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第三十話

 暗闇の中俺はどこまでも落ちて行く。

そうは言ったが明暗が感じられないから

暗闇と言っただけだ。


 落ちるというのも表現だけで、

実際は上も下も分からない。


俺は死んだのだ。


くそったれ

なんて人生だ。


勉強も運動も才能が無かった。


彼女も出来ない。


就職も思ったトコロには行けなかった。


努力が足りない?

自己責任?

ああ

そうだよ

上手くいった奴らはみんな

そう言う

勝てばイイだろ、と

あほか

勝つのは一人だけで

後はみんな敗者だろうが

多数決で言えば

勝った奴がマイノリティだろ

例外が偉そうにナニ言ってんだ。


【・・・。】


せめてゲームぐらい

好きに出来たってイイじゃないか

くだらない現実を相手に

自分を殺して忠実に仕事してきた。

そのゲームですら

この扱いかよ。


【もしもーし】


なんて哀れで

みじめな生き物


〇ウシカが

そう言ってそう


【おーい】


うるせぇー

死んでんだよ

静かに逝かせろよ


【悪いが死んではいない】


「・・・え、そうなの?」


【そう思ってくれたお陰でこうして

意志疎通ができるようになったのだがな】


「えーと・・・どちら様で」


そう言いつつ

俺は相手が誰なのか分かっていた。

そう気が付いた瞬間

俺は暗闇の中で形を取り戻す。


【アモン・・・は既にお前の名になったな】


暗闇の中で仰向けの俺

背後に黒い太陽。

闇の中に更に黒い太陽って変な表現だが

他に言い表せない。


【困った・・・俺は他に名を持たぬ】


「前のアモンさんですよね?」


【そうだ。お前に支配権を奪われる前のアモンだ】


「真のアモンさんって事でシンアモンで

イイじゃないでしょうか」


【うむ、それで行こう。シンアモンだ】


シンアモンさん

・・・なんかトンチが得意そうな

小坊主の友達のお侍さんっぽい


「俺が死んでいないっていうのは

どういう事ですか」


【そのままだ、こうして会話している】


「なんか魔核を破壊されて終わりって」


【そう言われてそう思っているから

こうなっているだけだ】


「思い込みっすか」


【そうだ。魔核なら以前に既に破壊されていた】


「・・・・。」


【俺が支配権を持っていた時、人間の術者相手に

壊された。完全に油断していたなあの時は】


対ヨハンの時か・・・。


【そこにお前が界外の力で侵入してきて

あっという間に魔核を再生し支配権を取った。

お陰で魔界に帰り損ね、体も自由にならず

今に至る】


ログインの時か


【あの力は、なんなのだ?中から見ていたが

お前は神でも悪魔でもないただの人間にしか見えん】


「あ、はい。そうです」


【とにかくお前にとって魔核とは自らの心臓では

無く、ただの材料だ】


「そうなんですか」


【あの蒸着とかいう技でくっつくぞ】


「いいのか、そんな簡単で」


【というかこのままでも問題無い

一個であろうが複数に分断されようが

用を成せばイイ様だ。お前の場合はな】


「・・・用を成す・・・ですか」


黒い太陽は少し怒って言った。


【とにかくだ。ベネットに敗北は許さん

もう負けないのは分かるな】


そうだ、シンアモンの言う通りなら

もう敗北は無い。


【俺はもう魔界に戻る】


「お疲れ様でした」


【・・・。】


「・・・。」


【許可しろ。お前が支配権を持ってるんだ】


「ああ、すいません。許可します」


【・・・おぉ、やっと帰れる】


パソコンの管理者権限みたいなモノか

分からないせいでシンアモンさんには

窮屈な思いさせてしまったな。


【記録のコピーを残していく戦闘はソレに従え、

それだけでベネットに遅れを取る事は無い】


「ありがとうございます。」


【短い間だったが貴重な経験をさせてもらった】


「こちらこそです」


【過去に例の無い状態だお前は新種になるかもしれん】


「新種・・・ですか」


【悪魔(Devil)でもあり人間(Man)でもある】


シンアモンさんは少し考えてから言った。


悪魔人間デビルマンとなるな】


考えた割にそのままですね。


「そんな大層なモノじゃないです

・・・そこそこですね」


【フフそうか。では行け そこそこデビルマンよ】


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