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第二十九話

 俺は悪魔化してバックステップで距離を取る。

悪魔光線を放とうとする俺だったが

 その瞬間ベネットは左手から何かを

宙に放った。


 多分、小石か何かだったのだろう

悪魔光線はその小石に当たる。

 やられた

俺の悪魔光線は読まれていた。

視線で捉えたモノに飛んでいく悪魔光線の

特性を知っているのだろう。

 ベネットは上手に俺を視線誘導したのだ。


 間合いを詰めるには十分すぎる隙だった。

もう避けられない。

仕方ない、初手は譲るか。

まぁ耐えられるだけ耐えてみよう。

大剣が自分の体を切断していく感覚を味わう。

 脳内処理速度が速すぎる。

体の反応速度を上回っているため

分かっていても体がついて来ないのだ。


 今度、磁気でコーティングしよう


「魔核を切った・・・終わりだ」


はぁ?

何いってんの


 そう思った俺だが、意味は一瞬で理解した。

神経が全て切断されたかの様だ。

 体の感覚が無い。

見れば切断された胸の切り口から

なんか真珠のでっかい奴みたいなのが

真っ二つになっているのが見える。


これがナニ

魔核って言うの


「あまりに無防備なので何かの罠なのかと

警戒していたのですが」


 力が全く入らない。

視線が下がる

膝をついたのだ。


「フン、本当にこれがアモンだというのか」


 ベネットはそう言うと、翼を展開し

俺を飛び越していく。

 振り返りたいが動かない。


 感覚を失いつつある聴力だったが

俺の後ろで暴力が行われているのが

聞いてとれた。


 逃げ切れないよな

ヴィータの聖属性攻撃に期待するしかない。


「思ったより簡単に済みました」


 俺の目の前にベネットは再び飛んで戻って来た。

鎖で、がんじがらめにされたヴィータをぶら下げている。


 さながら獲物を仕留めたハンターのようだ。

事実そうだ。


 おい、やめろ俺達と違って脆い

呼吸だってしているんだ。首に絡んでいる

鎖は緩めろよ


 俺はそう叫んだつもりだが

もう声は出なかった。


 ベネットは乱暴に鎖を引き上げ、自分の顔の

位置に来るまでヴィータを持ち上げる。


「無駄ですよ。神である以上、この鎖の

束縛からは自ら逃れる術はありません」


ヴィータの顔色は既に土気色だ

なのか

それとも俺の視力がもう色を再現できないのか


「このまま食ってしまいましょうか

それとも目の前で汚して差し上げましょうか」


最後の方は上手く聞き取れなかった

視界もブラックアウトしていく

指先から俺は砂になって崩れていく


 ベネットの笑い声が遠くで聞こえた。

気がする。

もう、分からない


負けだ

終わりだ


『助けて』


失われた五感

それ以外の感覚で

それは確かに俺に伝わって来た

生き残った器官があるのか


『助けて』


とっくに砂になった腕

もう失われたはずの腕から

それは伝わってくる

聖刻だ

俺以外の力だ


『助けて』


ヴィータ

聞こえるか

聞こえているのか

俺がわかるのか


『助けて』


分かった

待ってろ

ここから

なんとかする

ちょーっと待ってろ

必ずなんとかする

お前を助ける


『・・・助けて、新一!』


・・・

そら

確かに

最強の生存フラグですけど


俺は死ぬ事にした。

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