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第五十二話

 大声になり過ぎた。

明日、村長夫妻に謝らなければな。


 あの後、更に激昂し始めた小梅を

太郎は上手くなだめた。

 俺は外に追い出されてしまったので

どうやったのかは知らない。


 庭でボーッとしていると太郎が出てきた。


「すまないな」


 俺は強引に説得しようとしすぎて

結局、冷静な話し合いにはならなくなってしまった。

その事を太郎に謝罪した。


「いいって。・・・灯りいる?」


輪っか出すつもりなのか

それは目立つし、見つかれば大騒ぎだ。


「いや、月明かりだけでも十分でしょ」


 あの月もそうだ。

あれは有る。

テクスチャを貼っただけのモノでは無い。

ゲームの為だけにここまで設定する必要は無い

 俺はまだ異世界の現実と思い込もうとしている。

仮にメモリー上に展開されただけの存在だったとしても

どうにも出来ないし、確かめようが無いし

分かったトコロでどうだって言うんだ。

やる事は変わらない。

もう、開き直りだ。


「太郎。俺はやるぞ」


太郎と自分にそう言い聞かせた。


「うん」


予想通りなのだろう、太郎は頷いただけだった。


「毒を食らわば皿まで、プレイしたからには

エンディングまでだ。」


「流石は伝説のクソゲー【たけしの挑戦状】をクリアした、たけしだ」


 あれはもう二度とやりたくないなぁ


 気になって仕方が無い事がある。

それがやる気の最大の原因と言っていい。

俺は太郎に自分の考えを話した。


「ベネットと話した事でな」


「うん」


「悪魔の目的が現代の世界そのものだったんだ

俺はそう感じた。」


不思議そうな顔をする太郎。

俺は話を続けた。


「人々は際限無く増えつづけ、

その大半は不幸を抱える。

幸せな支配者層はごく一部で

そいつらだけ悪魔は操って

営業活動することなく大量の悪感情を

むさぼる世界だ」


「・・・・。」


「幸せを神に感謝し、不幸を悪魔に呪うのが

本来の自然な流れのハズなのに、その世界では

幸せはそのままラッキーで不幸で神を呪っている

呪われた神は力なんて集まるハズも無く

衰弱しきって何も出来ない。全くもって

悪魔にとって理想の世界だ」


「それが現代社会と被ると思ってるんだね」


特に感情を含めず太郎は言った。

俺はまだ話を続けた。


「あぁ、悪魔側がほぼ勝利を収めた未来が

俺達の居た世界で、今ここはまだ戦いの

行方が定まっていない過去だと・・・

思ってるんだ」


そうだったのか

自分で言ってて知らなかった。

話しながらか自分の考えが分かった

俺はもう少し、する前に良く考えるべき

考え無しで行動する困ったちゃんなのかも知れない。


「うーん確か・・・吉岡さんが

そんな事言ってたかなぁ」


「・・・誰だ。それ?」

 

 村長の家から物音が聞こえた。

俺たちは振り返って確認する。

何か落としたような、転んだような

そんな音だった。

しばらく様子を伺うが

それ以降何も聞こえなかった。

 小梅がヒステリーで暴れてる様子では無いようなので

俺達は向き直って話を続けた。


「これも担当外だったからウロ覚えなんだけど

吉岡って人が原作の大まかなストーリーを

書いてたんだ。」


「・・・そいつは現代社会をそう解釈していた

って事なのかな」


あながち外れでは無い。

いや

それどころか大いに共感しますよ。おれはね

吉岡さん

誰だか知らないけど吉岡さん。


「じゃ太郎はこのゲーム」


「あぁ悪魔側が勝利を収めない方向に動きたい」


ただ神側の考えもちゃんと聞いておきたい。

嫌だがヴィータと真面目に話さないとな。


 その結果いかんでは

第三の選択も視野に入れないといけない。


「OKたけし。協力するよ」


「いいのか。電源の落ちるその日まで

小梅とイチャイチャしてたってイイんだぜ」


「それは肉体の有る方の俺に任せるよ」


そうですか

肉体が無いと始まらないんですか


爆破するぞこのリア充


「天使だからね。この一大事に抜けるワケにも

いかないし。エルフ族なら里にいれば

どっちの陣営が勝利しても大した影響は

無いよ。彼らは無宗教だからね」



「それなんだが、今回のプレイの成り行き上・・・」


俺はベアーマンの一件を太郎に説明した。

聞き終わった太郎は頭を抱えている。


「何してくれんのもう想定外だらけだよ」


ここは【パターン2】でいいだろう


「俺は嫌だったんだ。ヴィータがやれって言ったんだ」


 また村長の家から物音がした。

流石に気になる。

どうせハンスとヴィータに

今後の話をしないとだし

小梅の様子も気になるし

俺達は庭から村長の家の中に移動する事にした。

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