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第十二話

 隠れていたのはプラプリだけでは無かった。

村に近づくに連れそこかしこの木から

武装したエルフが現れる。その度に

プラプリが事情を説明しては先に進む。


 村の安全の為に警備をするのは当然だが

少し大袈裟な気がした。


 精霊の見えない俺とハンスはいちいち驚く。

 

 村のふもとまで辿り着くと、プラプリは俺達が

村に入る許可を求めに一人、先に登って行く。


 俺たちは入り口になっている木の前で

待たされる事になった。


 木には大きな蔦が螺旋状に巻き付いていて

それが階段替わりになっている。

 

 見張りのエルフは無口で「お待ちください」以外は

話をしてくれなかった。


 途中で見かけた警備の連中もそうだったが

このエルフも怪我をしている。

戦争でもしている最中なのか。

 それならば警備が厳重なのも頷ける。


 螺旋に巻き付いている蔦とは異なり

真っすぐに木に添って伸びている竹のような管から

プラプリの声が聞こえた。

 

 入る許可が下りたとの事、見張りのエルフに一礼して

蔦を登っていくのだが、手すりも無いので結構怖い。

 10m位、およそ三階建ての屋根ぐらいの高さまで

登ると村の入り口だ。


 プラプリはそこで待っていた。

村長に面通しをするので着いてこいとの事。

 

 組み上げられた枝に すのこをしいて村の地面は出来ている。

そこ以外に乗ると最悪落ちるから注意しろと

プラプリは言ってくれたのだが。

 そういう事は直前でなく事前に言って欲しかった。


俺は落ちた。


 まじで墜落する一秒と少し前。

渋谷はちょっと苦手。


 その僅かな時間の中で考える。

エルフ達の目の前で悪魔化はこれからの事を考えると出来ない。

かといって人化状態では怪我間違いなし、もしかしたら死ぬ。

俺は予てから練習していた事を実行に移す。

半人化だ。


 イメージするのは人間の皮を被った悪魔。


 出来るはずだ。

愛徳高校時代でも、その存在感の無さと、それを裏切ら無い

実力の無さから【羊の皮を被った山羊】と呼ばれていた俺だ。


 被っていたあっちの皮の方は小梅にコクる前に

勇み足で高〇クリニックで

いや、何でもない。


 ととととにかく、被る 得意なハズだ。


 着地、足が結構深く地面に突き刺さる。


うまくいったのか?

ダメージを確認しようとしたが

その暇が無かった。


「キャーーーーーーーーーーーーーー」


頭上から悲鳴。

見上げると、スカートを押さえながらプリプラが落ちてくる。


お前もか。


 受け止めるべく行動に移ろうかと思ったが

何か様子が変だ。

 

 周囲の空気は巻き上げられる様にプリプラを助ける。

落下速度は明らかに減速していく。


 プリプラの頭のすぐ上になにやら光の塊みたいな

モノが見えた。なんとなくだが頑張ってる感が伝わってくる。


 どうやらデビルアイでも、居ると知って、信じて見れば

感知する事は出来るようだ。


 小梅は放っとこう

これは平気だろ。


 俺は自分の状態を確認する。

見た感じの変化は無い。OK

痛む場所も無い。OK

これは大成功なんじゃないか。


 ゆうっくりと地面に到達するプリプラは着地をミスり

コケた。



 精霊パラシュート。エルフの標準装備とするならば

床のずさんな施工も、納得だ。客も滅多に来ないので

あれば注意するもの慣れていないのだろう。

プラプリに文句を言うのは止めて置く事にした。


「やーーーービックリしたーーーー」 


プリプラ、お前は落ちちゃマズいだろうに


「た・・・アモン大丈夫」


 振りむいて俺に駆け寄ってくるプリプラ

おい、落ちた俺を心配だからワザと落下したみたいな

風にするつもりだろ。

 俺の顔を見るとギョっとした表情になる。


「目、目が悪魔になってるよ」


 あ、皮の無い部分はそうなるか。

いかんいかん。


「お帰りですか」


 落ちてきた俺達に近づいてくる見張りのエルフが

無表情でそう言った。


んなワケあるか。


見張りに気づかれない様に

俺はダメージを受けてますみたいな演技で

その場に座り込み、こめかみを押さえる仕草で

目を自然に隠した。


 目だけ戻さねば。


 しかし、戻すワケにはいかなくなった。

デビルアイが異物を補足したのだ。


 精霊が頭の上に常に滞空しているエルフは

非常に特徴的なので判別がしやすい。

 個人を特定するまでは慣れが必要だが

今現在の技量でも集団の中の誰がエルフなのかは

判別できる。


 木々に阻まれて直視はできないが

正面、およそ100mといった所か

エルフが数人、来る途中すれ違った警備の連中が

一か所に固まって興奮している。


 冷静な者が多いエルフにしては珍しいと言える。

彼らのその先には集団がせまっている。


 当然、エルフでは無く、もちろん人でもない

体格は大きく2~3mにもなる。殺意に満ちている。

なんらかの意志を持った魔物。

文明のレベルまでは分からない。


 エルフの集団から一人だけこちらに急速接近してくる。

伝令だろう。


「敵襲ーーー!ベアーマンだー。」


しまった。

E缶を最後まで取っておいてない。  



出展


羊の皮を被った山羊 ビーバップハイスクールのギャグ


E缶        ロックマンのアイテム 

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