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第百話

「それでは皆様御機嫌よう」


ババァルはゲカイ以外の魔神を連れて

転移していった。


人間三人は深いため息をついた。

ヨハンはかなり参っている。


「しかし、まぁなんだ。こんなに

頻繁に魔王が現れるのに隠れ家って・・・。」


「いや、それは俺のせいだ。

ババァルは俺を指標に転移している

俺が居なければ聖属性の緩和が出来ないから

俺の居ない時には来れない安心しろ」


て、言ってる今も転移してきてもおかしくないが


「何か額がヒリヒリすんですけど」


「私もです。なんでしょうね」


チャッキーとハンスは額を気にしている。

落書きを消すのに実は結構手間取った。


「向こうがソノ気だったらウチら

全員皆殺しだったんすよね」


チャッキーも参っている。

時間停止に対する防御が一切無い

生殺与奪を完全に相手に握られているのだ

戦闘面に関しての事だけにキているようだ。


魔王以下魔神2名が乱入

捕えていた魔神が2名

一応協力してくれているが

本来は敵の魔神1名

で、俺だ。


人間3:7悪魔


この状況で安心出来る人間などいないだろう


「全部・・・兄貴のお陰だな」


力無さげにヨハンが呟く

お陰かもしれないが

完全に俺が巻き込んでいるとも言える。


「ていうか、俺のせいだな」


責めてもいいんじゃないかな。


「いいえ全てはアモン様のお力」


うーんゲカイちゃん

ここは人間慰めようよ。


「ですね。撤退もアモンさんの提案では」


打合せ通りにババァルは威厳たっぷりに

魔神達に撤退を指示したのだが

ハンスが鋭いのかババァルの演技が大根なのか

あるいはその両方か。


「いやぁアレは意外だったなぁ」


うーん、俺も大根だな。


「ま、兄貴がそう言うならそう言う事で

こっちとしては願ったり叶ったりだ

正直この二日間、頑張ってみたものの

途方に暮れていたのが正直な感想だぜ」


ヨハンが珍しく弱気だ。


「そんなに数いるのか」


「居ない場所は教会内だけだぜ」


「被害無しに戦闘出来るシチュエーションも

そう都合良く無いっす」


見つけても手が出せないのか


「まぁこれからは数が減るハズだから

それから再開する方が無駄が無いんでないか」


頷くヨハンとチャッキー。


「それにしても偽の俺が死んだ日が

何の因果か俺が生まれ変わった日と

同じとはね」


「それでパウル様は武が空位だと・・・。」


ヨハンもハンスも感慨深気だ。


「女神に祭り上げられている人は

どうなるっすか」


これだな。

悪魔共には放置でいいと言ったが

人間サイドとしては

それは可哀想だ。

特に正義の人チャッキー君としては

救い出したいトコロだろう


「教会が保護している内は安全だが・・・。」


続く言葉を察したハンスが俺に続けて言った。


「騙したとして処刑も有りうるかと」


知ってはいたが

実際目の前でその悲劇の寸前まで見ていた。

現に俺が茶番を強行しなければ

行われていた。

あの場所の空気を

ハンスは肌で知っているのだ。

そして俺が強行しなければ

処刑を善しとしていたかも知れない


この事を酷くハンスは後悔している。

と、ヴィータから聞いた事がある。


そんなんで敏感になっているのだ。


「その前に勇者を連れ来るから安心しろ

間に合わないば場合は・・・ゲカイ」


「ハイ」


「処刑前にその娘の存在の認識を

解除して連れ出せ」


「・・・教会内には入れません」


あ、そうか


「処刑は教会では行いません

処刑場まで連行する間がチャンスです」


そうなのハンス君。


「だ、やれるな」


「ハイ、必ずや」


言ったものの自信は無さげな様子だ。

ここは嘘でいいだろ


