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其の二 「あれあれ、この妙な雰囲気は何」


 やっと長い春休みがおわって寮に入りほっとしていた。

私たちが住んでる三日月町なんだけど六年ほど前に町長さんはじめ町ぐるみで三日月町にちなみ天体観測の町として村おこしを考えたらしい、かなり田舎で星がよく見えることもあるし。

その一環(いっかん)として小中学校に望遠鏡が設置(せっち)され、町外の人を呼び込もうと空き校舎を改造してりょうを作り、空き家を町の借家として格安(かくやす)で貸し出すことにした。それにホイホイと乗っかったのがうちの両親。(私も含む)。

去年までは大山郡三日月町だったけど隣の大空市に併合されて今年からは大空市になっている。


 元々私の家は元の大空市の市住か県住みたいなところに住んでいて、父母ともこの市にある天文科学館に勤めている。

 小学三年の時さっきのホイホイで私を寮に放り込んで、一家はおんぼろ町営住宅に引っ越した。

わたしが寮に入ったのは寮生の特典で毎週土曜日に天体観測ができるから、知らずに毎日参加していたら

(あれ月曜から木曜までは私以外誰も居なかった、部屋の鍵は私が持ったままで、そういやクラブは週に一回だったかも)いつの間にか天文クラブに入っていたみたい、まあいいけど。

こうして私は我家が三日月町に有るに関わらず寮に住みついて、また親の仕事が天文館で土日も仕事があるためあまり家にも帰らず天涯孤独に生活しているのよ。中学生になっても。



 私は月組といいましたが他には火星、水、木、金、土星、海王、冥王、だけでは足りないので北斗、すばる、ベガ、リゲル、カペラ、などなど(採用基準は何ってつっこみたくなる)体育館は太陽館と呼ばれてる(大きいからかな)、と言うように変な学校なのです、学校名は三日月町にあるから、これ当たり前。

去年までは三日月町立だったけど今年からは大空市立になっている。




 それではじめてのクラス会、例によって自己紹介をやってるようだけど私はまったく興味無し、しょっぱなから「木星の輪の秘密」なんて本を読むのもどうかと我慢して(えらい私小学生の時とは違うねー、ってまだ本を持って来ていなかっただけ)、小学校の勉強時間でもやっていたマイファンタジーの世界に没頭していた、(やっぱり偉い、は取り消し)と横の席の子が「あおいさん、あおいさん」と呼びかけている。

「?、、、あっ自己紹介だったっけ」(意外に早かったのね席が後ろの方で最後の方かと思っていたら)

あおい 月影つきかげ、趣味は天体観測、以上」

「早や」とか「え」とか言われ先生が(あっ若い女の先生か、なんて今頃気づく)

「碧さん得意な科目と呼ばれてもいいニックネームがあれば教えてください」なんて丁寧に言葉と裏腹に冷ややかな目でおっしゃった。

「得意な科目はありません、あえて言うなら天文らけ、ニクネームもられとも話さないので有るか無いかも知りません、いりょう(以上)」(ああ”らけ”と”られ”とになってしまった、気が付いた子いるよねー、まいいけど)とそっけなく終わった。

「えー」とか「ありえん」とかあとごにょごにょ聞こえるが無視無視。

先生が「それでは全員の自己紹介が終わったので、私の自己紹介を」なんて言ってるが(あ、やっぱり私で最後だったのね)これも無視してさっきのファンタジーの続きに入り込む。

まあ私ってこういう人なのです。(実は自分がUMAかもしれないなんてこの時は思ってもいなかった)


 後日気が付けばこんな紙切れがかばんに入っていた「あなたの正体(あば)いてあげる楽しみにしてなさい 凶悪なUMA(ゆーま)ちゃん」(うわっ UMAだってなんかワクワク、早く正体暴いてください、楽しみにまってます。)って凶悪無視してる私



 入学式の翌日の朝このクラスで見たことのない女の子?いやセーラー服を着た背の高い髪の短い男の子?が入ってきてずかずかずか、私の前に立ちはだかる。

「お前が碧月影(あおいつきかげ)だな昼休みに屋上に来い、来なければ叩きのめす」とだけ言って出て行った。

(何?たたき、のめす?)って思ってたら

「碧さんあの子とお知り合いですか?」

って今度はとーってもかわいくかつ美人で私よりずっと小柄な女の子が聞いてきた。(実は私170cmを超えている)

「わーあなら(た)かわいいー」

「あの私がかわいいとか、美人とかは分かっているからいいのです、今来ていた子は知っている子なのですか」とこれも小鳥がピーチクささやくような澄んだ高い声で。(言ってる事が傲慢(ごうまん)なのに気が付きもしない私)

「えとーられだっけ知ってます?、昼休みにおくろう(屋上)に来いって」

「ダメです行ってはいけません、あの子は乱暴(らんぼう)でとても評判の悪い子なのです、あなたを悪い仲間に誘おうとしているのですわ」(もう少し気楽に話して欲しいな)

「わっ悪の帝国れすか一度行ってみたかったの、ろこ(何処)にあるか知ってます?」

「あなた私の話しちゃんと聞いてる!、あっ失礼しましたわたくしは五月 光(さつき ひかる)このクラスの学級委員になる予定でございます、どうぞよろしく、あなたの事は存じておりますのでご紹介して頂かなくてもよろしくてよ、わたくしが思うに碧さんあなたは寮生でありまた友達らしい友達がございませんでしょ、(うんうんよく分かってるわね)そういう寂しげな人を悪のグループに引き込もうとしているのではないかと危惧(きぐ)いたしております。」(あー疲れるこの人)

