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第百二話

「この間は珍しく何も拾って

帰って来なかったと思いきや」


だるそうにヴィータは言った。


「今回はその分、大物じゃのぅ

しかも二匹も・・・。」


ベレンに到着した俺・ハンス・

勇者ガバガバ・そして

バルバリス帝国・王位第二継承権を持つ

王子セドリック君は護衛兼御者を馬車に残し

教会の女神に謁見したのだが。


こいつストレスマッハだな。

こんな重要人物を二匹とか

犬猫扱いかよ

何様のつもりだって


神様だ。


じゃあしょうがないな。


そんな扱いにもめげず

二人はうやうやうしく自己紹介をする。


「ん?なんじゃ、エッダを美人に

したようなのが勇者なんじゃな」


俺はキレた。

それは言ってはいけない。


「エッダちゃんだって美人だろうが

こういうのは好みの問題だぞ」


そう言ってバリエアのお土産である

甘味菓子を袋のまま投げつける。

ゲカイちゃんお墨付きのお菓子だ。


ヴィータは片手で器用にキャッチすると

一瞥しただけで構造を把握し

器用に梱包を解いてパクつき始める。

こいつ頭も良いんだよな。


「なんじゃ・・・ヌシはエッダの方が

好みなんじゃな」


お菓子を咥えながら何やら

メモを取るヴィータ

おい、何書いてる。


「大体、体だってエッダちゃんの方が

女の子女の子しててカワイイだろ

あの、槍を構えた時の腰の具合とか

イイ感じにへっぴりだし、それに比べて

コイツなんて腹筋割れてそうだし

・・・その辺どうなんだセドリック」


「えぇ?」


突然振られて素になるセドリック。


「それは割れてますね。確かに」


答えるハンス。

なんでお前が知ってんの


もしかして突いてはいけない

ポイントだったのか

このまままた昼の一時に

やってるドラマみたく

なるのか。


面白いじゃないか


「え?」


ちょっと違う「え」になるセドリック。

お構いなしにヴィータは言った。


「身体を観たいわ!

