第三十四話
魔核だけになって転がるベネット。
再生が始まる前に俺は自分の体内に
しまい聖刻に絡めておいた。
これなら再生しようにも、この体を
乗っ取ろうにも聖刻が邪魔で何も出来ない。
「さてと」
俺は翼を起動させると、ヴィータのいる
部屋へ向かう。
ヴィータはまだベッドに寝っ転がっていた。
そうしていろとは言ったが、本当にそのままとは
「鎖とか外せないのか」
返事の代わりにヴィータは黄金の輝きを
放とうとする。
しかし輝きは出す側から全て鎖に
吸い取られ空中に放電現象のようなってに消える。
なるほど、対神用の特別なアイテムなワケだ。
本当なら悪魔は神に触れる事など出来はしないが
これなら捕獲可能だ。
力の根源である聖属性が封じられてしまえば
神と言えどただの十代の非力な女の子だ。
「今、外してやる」
俺はベッドに近づき、ヴィータの手首に
はまっている手錠部分に手を掛ける。
しかし、ヴィータはその上から手を置く。
俺の手の上に被せる様に、
外すなと言わんばかりだ。
「・・・なんだ。」
「・・・。」
「・・・外せないだろ」
横になったままのヴィータは真顔で俺を見る。
「・・・今なら触れるんじゃなかろうか」
ハンス達の所に戻るのが少し遅れた。
ヴィータを乗せ飛行して戻る。
できるだけ大きな力を使わない様に
最小限で飛行するも
二人とも「痛たた痛たた」言いながら
なんとか帰って来た。
隠れていろといったのにテントを
立てている。
まぁお陰ですぐに発見出来たんだが
着地してヴィータを下ろすと俺は人化する。
足元がフラつく。
駆け寄って来るプリプラとハンス。
「ただいま。」
そう言う俺を見たプリプラは驚きの声を上げる。
「ちょ・・・大丈夫。やつれてるよ」
ハンスも心配そうに俺に肩を貸してくれた。
「・・・激戦だったようですね」
「む・・・まぁ激しかった・・・かの」
鎖をジャラジャラさせながら両手を頬に当て
クネクネしながらヴィータは言った。
鎖、持って帰ってきたのか。
「すまん。横になりたい」
疲労が凄い。
太陽って黄色だったけ
もう
なんか色々あり過ぎた。
俺はそう告げる。
ハンスに支えられながらテントに直行
そのまま倒れ、泥の様に眠った。
【おやすみの所すいません】
深い闇の中
語る掛けてくる奴がいた。
【あのーすいませーん】
うるせぇな
寝てんだよ
【魔核を破壊して頂けないと
魔界に帰れないんですけど】
「おぅ、ベネットか」
【聞こえてらっしゃるんじゃないですか】
「・・・おやすみー」
【お待ちを】
無視して睡眠を続行しようとする。
どうも睡眠中は支配権とやらが緩むのか
起きている時には感じない意識が
感知出来るようだ。
【どうかお話をーー】
「なんだよ。うるせぇな」
【魔核を開放するか破壊するか
どちらかお願いしたい】
「どっちもダメだ・・魔神13将だっけ」
【はい】
「後11っ個、コンプリートしようと思う」
【そうすると、何が起きるのですか】
「・・・なんか起きない」
【多分、何も・・・。】
「なんだつまんね」
【なので開放を・・・。】
「今さ」
【はい】
「俺とお前の魔核があるじゃない」
【ございますね】
「ツインドライブとかでオレ強くなってない?」
【残念ながら、そういうモノではございません】
「なんだよ意味無いじゃん」
【はい。ですので何故このような事を
するのか甚だ疑問です。】
「体外に出したら復活出来るの?」
【多少、お時間を頂ければ】
「そうするとやっぱり襲い掛かって来る?」
【いえ、勝ち目がございませんので逃亡に
尽力いたします】
「逃げ帰るのはやっぱり魔王の所かい」
【はい】
考えを巡らせる。
パワーアップにならないなら体内に入れて置いても
意味は無い。
破壊して魔界に帰らせるのが一番だが
それはいつでも出来る。
俺はついで復元し体内にしまい込んだ
例のブツを思い出した。
「後さ創業祭あるじゃない」
【創業祭?とは】
「お前の使っていた剣」
【そんな名前ではないのですが・・。】
「アレに魔核ってハマる」
【私の体の一部ですからね。出来ると思いますよ】
やっぱり武器は持ちたい。
大概の武器よりアモンは生身の方が強い
なのでシンアモンさんは武器を使って無い
でも俺としては使いたいのだ。
光・聖属性はエッダ槍でいいとして
闇:邪属性として創業祭を使いたい。
「開放はちょっと待ってね」
【ぐぅ】
「魔王に一回会ってからだ」
【ババァル様にお会いになられると】
ババァルって、確か一番強い魔王だったよな。
マジかよ悪魔側どんだけ劣勢なんだ。
【ギギギギギギギ】
「やだ怖い、何?」
【聖属性がギギギギ】
ヴィータがなんかしてんのか
俺は起きる事にした。