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第四十五話

 魔王の攻撃力は無い。

ベネットが語ってくれた内容を

纏めると、魔王とは簡単に例えると

悪魔達の電池だ。

 悪魔がこの世界で現存するために

使用されるエネルギーの供給源だ。

 各自が現地で人々の悪感情を

吸い上げ自身の使用量を上回れば

魔王に還元され、魔王の力はアップする。

 恐怖を献上出来なければ、魔王そのものの

現存する為の力が枯渇して存在できなくなって

しまい魔界に強制帰国してしまう。

 その場合、悪魔達は魔王抜きで現存する

ためには常に人々の悪感情を吸い続けなければ

ならない、自転車状態だ。

 人々を痛めつけなければ魔王が枯渇し

それでも行為に及ばねば自身も消える。

 

 どう転んでも悪魔は悪感情が必要に

なってしまう仕組みだ。

 そしてそのエネルギーで活動し

悪感情と契約によって得る人の魂で

自軍の領地の拡大の為に行動するのだ。


 魔王の序列は、各自異なる特殊スキルと

蓄積出来る魔力量で決まっているそうで

目の前のババァルはその量が当然一番多く

結果、悪魔達個人個人の使用できる力も

増え有利に事が運べるというワケだ。

 ならば毎回、一位を送り出せばイイだけ

なのだが、これがどうも魔界から

出てくるにもゲートの開き具合があって

余り開いていないのに一位を送り出しても

開き具合によっては下位の力しか持ち出せない

 開き具合に適応した魔王を送るのが

無駄が無いとの事だった。


 そして「審判の日」神と魔王の手下達の

頑張りの結果で次の降臨までの領土が決定する。

 

 負け続ければ帰る世界が存在出来なくなる。

最悪、魔界あるいは神界がなくなり

人のこの世界に落ち延びて細々と

落ち武者狩りに怯えながら生き延びる道しか

残らないという事だ。


 これが、この戦いの仕組みだ。


 そしてババァルは暗黒魔王。

特有のスキルは文字通り「暗黒」

暗闇そのもの、それだけで

昼間はなんでも無い場所を

恐怖の空間にしてしまう。


 そして光で人を導こうとしている神側に

とって最も厄介なカウンターでもある。

 圧倒的に上回る量で力押しする以外の

対処法がないのだ。


 今回のアモンさんのデタラメな強さも

ババァルのお陰なのだが、

この話が本当なら今までの俺は

イタズラに力を消費して

悪感情を献上できていない。

 かなりの足手まといだ

味方に戻らないなら早々に退場した方がいい。

 ベネットの行動は正しい。


 ヴィータは圧倒的不利な状況を

一気に覆した一手を打ったワケだ。


 ババァルもようやく理解が追いついた。

俺もベネットの話を理解した、さて

これでやっと話が出来る状態になった。

 

 神には会った。

なんとしても魔王と話をしなければ

俺の今後今後の方針が決まらない。


後、もう一人いるのだがこっちは

会えるかどうか全くの未知数だ。


「魔核があるのに帰還できますの?」


この体を残してアモンが魔界に帰還した。

その事実が納得いかない様子のババァル。


 魔核はこちらの世界での悪魔の本体だ。

これ無しでは存在出来ない。

逆に言うと有る以上帰還出来ない。


「それにつきましては見て頂くのが

説明するより早いかと」


 俺よりもベネットがババァルに

そう促した。

 あの時のベネットの顔は傑作だった。

言われるがままにババァルは上位デビルイアイで

俺を細かく走査する。

先程の判別と違って多少時間が掛かる。


「あらあらまぁまぁ」


 いい表情だ。


「これは、どういう手品なんですの」


「前例の無い現象です。彼が異界の

人間である事が関係していると思われます」


ベネットなりの解釈を説明した。

そう言えばシンアモンさんも

界外の力と表現していた。


「俺からも聞いてもいいかな」


俺は話を切り出した。

返事の変わりに頷くババァル。


「魔王は人間の世界をどうするつもりなんだ

やっぱり阿鼻叫喚の地獄にするつもりなのか」


キョトンとする魔王。


「どうする・・・と言われましても」


ベネットを見る。

助けろと

おいおい目的分かってないのかよ。


「魔王様に代わり私から」


察したベネットが語り始めた。


「短期的な力の収穫が目的なら

それも一つの手ではありますが

長期的な視野で見るとむしろマイナスです

人間には是非、神の束縛を離れ己が欲望に

従って繁栄して頂きたい」


「繁栄?それじゃあ幸せになっちまって

収穫が無くなるんじゃないのか」


不敵に笑いながらベネットは俺の疑問に答えた。


「幸せになどなりません。極一部の人間は

なるかもしれませんが圧倒的大多数は

不幸になりマイナスの感情で世界は満たされます」


ここよりも遥かに文明が発達した世界。


「我々は、その極一部さえ押えればよろしいのです」


そこは何十億と人が生きている世界。


「後は勝手に人は不幸になりながら

増えていくでしょう」


そんな世界から俺は来た。


「そして、その不幸で神を恨むのです

何故救ってくれないのかと」


俺は俺たちは幸せだったか。


「悪魔のせいにする人など誰もおりません」

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