その子の裸をみせてちょうだい!」


お前、女子なのに渋いの読んでるな。

ガバガバが服を脱ぎ始めたぞー


 俺はすかさずガバガバを制止すると

ヴィータに言った。


「まぁ掴みはこの位で真面目に

話をしようじゃないか。」


 その後ヴィータも混ざって領主の館に赴き

ローベルト・ベレン6世と9大司教「流」のパウルに

会う手筈になった。


「なぁパウルって教会にいないのか」


何回かここにきているが思えば

パウルを見かけたことが無いのだ。


「はい、あのお方は特別な仕事を

なされていますので別の建物に

居る事が多いですよ」


情報・物流・人、それぞれの流れを

把握している仕事だ。

意図的に操作も可能というか

やってるんだろうな。


綺麗な面ばかりでは無いのであろう

確かに敬謙な信者の集う場所では

何かと不都合が予想される。


 女神のお召し替えの間に

俺達は馬車まで移動する。

今日は元々俺が二人に面会する

アポを取ってあるので

そこに便乗して王子と勇者を連れて行く

何か言われても、最初からこの予定だと

強気に押し切れば良い。

と、言うかとても袖には出来ない

権力と影響力を持った二人だ。


格としても領主と司教より

上なんじゃないかな。


「アモン殿は女神様と

随分親しいのですね。」


セドリックは俺が

お菓子を投げつけたのに

かなり驚いている様子だ。

なんか態度も下の方に降りてきている


「ん、ただの犬だよ。ワン」


俺はそうふざけておいた。

それよりもセドリック君。


「君の姉はどこだ。いつ俺にくれるんだ」


「えぇ?あげるとは言ってないですよ」


「おいおい、あの場でああ言われて

他にどんな意味がるって言うんだ。」


挙動不審になるセドリック


「いえ、単純に質問に

答えただけなのですが」


素直な青年だな。

俺も環境によってはこうなれたのだろうか

汚れるなよ俺みたいに


「じゃあ、こっちでもいいや」


俺はセドリックの横の勇者に向かって

そう言ったが


「だだだだめですよ」

「アモンさん。おふざけはその辺で」

「・・・あら、妹の方が好みだったのでは」


ジェットストリーム否定されてしまった。

美人に踏まれたい。


 外に出て見てたまげる

何、戦争でも始まるんですか

キラキラした鎧を纏った騎士達が

同じ様な鎧を着せられた馬に乗って

俺達が乗る予定の馬車を二列になって護衛している。


「待たせましたね」


後ろから余所行きヴィータが侍女を伴って登場する。

なんか黄金のオーラも出してる。

気合入ってんな

「「おぉ」」

あまりの美しさと神々しさに

騎士達も歓声を上げ

すぐさま馬から降りて膝をついて頭を垂れる

なんかみんなそうして

突っ立てるのが俺だけになった。

慌てて俺も同じようにした。


これは肩が凝りそうだ。


バルタん爺さんが出迎えてくれる。

馬車は領主の館専用機だ。

これ板バネついてるだよね。

乗り心地が段違いだ。


最後にヴィータが乗り込むと

大名行列の出発だ。


うわーすれ違う人がみんな跪いてる。


席に座る際、背中の創業祭を外して

手に持つ、横に括りつけたモノをみて

次期領主ロディとの事を思い出した。

褒美として領主に授ける用に

夜なべで作った物だ。


「そうだ、ヴィータこいつを・・・」


丁度俺の正面に座ったヴィータに

包みごと渡す。


「なんじ・・・なんですかコレは」


ヴィータは包んでいる布を解くと

中からは煌びやかな輝きを放つ金属の

錫杖が出てきた。

先端部には大きなクリスタルをはめ込んである。


「・・・素晴らしい」


貴金属なんて見慣れている王子が

感嘆の声を漏らす。

その反応に俺は大満足だ。

どの程度の出来なのか

自分では判断がつかない

王子の反応から

これは高価な一品と言える

レベルなのだろう。


「こここれは我にくれるのか」


「違うぞバカ、なんでお前にやるんだ。

領主に授ける用だ。」


おい、演技しろ

地が出てるぞ。

プルプル震え出すヴィータ。


「ううううううなんでじゃあああ」


「おい!どうした?!」


そう吠える女神。

車内の誰もが唖然とした。


「なんであんな領主にこんなキレイものを」


「そこは今回の女神に対する労を

労って褒美を授けるっていう」


俺の説明を聞いていないのか

ヴィータはドレスのスカートの中に

手を突っ込んでゴソゴソし始める。


お前、何でそこに何でもしまうの。


「我にはサンダルだけかや」


「!?」


取り出したのはサンダルだ

エルフの里前まで履いていた。

そこらの木と蔦で拵えたやつだ。


「まだ、持っていたのか。」


「捨てるなど有りえん・・・。」


「ハンスには槍とかプリプラには

テイアラとか・・・我だって・・。」


ダーク良かったなタゲ外れてるぞ。


「ちゃーんとお前用のが有る」


拗ねる女神を前に

そう言うしかなかった。


「本当かや!!」


スゲー嬉しそうだ。

もうやるしかないな。


「審判の日用にと思っていたんだがな

まぁ普段から持ち歩いた方がいいか」


高速思考スタート。

ヴィータは豊穣の神だろ

武器とかは合わない

何を持つのが相応しい

鍬!絵的にダメだ。

鎌!それじゃ死神みたいだ。ダメ

旗の棒・・・革命がしたいワケじゃない


ここで不思議な事が起きた。

解析不可能だった。

あの勇者の剣と槍の心臓部

まるで友人が助け船を出してくれた様な

そんな感じで解析不能のデータの塊から

設計図が流れ込んでくる。


俺はそのまま創製した。


材料は俺の身体もしくは貯め込んでいた

金属粒子では無く

そのデーターの塊から

流れ込んできた粒子だ。


「っこ・・・これは?」

出展


身体を観たいわ! 拳闘暗黒伝セスタスのセリフ

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