第二十三話
ベアーマンの集落に着いた俺は
人族を襲っていた理由から聞くことにした。
理由はなんと
見かけて、余裕で勝てそうだから襲った。
というモノだ。
やっぱりこいつら滅ぼした方がイイんじゃないだろうか
俺が去ってからの集落の話し合いの結果
元の岩山に戻る結論になっていた。
俺は無駄な争いをしない事と
例の歌を忘れない事をキツく釘差すと
岩山に向かう。
悪魔軍団がもう居ない事を確認する為だ。
現地に着くと俺が脱出した穴は崩落し
塞がっていた。
感知能力を駆使するも、人も悪魔も
もう周辺にはいない事が確認できた。
ベアーマンの集落に戻り、安全が確認出来た事を
伝え彼らと別れた。
もしかしたらもう二度と会わないかもしれなかったが
・・・・いいか。
エルフの里に戻るべく飛行しているとデビルアイが
また何かを捉える。
「・・・・見つからないのか」
デビルアイが補足した者は先ほどの勇者の家系の
エッダちゃん
が、ベソをかきながら槍を探してウロウロしていた。
俺は槍を探す。大体の位置は把握していたので
すぐ発見できた。
運悪く木に突き刺さっている。
かなり高い位置だ。
あれでは発見出来てもエッダちゃんには
回収できないだろう。
俺はエッダに見つからない様に・・・・見当違いの場所を
探しているので、まぁ見つからないだろうが
木から槍を引っこ抜き地上に降りると人化した。
恐る恐る槍の先端を指でつつく。
ダメージは入らない。
やはり完全人化は文字通り完全に人状態であった。
人の状態ならば聖属性も問題無い。
特に俺の人化はかなり完璧で、それこそナントカの鏡とか
看破のスキルを使用しない限りバレないと
以前ヴィータが言っていた。
まぁ人体を体感していない悪魔が
想像で化けるより人を良く知る人が化けてるワケだから
それは再現度がケタ違いになるのであろう。
俺は槍を肩に担ぐとエッダの元まで歩いて行く。
「ふぇえ・・無いよぅ・・・どうしよう」
俺を相手にした時の勇ましさの欠片も無い。
ベソをかきながらキョロキョロしている。
そんなに大事な物なら家に飾っておけよ。
「もし、お探し物はこちらではありませんかー」
俺は獣道からエッダの方に現れ、そう話しかけた。
突然の声掛けにビクッとなるも、俺の持つ槍を見て
笑顔満開になるエッダ。
服装も詐欺師聖職者のままなので、それも安心に
繋がったのだろう、警戒心まるで無しに近づいてくる。
「あーーーそれ私の槍ですー」
「はい、どうぞ」
安全なのを確認済なので、俺は先端を持ち
柄の方をエッダに向けて差し出す。
「わふーありがとうございます」
わふーってなんだぁ
深々と頭を下げるエッダ。
うんうん良かったね
って
ブン投げたのは俺か・・・。
「でも、私が嘘をついているとは思わないんですか・・・。」
槍を抱えたままエッダは俺に聞いてきた。
変わった事を気にする娘だなと思ったが
それなりに高価な一品なのだろう。
俺は友人達から【気持ちは分かるが似てない】と言われた
〇畑任三郎の物まねで解説した。
「え~あなたはぁショートソードを帯剣していますが、
盾をお持ちではありません~
つまり剣は予備武器だったんです。他に両手を使う
メインウェポンがあるはずなんです。それを探していた。
探すという事は投擲も可能な両手武器という事になります。
投擲して紛失してしまった・・・。」
エッダの髪は濃い緑色だ。
若干クセ毛だ。
「落ちていた槍は長い間放置されていた状態では
ありません。今しがた投擲されたモノです。
つまり、この槍の持ち主はあなたという事になります。」
額当ての紋章は家紋かナニかか
凝ったレリーフが刻んである。
髪と同じ色の瞳は大きめで人目を惹く。
肝心のおっぱいは鎧のせいで分からない。
槍と一緒にさっき走査しておけば良かったな。
「・・・ん~どうでしょう?」
ジーっと俺を見たまま返事が無いので
俺はエッダにそう聞いた。
「あっいえ当たりです。スゴイです
・・・えーっと」
「アモンと申します。」
俺は見よう見真似で覚えたハンスの礼をする。
古〇の物まねのツッコミが無いなので
この娘はプレイヤーじゃない様だ。
「あっわた私はエッダ・ヒリングと言います。」
勇者の家系って偉そうに言わないのか
そう思って見ている俺の視線をどう思ったのか
エッダはバツの悪そうに指で頬の辺りを
ポリポリしながら続けた。
「あーはい・・・これでも・・・
その・・・勇者の家系です。」
俺はカマを掛けてみる事にした。
「では、ガバガバ様の御親戚ですか」
「おねぃ・・・あ姉でっす」
女の子にガバガバって名づけるか
親、呼んで来い説教してやる。
「姉のお知り合いの人なんですかアモンさんて」
「いいえ。直接の面識はございません。
兄弟子のハンスが聖都お仕えしているお方と」
俺の話はイイからガバガバの情報をよこしやがれ
「そうなんですかーわふー」
だから、わふーってなんだぁ
Google先生なら、もしかしてヤフーって表示するぞ。
「アモンさんも降臨関係でこちらにいらしてたんですか」
それにしても
悪魔状態の時とは随分態度が違うなぁ
「えぇまぁ・・・」
だから俺の話はイイっての
「良かったですよねー妨害も無く済んで。」
は?
妨害無く?
「聖騎士様と大司教様に護衛されて無事出発でしたものね」
・・・・・なんだって?!