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第三十九話

「やりすぎじゃ・・・最初の咆哮で数名即死者が出たぞや」


「アモンさんは、やはり凄い悪魔なのですね」


「・・・最低」


俺はパターン8【素直に謝罪】でみんなに謝った。


「ごめんなさい」


「我の見立ても甘かった。防ぎきれると思うておった」


最初の咆哮時、ヴィータは聖域を展開し

悪魔の力を無効化していたのだった。


無効化しきれる自信があってこその作戦だったのだが

俺の力がヴィータの予想以上だったという事だ。


なんにしろ一回リハーサルしておくべきだったのだ。

何事も練習は大事だ。


 宿にこっそり戻って来た俺は

皆が宿から村長の家の客間に移動になった事を

宿屋の主人から聞き、村長の家に来た。


 そこで冒頭のやり取りの後、

その後の顛末を聞く。

 死者の蘇生は楽だったらしい

ショック死なので外傷は無く。

飛び出た魂を戻すだけだったそうだ。


 楽なんだ・・・すげぇな女神。

しかし、蘇生を見逃したのは残念だ。

デビルアイで解析しておきたかった。


 女神御一行ということでVIP待遇だ。

まぁVIPといっても貧しい村なので

豪華とはいかないが、金が掛からないのは

ありがたい。


 今夜はこの村に滞在するという事なので

俺は許可をもらい、単独行動に移る。


「何をする気じゃ」


「畑が酷い。痩せた土地でも育つ作物の

種を分けてもらいに一回エルフの里に行く」


それを聞いた皆は何か言いたげだ。


「使いがあるなら聞くぞ」


 俺がそう言うとハンスはヨハン宛の手紙を

俺に渡してきた。

 様子も見てくると約束する。


 女子二人は果物と蜂蜜を要求してきた。


 俺は再び人目を忍んで先ほどの人目の付かない

村外れまで移動すると170cm級悪魔になる。

デフォルトサイズだとエルフ製リュックと

創業祭の鞘、これらは大きさが変化してくれないので

使いずらいのだ。


 徒歩だと何日も掛かる距離でも音速で移動すると

あっという間だ。

 むしろ巡行している時間より適度な加減速に

掛かる時間の方が長い位だ。

 瞬時に最高速に達する事も、0距離で停止も

やれば出来るのだが、俺の肉体以外の物が

偉い事になるので、壊さないように気を遣う。


 もうエルフの里が見えたので減速しながら

降下するがこのまま飛び込むと大騒ぎだろう。

 どうしたものかと思案する。

歌うか。

 ちょっと恥ずかしいがヒーローの歌を

大声で歌いながら里のベランダまで

ゆっくりと減速し着地する。

 歌のおかげで矢が飛んでくる事は無かった。

俺は人化して挨拶する。


「どうもータムラさんに会いに来た」


 エルフ達に凄い歓迎された。

ちょっと恥ずかしい位だ。

 歌を聞いた子供エルフが歌いながら

次々と出てきて取り囲む。


 プラプリが出てきたので俺は声を掛ける。

顔見知りは有難い、話がはやい。


「あれ、旅立ったのでは・・・。」


 俺は現在地と戻って来た要件をプラプリに

説明する。


「その距離を短時間で飛べるなんて」


 プラプリは驚きと羨望の混じった感想を

言いながらもタムラさんのいる厨房まで

俺を案内してくれた。


「おや、旅立たれたのは・・・。」


首を傾げるタムラさんにプラプリは

先程の俺の説明をリピートしてくれた。


「なるほど・・・荒れ地でね・・・。」


俺は失礼して厨房内に入れてもらうと

目的の野菜を指さす。

食った料理の中にトウモロコシっぽい物と

ジャガイモっぽい物があったのを

覚えているのだ。


 タムラさんは気前よく種と種芋を

分けてくれた。

 岩塩とってこようかと聞いたが

しばらくは大丈夫な事と

ベアーマン経由で今後は安定的入手に

なりそうだとの事だった。


 なんと交渉は続いているそうだ。

あのベアーマンの中にも話が通じる奴が

いるらしい。

 滅ぼさなくて良かった。


「そうだ。丁度良いいや」


 交渉で思い出したとタムラさんは

俺に相談を始めた。

 その内容はなんと蜂人だった。

俺たちが去った後、蜂人が森の妖精宛てに

蜂蜜を持って来るようになったそうだ。


「そんな事、要求してないぞ」


「そう言ったんですけどねぇ。妖精さまに

納める供物だと言ってなぁ・・・。」


 使い切れない位、持って来るそうなので

困っていると言われた。

 俺は蜂蜜がベアーマンの交渉にも有利になる事を

伝え、それと合わせて必要な分、適切な供給量を

タムラさんと話し合い。時期と量を決めた。

 必ず伝えると約束し厨房を出る。


 その後、ヨハンの病室に見舞いに向かう。

ヨハンは思ったより元気そうで

手紙を目の前で読んでくれた。

 内容は単純に経過報告だった。

その後、目の前で返信をしたため

手渡された。

 偽装聖騎士団に対する対応策関係だと

言っていた。


 エルフの里を出た後、蜂人の巣まで行き

供物の件を女王に伝えた。

 ここでもすごい歓迎だった。

全員ひれ伏している。

 森の妖精すげぇ権力だ。



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