「安心しろ、必ず間に合わせる」


勇者本人はもちろん

捜索隊すらどこに居るか

分からないんですけどね


「ハイ」


ああ

信じ切った目で俺を見ているゲカイちゃん。

裏切れない

裏切りたくない

頑張れ俺。


その日は隠れ家で過ごし

翌朝、ハンスを乗せ

俺はベレンに向かった。


領主とパウルを抱き込むのだが

例によって

なぜか例によってまた

戦闘を目撃してしまう。


なんで飛行中にいつもと思ったが

戦闘は毎日どこかで行われていて

空からの視点だと地上より

遥かに広い範囲で索敵が可能だから

なんだと思う。


「ハンス君。ちょっと寄り道だ」


「何事ですかへーっくしょい」


「戦闘だ。悪魔が馬車を襲撃している」


「へーっくしょん」


その、くしゃみは了解って意味でいいのか

まぁどっちにしても行くんだけどね


森の中、行き止まりに追い詰められた

状態に馬車はなっている。

 数名の下級悪魔が取り囲み

護衛と思わしき戦士は既に地に伏していた。

 馬車から剣を持った物が

覚悟を決めて飛び出して来る。


 俺とハンスはその時に悪魔達の背後に

着陸した。

バリエアの時と同じ要領で半人化翼無しだ。


「なんだ男か」


剣を持って飛び出してきた者は男性。

まだ若い元の世界で高校生位じゃないか

金髪にマント、高そうな衣装。

王子様って感じ

いいかどうでも


「おい、念のため聞くが馬車の中に美女はいないか」


俺は悪魔の背後から馬車の上の王子様に声を掛ける。


「い・・・いませんが」


律儀に答える王子様。

残念だ。


「そうか、じゃあな頑張れよ」


俺は踵を返して立ち去ろうとする。


「アモンさん・・・。」


呆れるハンス。


「こっ・・・ここには居ませんが

私には姉がおります。」


馬鹿野郎

そう言う事は早く言え。


「やるぞハンス」


俺は背中の創業祭を引き抜く。


「は・・・はい」


戦闘は10秒程度で終了した。

6体の下級悪魔の魔核は全て

俺が切断した。


うん、昨日より剣技が体に馴染んでいる感じだ。


「ほぇー」


慣性を無視した俺の動きに

王子は信じられない物を見たといった表情だ。

人間離れしている

つか

人間じゃないからな


ハンスは倒れた戦士兼御者の手当てをしている。


その時、背中にプレッシャーを感じた。

脳内アラームが響く。

完全膝カックン耐性も物体を感知するが

索敵を逃れてここまで接近したって事か

何者だ。


俺は振り返りデビルアイでその人物を捉える

同時に俺もデビルアイ・・・じゃないな

力の根源は異なるが同様の効果の走査を受ける。


「セドリーック!!離れて」


その人物は跳躍する。

こちらも人間離れした体術だ。

緑色の髪が後方に流れ

必死の形相だが美人だ。

一瞬エッダちゃんかと思ったが

別人だ。

なんというか失礼な言い方をすると

エッダちゃんをフォトショで美人に

加工したような感じだ。


「そいつは悪魔よ!!」


信じられない距離を跳躍する。

振りかぶる剣が


これがヤバい


銀色に輝いて

空気だけでは飽き足らず

空間も因果律もその軌道上にあるモノ

形が有ろうが無かろうが

関係無しに全部切り裂いている。

凶悪なレベルの聖属性だ。


エッダちゃんの槍と同等

いやそれ以上なのか

使い手の差か


とにかくヤバい


アレに斬られたら

しもの俺も冗談では済まない。

斬られた部分は力が通わなくなり崩壊する。

人間状態で斬られた方がまだ望みがある。


「っ待って、その人は」


気づいたハンスがそう叫ぶ。

以上の事実からこの人物が特定された。


こいつ勇者だ。


ガバガバだ。


この状況における

最適解は・・・斬られよう


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