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第三十三話

部屋から出ると俺は手近な窓から外に出る。

それと同時に悪魔化し、舞い上がる。


 俺に続くベネットも同様にし、城の

すぐ上空で俺たちは対峙した。


 悪魔化したベネットを見て、

俺は思い出した。


 あーベネットって洞窟内でヴィータを

食おうとして俺が腕を落とした奴か。


うん、お前は俺を恨む権利がある。


「さて、おっ始める前に言っておく」


俺は腕の聖刻をベネットに見せる。

それを見たベネットは手で目を覆い

天を仰ぐ仕草をする。


「なんと・・・そんな状態のあなたに

勝ったなどと、自慢になりません。」


 負荷があるとは言っていたが、そこまでの

ハンデになるのか。

 俺でない悪魔ならそうなのかも知れない。


「後、お前の直感は正しい。俺はアモンじゃない」


「ふむ、説明して頂けるので?」


「アモンはさっき魔界へ戻った。正式に

この体と力は今回に限り俺が受け継いだ」


「酔狂なお方だ。遊びが過ぎる」


ベネットに驚く様子はない。

シンアモンさんなら珍しい事ではないのか。


「そして伝言だ。ベネットに負けるのは

許さん、だってさ」


腕を組んで余裕の笑顔のベネット。


「は、逃げましたか。これで負けても

自分じゃない、任せたあなたのせいだと」


逃げたのかシンアモンさん


「第一、既に負けてるじゃあないですか」


こいつバカだ


「おいおい、負けてないから」


「強がりを!」


俺は努めて冷静にベネットに説明する。


「現に消滅してない、そしてもうお前に

勝ち目は無い。考えれば分かるだろ」


首を傾げるベネット。

見せた方が早いか。


「俺の魔核の状態を見て見ろ。」


デビルアイを起動させ俺を走査する

ベネットは驚愕の表情になる。

俺の魔核は切断され二つに分かれた

ままなのだ。


「・・・どんな手品です」


「手品じゃない。魔核を割った程度では

アモンでない俺を消滅させるには至らないんだ。

流石に聖属性では消滅するが、それは悪魔である

お前には使用出来ない力だ。分かるだろ

お前は俺に有効な攻撃手段を持って無いんだ」


信じられないと言った表情で口をパクパクしている。

ただ、諦めさせるまでには至っていない。


ベネットは背中に手を回すと

体の中から大剣を取り出し構える。


アレ体の一部だったのか

やっぱり

やるしかないのか


「お前の次のセリフは【ならば細切れになるまで

切り刻むのみ】っだ」


「では機能しなくなるまで魔核を破壊するまで」


「え?」


「はい?」


やべ

外れた

勝利フラグ立たなかった。

つかベネットーおいおい

空気読んで俺のセリフを復唱しろよ。


「あーもういいよ、来い」


俺が言い終わるのを待たずにベネットは

一気に距離を詰め、大剣を振るう。


 迫る大剣。

その刀身には何やら文字が刻んである。

漢字だと思って無理やり読んで見ると

「創業祭」

と、読めた。

今後は悪魔剣「創業祭」と呼ぶ事にした。


 迫る剣撃をあえて避けない。

剣が切り裂く直後に傷を修復する。

魔核は四分割になった。

それは直さず傷だけ修復する。


 ハタ目には幻に切り付けているように

見えるのではないだろうか。


 しかし何だかんだでベネットは考えている、

先ほどから彼の位置取りは、常にヴィータの

いる部屋を背後にする様に動いている。

 迂闊に悪魔光線を撃てばヴィータが危ない。


 あ

撃っちゃえばイイのか

僕は取り返しのつかない事をって


『コラアアアアアァッ』


嘘だよ。


さて勝つか。


俺には格闘技も剣の扱いも身に着けていない

圧倒的な力の差でベアーマン辺りには

勝利出来るが、互角に近い相手には

その差が出て敗北してしまう。

と、思い込んでしまっていたのが

先ほどの敗北の正体だ。

負けてしまったのではなく

負けと決め込んでしまったのだ。


普通なら「力」より「技」の方が強いハズだ

序列でそうなっていないのは何故か

それはアモンの「力」は圧倒的過ぎて

いかなる「技」も小手先の小細工に

過ぎなくなってしまうからだ。


どんなに技を昇華させても

決して届かない高さにあるのだ。


 シンアモンさんが残してくれた記憶。

アモンサイクロペディアを

ここに来るがてら閲覧したが

「技」らしい「技」をアモンさんは

持っていない。

つか

必要ない。

なんのことはない

何でもないただのパンチや蹴りが

災害級の破壊力なのだ。


いい加減、斬られるのに嫌気がさしたので

俺は大剣の命中する箇所に力を込める。


バッキーーン


凄い音で創業祭は折れた。


「ぐはあっ」


痛いのか

俺の洋服とは違う様だ。


「いい加減諦めろって」


悪魔障壁デビルバリア全身から気合を入れて

拒絶をイメージしたエネルギーを放射する。


「へあっ」


そいつを、発動させる。

技に長けたベネット相手には

避けようのない攻撃が一番だ。


全方位防御の為に考えた技だ

物理・魔法に効果がある

はず

近距離で発動させれば

シールド・バッシュと同じ使い方が

出来るはず。


「ヘブッ」


 弾け飛ぶベネット。

回転する事でいなそうとしたのだろう

凄いドライブが掛かりながら

城の外壁に命中する。


 ちょっと時間があるな。

前回、悪魔光線には対策が

講じられていた。

攻撃するならやはり想定外の

攻撃が良いだろう。


試して見よう。


ポッカリ開いた穴の中から

悪魔の両腕が伸び

外壁を掴むとベネットさんは

ひょっこり顔出す。


「わふうううううううううう!!」


俺は高らかに雄たけびを上げ

作成した武器を持って突進する。


「ヤフー?」


 雄たけびの意味が分からない

ベネットは不思議な顔をするが

眼前に迫る武器に本気で慌てる。


「ひっ・・・バカな」


 勇者の家系家宝「エッダちゃんの槍」

魔改造Verだ。


 リソース無しで常時発動する。

聖属性の先端部は解析しきれなかったので

聖刻から、先ほどのハンス治療の要領で

注ぎながら発動だ。

 人間の組織が耐えられる程度の

微弱な聖属性までしか俺には扱えないが


「びゃう!」


 悪魔にはこれでも十分脅威だ。

まるで抵抗を感じず、命中したベネットの

体組織は消滅する。


 中学時代、雪の降った日の帰り道

とある家の玄関前にあった雪だるま

それを立ちションベンで溶かした時を

思い出す。

 そのぐらい簡単に穴が開く。


・・・あの時はごめんなさい。


 俺はデタラメな動作で突きを繰り返す。

エッダちゃんと違って素人の動きなのが

自分でも分かる。

でも、この武器場合それでも十分だ。


「わふぅわふぅー」


「ひゃう・・・・ぎょわぁ」


 もう可哀そうな状態だ。

動きは素人でも目とスピードは

ベネットと同等だ。

 通常なら剣で受け流すついでに

絡めとって相手から武器を奪うのだろうが

剣自体も悪魔の体の一部で出来ているせいで

当たる箇所から溶ける溶ける。

 回避しにくくさせる為に翼や足を

優先的に攻撃したのも功を奏した。


「最後に何か言いたいことはあるか」


もう、頭と魔核周辺の胸の一部だけに

なってシュウシュウ煙を上げている

ベネットに俺は聞いた。


「・・・わふーとは何ですか?」


「勇者の家系に伝わる破邪の呪文だ」


俺は魔核以外を消し去った。 

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