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第四十四話

もろタイプだったので

つい口から出てしまったが

なんとか胡麻化し場所を変える事を提案した。


 話をしようにも、とにかく目立つ

なので手近な宿に休憩でも思ったのだが

色っぽいお姉ちゃんと神父二人で休憩って


「絶対、無理です」


ハンスの強い反対にあった。

俺の服はもう変えた方がいいだろう

背中に大剣背負った神父は流石におかしい。

 丁度良い機会だった、街で人のファッションを

観察出来たので良く見掛かる冒険者風の恰好に変えた。


 宿は無理なので個室のある、お値段高めの

酒屋を探して入る。

 個室といってもパーテーションで区切られただけだが

取り合えず無関係な人の注目を集めずに済めば良かったので

そこにした。


三人とも酒は飲まないとの事なので

店に気を使い高めの料理を頼む 

 話の内容が荒唐無稽な話になりそうな

気がしたので取り合えず多めに注文をして

品が揃った所で話を始める。


 さて何から話せば良いものかと思案するが

ババァルから話を切り出してきた。


「・・・アモンさん」


深刻な表情だ。


「何から話ましょうか・・・そうね

まずは急ぎの要件から話しましょう」


探していた位だから話があるのは向こうだ。


「この話が終わったら、どこでもいいから

逃げて、そして身を隠してください」


「何か俺に危険が迫っているのですか」


なんだろう。総攻撃とかか


「ベネットが・・・何も言わず消えました

裏切者を始末しろと命令出来ない不甲斐無い

私の為に気を使ったのでしょう。あなたを

殺しにやってきます」


はいはい

あの古城のコントで再現したアレね。


 俺は壁に立てかけた創業祭を

余っている椅子に持って来て

立てかけてやる。


「それならもう返り討ちにして

今ベネット君はこのザマです。

おい、話し合いに参加していいぞ」


基本、ベネットには許可なく口をきくなと

言ってある。

まぁあまり守ってくれてないが・・・。


「よろしいのでしょうか。」


こいつ面白がって黙って見てるつもりだったな

そうはさせん。


「当事者の一人だしな」


 創業祭と俺のやりとりを見て

ババァルは目を白黒させている。


「ババァル様、勝手をした挙句この不始末

許しを請うにも罰を受けるにも今現在アモンの

所有物です。なんとも情けない」


 ババァルは怒るでもなくキョトンとしている。

理解が追いついて無いのか

どう理解したのか嬉しそうな表情になった。


「まぁ・・・良かったですわね」


え、嬉しいの?


「ベネットは、いつも仰ってましたものね

【我、一振りの剣になりたい】と、夢を叶えたのですね」


「そうだったのか、良かったなベネット」


俺とババァルはパチパチとベネットに向けて

拍手をしてやる。


「それは物理的になるという意味では無いのでは」


真面目なハンス君には冗談が通じない時がある。

拍手をピタリと止めるとババァルは

またキョトンとした表情になる。


「あら、違いましたの?」


うーん

やばいな

ババァルもしかしてポンコツか


 天然と、カタブツと、ひねくれものと、俺だ。


これは話しが纏まるどころか

まともに進行するかどうかも怪しいぞ。

どうします監督?

ええい、このままカメラを回せーーー


「・・・いえ、これもまた一興」


ほらな

素直に悔しがれよ。


「それでは、緊急の件はもう大丈夫ですわね」


いいの大丈夫なの

ベネットこれでOKなの


「では、次のお話ですわ」


 流れた。

まぁベネット本人の希望はこのままついていく

だったからな。魔王が返せと言わないなら

無理に魔王に戻してもしょうがないか


 次のお話が始まるものと構える

俺とハンス、恐らくベネットも

しかし中々口を開かないババァル。


 引っ張るなぁ・・・。


「どうして・・・どうして裏切ったの」


 俯いてしまったので表情は分からない。

俺は返事の変わりに袖をまくった。


「あーコレです」


 聖刻を見たババァルは驚き

目を見開き、手で口を押えると

涙が見る見る溢れさせてくる。


「そんな・・・非道い」


んーコレってやっぱりヒドい仕打ちなのか


「ごめんなさい。私てっきり裏切られたと

ばかり・・・最低だわ私って」 


 ババァルはテーブルに手をつくと

ペコリと頭を下げた。


「神、降臨の際に何が起こったのか説明しましょう」


 ババァルは真剣だった。

相手が真剣なら、こっちも真剣にならなければ失礼だ。

 俺は今までの事を洗いざらい話した。

VRゲームの事は説明しようが無かったので

別世界の人間という風に説明した。


「正に奇跡です・・・ヨハン様」


ああ、そうか

ハンス君には言ってなかったっけな

凄い感動して泣いている。

 ヨハンの命掛けの秘術で悪魔は去り

その体に一筋の希望である救世主を

召喚した事になってる。


 一方ババァルは両手の人差し指を

こめかみに突き立てて考え込んでいる。

理解が追いつかない様子だ。


 つい正直に話してしまったが

軽率だったか

 ここで魔王が「おのれ人間め」と激怒して

暴れまわり始めたら止められないんじゃないか

人化した見た目はこんなだが

今、目の前にいるのは魔王だ。

俺より上位の存在なのだ。

現にデビルアイも俺より上位だった。

 勝てるかどうか分からん。

ハンスを含め町の人々に被害無しなんて無理だ

怒って暴れ出す前に戦うなら場所を変えるように

説得しないといけない。


 俺の緊張を察したのかベネットが

助け船を出してくれた。


「アモン。戦いにはなりませんので

怖い顔は止めて頂けませんか」


あ、顔に出てるのか


「いや魔王が怒って暴れ出すんじゃないかと」


「怒るかもしれませんが魔王様は戦闘力0です

騒ぎにはなっても被害は出ないでしょう」


「はぁ?戦闘力0って」


そんなラスボス新しすぎないか 

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