第五十五話
「なんとも有意義な先行偵察じゃったの
褒めて遣わすぞや」
そう言ってヴィータは俺の頭をなでなでしてきた。
「教会に立ち寄って偽騎士団が来ていない
情報を得たのは分かる・・・じゃが」
「じゃが?」
「魔神13将の3・4位はどうして知ったのじゃ」
「そりゃ魔王に会ったからな」
俺とハンス以外が凍り付く。
あまりのヤバ気なリアクションに
俺はわざと聞こえる様な小声でハンスに耳打ちする。
「これも言って無かったのか」
「・・・すいません」
いやハンス君は別に悪くない。
「たけ・・・あアモンそこで魔王を討ち取っていれば」
「全て解決じゃった」
ワナワナと震え出す二人。
ヤバい
悪魔脳加速処理モード
最適解を導け
以下の思考は0.5秒で行われた。
パターン1【おっぱい】
「いやーあまりの巨乳に下の武器ばっかり勇んじゃって」
却下!
絶対ダメ
パターン2【後で考える】
「フッ・・・これも策なのだよ」
今言えといわれたら
どう誤魔化すんだ
これも却下だな
パターン3【ポルナレフ】
「何を言ってるのか自分でも分からねーが
恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。」
ごめんなさい
このシリーズのファンなんです。
やばい
最適解が出てこない
どうしたら良いのか分からず
困っているとハンスが助け船を出した。
「申し訳ありません。私のせいなんです」
珍しく大声だ。
いや最近は声大き目な事が増えたな
「魔王の影の中に魔神が護衛として
隠れていたのです。そうとは気が付かず
私は変な気を起こし・・・・アモンさんが
止めてくれなければ私は今頃・・・。」
おぉ
イイぞぅハンス君
「アモンさんだけだったなら
きっと今頃・・・私を守る為に
こんな大事なチャンスを・・・・。」
そうだそうだ
お前のせいだ
さーてどうやって責めてやろうか
ん
ん
いや
ここは
恩に着せるかフヒヒ
こういう時は
恩に着せない恩の着せ方がベストだ
「ハンスを連れて行ったのは俺の判断だ
俺じゃあ教会に入れないからな。」
口調もゆっくりはっきりと
普通に
急がず怒らずクールにと
「だから責任は全部俺だ。」
ここはSEさんに「シャキーン」って入れてもらおう。
さぁ俺のせいだ
でも責めないで
「ごめん・・・事情を全部聞いてから
意見すべきだよね。」
後頭部をポリポリするカルエル。
「うむ・・・そうじゃな。」
おやぁヴィータさまぁ
どうしちゃったのかなぁ
いつの高飛車な態度はどこいっちゃたのかなぁ
いいんだよ言ったって
ハンス一人の命と全世界のどちら大事かぐらい
責めろよ
どうした
こいよクソ女神。
とにかく続きを聞かせろとなった。
ふぅ
凌いだ。
良かった。
それにしてもハンス君がキラッキラした目で
俺を見ている。
なんか、俺がやらせろと言えば
尻の穴を差し出してきそうな雰囲気だ。
いわないけどね
近づく夜のハンスを隣で感じていたくないからね。
そうしてカルエルと出会ったトコロまでを
説明し終えた。
「そうか・・・それでベネットを」
カルエルもベネットを捨てた事情を理解してくれたようだ。
「ん、持って帰って来てはいけないモノを
その時その時で判断しておるようじゃな
正直その影の魔神がついて来ていたら危うかったわ」
「魔神13将、序列10位【影のダーク】暗殺と
諜報にかけては随一ですからね」
低っく
10位って影低いな
薄いとかは俺も良く言われるけど
えー
諜報ってもっと上位にじゃないとマズいだろ
「それに・・・時空魔王:ヴァサー
彼は魔界でも3本の指に入る」
ん
なんでばさーなの
名前を言わず魔王で説明したけど
なんでばさーなの
違うし
「んにゃ、俺が会ったのはババァルって名乗ってたぞ」
俺とハンス以外が凍り付く。
あまりのヤバ気なリアクションに
て
また最初に戻るのか
この流れって