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第百十三話

「教会としては、今の段階では返事が出来ない」


少し考えた後

パウルはそう答えた。

9大司教、全員の合意が居るのだろう

そう思い、俺は言ってやった。


「ハンスが戻ればハッキリするが

バリエアにいた9大司教は全滅だ。

ハンスとお前、後はバリエア以外に

滞在していたのしか生き残っていない」


最高指導者不在だ。


「・・・。」


「パウル個人の希望ではどうだ」


更に少し考えてからパウルは慎重に答えた。


「聖都は女神様の降臨もありでベレンに

首都は暫定的にベレン。いずれ

セドリック王を復興後にバリエア戻す形が理想だ」


じゃあセドリックを焚きつけてくるわ。


「分かった、そう仕向けろ。最後にひとつ」


「・・・。」


俺の言葉を待つパウル。


「派手な式典が行われるのだろう。」


ゲームのイベント「審判の日」だ。


「その日時は早目に告知しろ」


「何故早く知りたい」


「勝ための仕込み、時間が多ければ

多いほど有利だ。」



完全膝カックン耐性で

この部屋の窓から

人目につかず出られる事が分かっていた。


俺は窓から飛び出す。


「宜しくい願いします」


ペコリと頭を下げ

ストレガも後に続いた。


窓に駆け寄って来る

パウルは言った。


「待ってくれ、あなたは何者なんだ」


着地した俺は、窓を見上げ答える。


悪魔人間デビルマンだよ」


横でストレガが補足した。


「そこそこですけどね。」


正面に向き直ると俺は素早く

冒険者ゼータの顔にチェンジして

パウルの建物を後にする。


次はセドリックだな。


領主の館は警戒が厳重だ。

こんな時だ、領主はもちろん

今はセドリックまで滞在している。


俺はデビルアイで走査しセドリックが

部屋で独りになる瞬間まで待った。


「どうやって入りますか。」


ストレガが、そう聞いて来た時

その瞬間はやって来た。


「こうするのさ」


俺はストレガをお姫様抱っこすると

有りもしない奥歯のスイッチを入れ

全力ダッシュする。

通過する際に大気操作で無風にした。

マッハ3(脳内)で移動する俺を

人間の視力では補足出来ない。

抱っこしたストレガには

チャッキーで試して大丈夫だと

確認できた重力操作で慣性から

守ってやる。


メイドが「失礼しました」と

閉める扉の隙間から部屋に入った。


ついでにめくって見た。

メイドのパンツは黒だった。



突然、目の前に現れた俺達を見て

セドリックは固まる。

騒がないでくれてありがとう。


「騒ぐなよ。ちょっと話があるだけだ」


「その声は・・・魔勇者殿?」


俺は首の動作だけで

前髪をフサァってやる

ムカつく動作に合わせてアモン顔に戻す。


「いいアドバイスだ。これは声も変えた

方がいいな。うん」


「扉は内側から施錠出来ますよ」


胸の前辺りで両の手の平をこちらに

向けながら、ゆっくりと椅子から

立ち上がりセドリックはそう言った。


 事情は分かっていて、尚且つ

俺に敵対する気は無いようだ。


「魔勇者殿の不利益になるような

行動をするつもりはありません」


そう言うセドリックの言葉を聞きながら

お姫様抱っこからストレガを降ろす。

彼女はそのままセドリックの言った

通りに施錠し、内臓した短杖を

出すと遮音結界を展開した。


まぁ、なんて有能な子なの

なんでこう

終わり間際に有能なのが出てくるかね

もっと最初の方に出てきて欲しかった。


「ガバガバの為なら秘密裡に

俺を葬るクセに、良く言うぜ」


俺の言葉に頭を抱えるセドリック。


「ああああ、それは言わないで下さい」


真面目な人をからかうのは

本当に楽しい。


「で、俺はなんで指名手配なんだ」


酔っぱらいBの言葉と

張り出された手配書には

人相書と報酬額、生死問わずの

内容だけで、肝心の罪状が無いのだ。

さっきパウルに聞き損ねた

もう一回行くのは恥ずかしい

教えてくれセドリック。


「東西の惨劇の張本人だと・・

でも私には分かる魔勇者殿は

そんな事をする人ではない」


いやその前に

個人のやれる規模じゃないだろ。


「信用してくれて嬉しいよ

なのにこんな事を告げるのは

俺も酷なんだが・・・。」


俺はセドリックに昨日の

災害救助の話をし

今なお勇者やハンスが捜索と救助を

行ってはいるが、俺の能力で見た限り

帝王の存命は絶望的状況な事を告げた。


ガックリと椅子に座り込むセドリックは

「そうですか」と力無さ気に言った。


ある程度、情報は行っていたようだ。


「今、この部屋は完全防音になっていますよ」


ストレガがそう言うとセドリックは

せきを切ったよう号泣した。


実の父親だ。無理も無い。

セドリックが落ち着きを取り戻すには

少々時間が掛かったが俺達は待った。


「すみませんお見苦しい所を」


「見苦しくないさ」


んなんか最近コレ連発だなぁ。


「で完全防音と言ったが、あれは嘘だ」


「ええええええええええ」


「嘘です。完全防音です!やめてください

どうして人をからかう事ばっかり全力

なんですかお兄様は」


お兄様で思い出した。


「後な、グロリアは俺が預かっている

返して欲しくば」


「姉上は無事なんですね!」


「返して欲しくば」


「良かった。本当に良かった!!」


「聞けよコラ」


俺は冒険者の宿で聞いた会話の

内容から推察される。懸念を話し

教会はセドリックを立てる方針だと

いう事を説明した。


キョトンとした顔になったセドリックは

俺の勘違いを正してくれた。


グロリアは元々ベレンに嫁ぐ予定だそうだ。

第一子ではあるが妾の子なので

継承権は無いそうだ。


「でも君、確か第二継承権じゃ・・・」


「父が第一です。今遠征中で他国に

赴いております。」


帝王はおじいさんか・・・。

ヴィータの言うう通りベレン6世に

野心は無かったが7世の方には

あったと思い込んでいたが

7世の方も無いのね。


「でもお姉さん、なんか嫌がっていたよ」


「・・・イケメンが好みなようで」


「分かります」


なぜかストレガが同意した。

女ってやつは・・・男も同じか


つかパウルも教えてくれよ。

真顔で勘違いをドヤ顔で言ってたじゃねぇか

ああ恥ずかしい。

次、会いにくいな・・・。


グロリアは首都退避でセドリックとは

バラバラに退避し、その後情報が

入らず気を揉んでいたそうだ。


ベレンに来たものの

そう言った理由でロディの

目に付かない場所に引きこもっている

そうセドリックは予想した。


うん

放置するね。


これで領主はパスでいいや

憂い無しで

最終決戦の準備に取り掛かる事が出来る。


俺がそう考えた時

窓から黄色い光が差し込む

咄嗟に窓に駆け寄り

外を確認すると

教会方面から一体の天使が

飛行していく姿が見てとれた。


丁度良い

やつ相手には準備不要だ。

裁と地のウル

文字通り泥仕合と行こうじゃないか。

出展


奥歯のスイッチ サイボーグ009主人公の技「加速装置」の演出。メシ食ってる時、間違ってスイッチ入るんじゃないかとドキドキした思い出がある。

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