は分からないという事。

 転移が発動しないので、他の方法

今回の場合「飛行」をしようとした所を

魔女の実行犯という事でとっ捕まったという事。

 尋問らしい尋問は無く

ただ暴力を振るわれたとの事だ。

暴力の詳しい内容は聞かなかった。


「ほっとしますわー」


泣きながら訴えてもイイような内容なのに

ホンワカと話すババァル。

すごいギャップだ。

大物には間違い無いのだが

大物だ。


 そこまで確認すると俺は自分の推論を

ババァルに説明した。

 俺が助けたのは悪魔側の陣営を勝利させない

為である事も隠さず伝える。

 がっかりさせてしまうかもしれないが

ココは早目に説明して誤解させておかない方が

どっちの為にもイイと考えたのだ。


 と言うか。

上手く誤解させて有利に事を運ぶ自信が無い。

自慢では無いが俺は嘘が下手くそだ。

 どうせすぐバレる。

スパイはもちろん二股とか絶対無理だ。


「そうですか・・・。」


 残念そうだな。

やっぱりがっかりさせちまったか


「では、私はいつ死ねばよろしいでしょうか」

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