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第十七話

宴は彼らなりに盛大に行われた。

俺たちは上座に当たる席に長と並んで座り。

舞や音楽を鑑賞し次々と食事が出されたのだが


 気が付いた

こいつら火をほぼ使わない。

金属はほとんど無い、武器防具以外は

扉の蝶番ぐらいで、建物や衣服も全て植物由来だ。

食事も木の実や果物。

主なタンパク質は虫だった。

さすがに皆、これは遠慮した。


 まぁ、この環境で火は危険だ。一度火事になれば

全焼してしまうだろう。


 戦士は風をある程度は自在に操れるそうなので

初期のボヤなら最小限で消し止められるが

火が大きくなってしまうと反って火の

勢いを増してしまう。


 照明は夜になると光るキノコやらコケ。

頭上の精霊も頼めば光を発してくれるらしいので

火は使わない。


 数少ない金属は、極まれに訪れる旅のドワーフから

物々交換で入手するそうだ。


「ドワーフとは仲が悪いのでは・・・。」


 俺の疑問に長は「誰がそんな事を」と言った。

交流自体がほぼ無いので種族として仲のいい悪いは

無いそうだ。


 ちなみに他にもエルフの集落はあるらしいのだが

これも交流がほぼ無いそうだ。


「キライな種族・・・ひとつだけありますな」


 それは人族じゃーと言って襲い掛かって来ると思った

身構えるが長は言葉を続けるだけだった。


「・・・ダークエルフですじゃ」


 大陸の西、聖都を持つ神側の陣地。この森から

東の山脈を境に魔都を持つ悪魔側の陣地。

その悪魔側の陣地の森に彼らは住んでいる。


 エルフが禁忌とする火の力に魅入られ

支配欲、物欲などにまみれた俗世に溺れ

肉体もより動物化してしまった。

もう別種の元エルフ種だそうだ。


「肉体もより動物化・・・だと」


見逃せないキーワードだ。

俺は疑問を全て長に浴びせる。

その勢いに圧倒された長は

「どどどうなされた」と

驚きながらも質問に全て答えてくれた。

イイ人だ


 ダークエルフは人間と同じ繁殖方法を取る。

授乳するので当然おっぱいもあるそうだ。


やったー


外見的にはエルフと言うよりは耳の長い人族と言った感じらしい

肌は褐色と限った事は無いそうで

それこそ人族のように肌、髪、瞳などの色は様々らしい

元々の発生は過去に樹木にぶちまけた人族がいたそうだ。


なんてことだ

俺が耐えきれないと判断した

悲しみを乗り越えた勇者が居たという事だ。


勇者に続くか

俺たちは東では無く西の聖都へ向かうのだ

ダークエルフに会える可能性は低くなる。

ならここでいっそぶちまけて

オペレーション光源氏を発動させるべきか


そんな事を考えていると長はうれしそうに

自分の事を語りだした。


 長は昔から人族に友好的だったが、それを快く

思っていない重鎮も少なからずいたそうで

今回の俺たちの活躍はそれら反対派を黙らせる

決定打になると長は喜んでいる。


 人族に助けられた。

人族を信じて良かった。


ごめんなさい

オペレーション光源氏は悪い冗談です。


しかし、そうなると込み上げる熱い情熱を

どこにぶちまければ良いのだろう。


『これでは聖獣では無く、性獣じゃな』


「今、腕の方から何か聞こえませんでしたかな」


「いいえー何も、気のせいです絶対に」


不思議がる長を俺は腕を押さえながら

なんとか胡麻化した。


くっそーコレ、24時間体制で筒抜けなのかよ。


 それにしても人族すっげーな

そりゃオークも出番ないわ

  

もしかしたら

オークとは人が認めたく無い人の嫌な部分を

責任逃れに投影された幻種なのかも知れない。


 長の友人が目を覚ましたとの事、

丁度、宴も終了になったので俺たちは

長の友人に会う為、長の案内でまた

中央の樹木に戻っる事になった。


 客人の部屋は長の部屋とは別のどちらかというと

入り口付近の部屋だった。


 入るなりハンスは声を上げて驚いた。


「ヨハン大司教!?」


 ベットまで駆け寄り膝を着くハンス。

後から部屋に入った俺は少し戸惑った

ヨハン?

洞窟で会ったあの司教なのか

あの状況から生き延びたというのか

人化している今の俺なら分かるなズが無いと思いつつも

俺は恐る恐るハンスの後ろからベットの中の人物を覗き込む。


?!


 ハンスがヨハンと言わなければ気づかなかったかもしれない

横たわるその人物は確かに洞窟内で会った司教であったが

その時とは違い明らかに老化している。


 俺が会った時とは違い顔には深い皺がいくつも刻まれ、

ほぼ全て白髪となり、痩せこけていたのだ。


 洞窟内ではここまで老人では無かった。

初老と言った感じでまだまだアグレシッブに動きそうな人に

見えていた。


 ハンスも良くヨハンだと分かったモノだ。


「・・・その声。ハンスか」


「はい私です」


 ハンスが珍しく必死な様子だ。

旧知の間柄なのだろうか。


「バカ者め・・・お前は聖都にて勇者様をお守りする役目であろうが」


あれーハンス君、地方の神父って言ってなかったけか


「ガバガバ様にはお許しを頂いて、馳せ参じました」


笑いそうになった。

なに?勇者の名前ってガバガバっていうの

王様とかに「なんとガバガバではないか」とか言われちゃうのか

キツイなガバガバなのに


『お主は仲間に討たれた事にしておけ』


音も無く、直接頭の中にヴィータの声が響いた。

この売女!

サイレントモードも出来るんじゃねぇか

今まではワザと音にしてたって事だな。


『そこでお前が我を保護しハンスと合流した事にしておけ』


何を考えていやがるのか知らないがこちらに拒否権は無い。

言う通りにしてやる。

まぁどうでもいい事だしな。


 俺達が脱出した後、どうなったのか

その事がヨハンから語られ始めた。

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