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第十九話

「死んでいるってどういう事?」


パーソナルスペースというのか

小梅の場合それが狭い。

初対面の人を相手にしても、普通なら恋人の領域の

距離で相手の近くに立つ。

もう0距離、クロスレンジだ。

幕の内〇歩VS〇ォルグ・ザンギエフ戦かってぐらい近い。


この距離じゃ(会長キメ顔)


あの頃の一〇は面白かったな。


くそ

これが、そもそもの勘違いから一連の俺の不幸の

始まりだったんだぞ。


やたら近い距離で首を傾げるプリプラは

俺の説明を待っている。

過去の亡霊を振り払い、俺は説明を始めた。


「この・・・ゲームのログイン方法なんだが」


あえてゲームの部分を強調しておく


「死亡したNPCをプレイヤーが乗っ取る形を取っている」


プリプラは微妙な表情だが

想像はしていた様だ。


「今のヨハンの話で分かる通り。俺のこのゲームに

おけるスタートは回復薬を拾ったトコロからだ」


返事は無いが俺は話を続けた。


「小梅の場合・・・プリプラはベアーマンに

襲われたんだろう。エルフはベアーマンを警戒して

パトロールを出していた、ベアーマンは今日の襲撃の

為に斥候を出していた。そして不幸にもかち合った。」


「・・・・。」


「服のキズとベアーマンの爪は一致する。破れ具合から

5cmほどは体をえぐ」


「分かったから」


俺の言葉を遮るプリプラ。


「なんで、そんな仕様に・・・・。」


同感だ。あまりいい気分にはなれない。


「赤ちゃんからプレイするキャラの年齢になるまで、

知り合いが一人も居ない状態で、しかもそいつらが大挙して

出現するのに無理があったか」 


無理やり考えてみたがこれも無理があるなぁ


「全員、見知らぬ旅人でイイのに」


 それも無理がないか


 話を切り替えよう。これは考えても仕方ない事だ。

コレを踏まえて考えなければいけない事を決めてしまいたい


「まぁ考えても仕方無い、ログアウトしたら一緒に太郎に

文句を言おう」


ハッと顔を上げるプリプラ。


「そう!太郎は?今どこで何してんの」


太郎ーーーお前の恋人はお前の事すっかり忘れているぞーーー


「アイツのキャラって知らないか。」


「・・・・聞いてない」


「名乗ってもらわないと分からんなこれは」


二人とも項垂れる。

手がかりは全くない状態だ。


「インしてる・・・んだよねぇ」


「ログイン前に後は現地でって俺に言ったんだけどね」


俺がINして二日経過した。

いくら加速時間だとはいえ、流石に奴もこちらに来ているハズだ


「太郎もメニューが開かない可能性が高いな」


「えー運営なのにぃー」


「メニューの項目にプレイヤー以上の項目があるンだろうが

メニューが開かないんじゃ太郎と言えど」


「あたし達と同じ、何も出来ないかー」


「あいつの事だから出来るならもうメッセ飛ばすでしょ」


「だよねー」


太郎の話題に飛んでしまったが本来の目的に戻そう。


「で、小梅どうする。やっぱりここに残るのか」


ビックリするプリプラ。


「何でェ?!」


「何でって、そう言う設定で里に来たんだぞ」


「あ、そうか。えーでもあたし一人置いてかれるのー」


小石は落ちていないがプリプラはそれを蹴る様な仕草をする。


「えー、たけしはあたしが一緒だと・・・いや?」


はい、嫌です。


しかし、そうは言えないので

ここは真剣な演技で行こう。


「良い嫌とかじゃなくて、俺はヴィータに聖都

到達あるいは直前で殺されるぞ

そうなれば、お前を守る事も出来ない」


「はぁ?ヴィータちゃんが??何で仲間でしょう」


俺は腕の聖刻を見せる。


「こんなもの刻みつけて無理やり言う事聞かせる

そんな事する連中が仲間なんて言えるのかよ」


思っていた以上に強い口調になってしまった。

いかんいかん


「ごめん、小梅は何にも悪くない。大きい声を

出してすまない」


既に涙ぐんでいる。


「今は俺の方が力が強いからヴィータは護身として

機能させているかも知れないが、今後信者が多い地域に

入ればパワーバランスが逆転する」


「そうしたら、きっと解除してくれるんじゃ」


「無い。俺は悪魔であいつらは神とその使徒だ

共存は無い。お前も肉食いながら聞いてたろ」


「・・・えーでも殺すなんてそんな事するかな」


「既に殺しているだろ。今そこで寝ているヨハンは

前のアモンの仇だ」


人の意見を否定するなら根拠と示せないものか

イライラしてくる。


「・・・どうするの?」


「どうもしないよ。到着前にログアウトできれば

それでいい」


出来そうもない。

多分だがログアウトは無い。


「どうするのはそっちもなんだが。残る?来る?」


まるで考えていなかったのだろう「えー」しか

言わない。


「残ってても、またベアーマンとか来たら怖いしー」


「それは安心しろ。明日、里の安全を確保する為

ちょっと動くよ」

 

 結局、結論はその場では出なかった。

一晩考えるそうだ。


 俺は宿泊用にあてがわれた部屋のある樹木まで向かう

プリプラとヴィータ、俺とハンスで一部屋づつ

並びになっている。


 ハンスは先に部屋に戻っていた。


「あ、おかえりなさいアモンさん」


「・・・おう、ハンス君もお疲れ」


見た目肉体年齢では俺の方が若いのだが

なぜが敬語が逆になっている二人だ。


「ヴィータ様はもうお休みになられるそうです

何でも今日は大変疲れたとおっしゃっていました」


俺は上着を適当にその辺に引っ掛けると

ベットにダイブする。


「そうかーあいつも今日は力使いまくったもんな」


俺も大変だったと思うけど

思ってたって

い・わ・な・い・け・ど・ね


 近づくハンス。


え、なんで来るの感じていたくないんだが


「アモンさんも本日は大変でしたね」


「ん?・・・まぁ」


「自分に何か出来る事があれば遠慮無く言ってくださいね」


ヴィータぬっころしてくれ

ついでプリプラも


「あぁ頼りにしてるぜ」


 真摯だよなー。でも地方の神父って嘘なんだよね。

この男は信用しない。


 まぁ、いざとなれば悪魔光線範囲焼きでヴィータ共々

最後に差し違える位は出来そうだしな・・・


 ヨハンに会う前から完全人化していた俺は

眠気に襲われ、そんな事を思いながら寝てしまった。


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