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第十一話

「では、プリプラいくぞ。」


準備が整った。ヴィータはプリプラの傷口に右手の手の平を

かざす。呪文はとなえない、体が黄金のオーラに包まれていく


 悪魔状態の俺は本能的にその輝きに危険を感じ

距離を取る。高性能デビルアイをフル活用し何が起きているのか

しっかりと目に焼き付けて置くことにした。


「おぉ」


 祈りを捧げながらその様子を見ているハンスも

目の前の出来事に思わず感嘆の声を漏らす。


 傷は見る見る間に塞がっていき皮膚に付着した

乾いた血液さえも綺麗になっていく。


 もし包茎手術をした者にこの術を

いや、何でもない。今の無し。


 「ふぅ」


 ヴィータを包む黄金の輝きが収まっていく、終わったようだ。

若干前より背が低くなってしまっている気がする。

ヴィータの言うエネルギー問題は本当なのだろう。


 祈り担当はその役目を果たし

笑顔担当はその職務に復帰した。満面の笑みだ。


 俺達は休憩を終え、旅を再開する。


悪魔状態でも俺には精霊が見えなかった。

その件についてヴィータに尋ねたが

精霊が見えるのは特別な力の中でも更に特殊な部類で

実はヴィータにもハッキリと視認出来てきないそうだ。

また、見えていなくとも存在と力は感知できるので

問題になる事はないらしい。


 姿、それ自体も正確かどうか怪しい。

元々は形の無い存在なのだ。

蝶の羽を生やした小人とはエルフの脳内イメージを

エルフはそのまま見ているという事らしい。


 やっぱり危ない薬とそう変わらないじゃないか。



 しばらく進むとエルフの村が見えた。

プリプラは斜め上の方を指さす。

俺にだけ聞こえる様に「多分だけど」と言ってきた。

 なんでも精霊が集まっている数が異様に多いそうだ。


 不自然な位、規則正しく大樹がマス目状に並んでいる。

これまた不自然な位大きな枝が同じ高さで水平に並び

重なり合っている。そういて床を形成しているのだ。


「ふむ、これはどうしたものかの」


そう言うとヴィータが、なんか重くなったぞ? 

おい、今度はどんな奇跡だ。


「ちょっと一回、降ろすぞ」


 俺はそう言って背負式椅子を下ろすと

なんとヴィータは成長していた。

背も伸び、胸が出始めている。

余裕目に作っておいた椅子の幅も少なくなる程

腰骨、お尻がでかくなっている。


「どうやら信者がおるようじゃ」


声も幼い舌足らずだった発音はすっかり消え。

ハッキリ活舌良く喋っている。

椅子から立ち上がった、そのスタイルには くびれが存在し

女性的になり始めている体だ。


 こちらの感覚で言えば小学校卒業~中学初め位な少女だ。

人によってはどストライクゾーンでござるよ。

天翔る竜がひらいめいちゃいそうだ。


 ヴィータの変化を喜び称えるハンス。

俺はその隙にそっとプリプラの傍に近づき

念を押しておいた。


「村でも記憶喪失で通せよ」


もし、その村がプリプラの生まれ育った村

そういう設定だったならば 

NPCである村人には、それまで共に過ごしてきた

プリプラの人柄、思い出やらがあるはずなのだが

当のプリプラは小梅100%だ。

いきなり中身が別人だ。

怪しまれてしまうに違いない。


「分かってるってば」


 そんな話をしている最中

その人物は木の陰から突如姿を現した。


 いつでも引けるように矢を弓につがえたまま

こちらを凝視している。


 プリプラと同じような恰好だが、スカートでは無く

布製のズボンだ。体格も同じような感じで

背はややプリプラより高そうだ。

プリプラと同じ金髪で短くカットしている。

目つきは精悍な切れ長だ。

性別の見分けは付かない。中性的というやつだ。


「・・・・プリプラ、なのか」


声も中性的だ。なんか宝塚の男性役みたいだ。


「・・・・。」


 固まるプリプラ。

すぐに返事するべきなのだが相手の名前も分からない。

俺が名乗り出ようとするより先にハンスが出た。


「プリプラさんのお知り合いの方ですか」


「・・・人族だな」


警戒を強めるエルフにハンスは綺麗な礼をして続ける。


「初めまして私はハンス。聖都へ向かう旅の途中で

昨夜、プリプラさんを森の中で保護いたしました。」


「保護?」


「どうも記憶を無くしておられる様子。名前以外は

思い出せない状態でして」


打合せもしていないというのに

うまいじゃないかハンス君。

任せたぞ。


「怪我は!?」


弓と矢を慣れた手つきで装備状態に戻すと

心配そうにプリプラまで駆け寄るエルフ。


「ケガは無い・・・の大丈夫。記憶以外は無事。へへ」


硬いぞ小梅、ハンスを見習え

ってハンスは演技じゃないのか。


「こちらはアモンさん、私の同僚で」


俺は見よう見まねでハンスの取った礼をする。


「こちらの方が教会の大事なお客様です。このお方を

聖都まで無事お連れするが我らの役目です。」


 エルフは左手の手の平を胸に当て軽く頭を下げる。

エルフ式の礼なのだろう。


「プリプラが世話になったようだ。礼を言う」


俺も何かしよう。

用意していたセリフを言う。


「送り届けるついでと言っては失礼なんですが

旅の為の物資が不足気味でして、つきましては

エルフの里で購入を希望しているのですが」


「うーむ、人族の言う店は無いのだが

余裕のある物なら分けられると思う」


エルフは俺とハンスの服装をジロジロ見ると

言葉を続けた。


「丁度、長の客人が滞在中だ。その服装・・・

客人のお仲間だと見受ける。村に入れるよう

私が話を着けよう」

 

よし、計画通り。

しかし、お仲間の客人とは予想外。


「ありがとうございます・・・えっとお名前は」


「これは失礼した。私はプラプリという」


ややこしいわ

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