「あのねタタキろ《と》かノメスろか食べ物かな、そう言ってましら《た》から行かない訳には、、」

「それは叩きのめす、暴力を受けるという事です、そういうことならこのわたくしがご同行いたします、こう見えてわたくし柔道剣道空手などを多少たしなんでおりますのでどうぞドロ船に乗ったつもりでご安心はしないでください、なにせ相手はこの学校一のわるでございますゆえ大した力にはなれませんが精一杯あなたを守る覚悟でございます」(そんな大そうな)

「れも、えーとさぬきさんあなたをねじ曲げるわけにはいきませんから、、一人で行っれきます」

「私はうどんですか!わたくしは、さ、つ、き、です。それに私をねじ曲げてどうするの、巻き込むとおっしゃりたかったのでは、それではわたくしは草葉の陰からそっと見守っておりますゆえ何かあったら大きな声をお出しください」(えー五月さんて幽霊だったのっ!ってそんな訳無いか)


 それで昼休み大急ぎでお弁当を食べ出て(五分くらいかな)行こうと、ちらっと五月さんのほうを見る、「分かってます」と言うようにうなずき私の後を少し離れて付いて来る。

(私はお弁当急いで食べたけどあの子はどうしたんだろう食べずに待っていたのかも知れないな)

屋上に出ると離れた隅のほうにあの子は来ていた。

「ごめんれまらたせて」

「いや今来たところだ、呼び出したりしてすまぬ」といったが後何も言わない。

「たたきは?ノメスは?あっあの名前教えて」

「ああ財津ざいつ匡子きょうこだ、俺は小学校から評判が悪くてな誰も近づいてこない、当たり前だが」

「きょうこちゃんら、わらしは月影変な名前れしょ」「それは知っている」

「じゃあ(タタキは?まあいいか)何か?」「武道の相手がいないかと思ってな」

葡萄ぶどうの相手?)「葡萄の相手ってろういうこと」

「柔道か剣道か空手なんでもいい」(ああそっちの武道ね)「何もやったことないんらけど」

「そうなのかお前の動きを見ていたら只者ただものではないと思ったのだ素質か」

「はいタダ者です」(お金ないです)

「そうか、では試してみるまでだ」と言って平手を私の頭上からかなりの速さで振り下ろしてきた、

私はスッと後ろに一歩だけ下がって避ける。「見事だ、並の者では避けられぬ」

そこへ光が駆け込んできた「何をするですこの子に手を出したら私が承知いたしません」

と何かの構えの姿勢をする。

「あっさぬきちゃんろうしたの、何怒ってるの」

「私はうどんでは有りません、あなた今平手打ちかわしたんじゃないの」

「へっ?」(何も気づかない私)

「なんだお前はただ試して見ただけだ、お前に用はない」

「あなたに用はなくてもわたくしにはこの子を守らなければならない義務があるのです」

「なになに何かおもしろいころ?」

「いいえ、いつ何時今のように攻撃してくるとも限りません、わたくしにお任せなさい」

「たいそうなやつがくっ付いていたもんだな、気が向いたらまた来てくれ俺は大抵ここにいる」

「お待ちなさいまだお話は終わっておりませぬ、碧さんを呼び出した理由はなんでございますか」

「これだ」と言って斜め上方から平手を振り下ろす。バシッ!光は両腕でそれお受け止めた。

「ほうお嬢ちゃん中々やるな、しかしな碧のほうが上手だぜ、俺が本気だったら腕の骨が折れている、いつでも相手してやるぜ」といって立ち去って行った。

「五月さん大丈夫?」

「いったー、いえなんともありません、蚊に刺されたようなものです、碧さんお気をつけください、いつ襲ってくるか分かりませんから、あー痛い」

「大丈夫らよ相手して欲しかったらまた来いと言ってたから」

「そうだといんだけど、、ちょっとゴメン」五月さんはそう言うと右手を胸の高さ見上げ平手を水平に私に向かって打ってきた。

どん!私の胸にまともにぶつかる。(あまり力を入れてなかったのか大して痛くはなかった。)

「あっゴメン、どうして避けないの」

「えっ、いやまさか攻撃してくると思わなかったし」

「さっきは?」

「さっきっれ(て)?」

「今の変態野郎が上から平手打ちしてきたの後ろに避けたじゃない」

「へっあれ攻撃らったのスローらったから攻撃と思わなかった」

「わたしのは?」

「らってさぬきちゃん可愛いんらもの」

「んー?どうつながってるか分からないんですが、私はさ、つ、き、さつき、言ってみて」

「えーとさ、つ、きちゃん、らって私のこと守ってけ《く》れるとか、わらしうれしいの」

「えっと私が碧ちゃんを守るって言ったから攻撃してくるとわ思ってなかった、、って事でございますか」

「うんうんそんな感じ、わらし思ってることが上手く言えなくって」

「うーんおしゃべりの練習をしなくちゃならないようね」

「うんうんさぬきちゃんもね」

「あたた、さ、つ、き、へっ私も?」

「らってさっきまで堅苦しい言葉でしゃべってたじゃない」

「あっいけせんわ、わたくしとしたことが、それと碧さん、こんなこと言っては失礼ですが舌が回らないのは生まれつきでございますか」

「ううん、小学校のときほとんどしゃれ《べ》らなかったせいかな、中学生になって気が付いたら舌が回らなくなってら」

「そんなにしゃべらなかったの、何年も」

「うん三年で寮に入ってからめっらにしゃべらなかっら」

「そういうことならわらくしにお任せください、わらくしじゃない、わたくし発音の練習も致しておりますゆえ普通にしゃべれるようにご指導させていただきます、ついでにおしゃべりの練習も致しましょう、いいえお礼なんて結構でございます、学級委員の選挙のときに一票入れていただきましたらそれで結構でございます」

「はあ」

「ではまだ時間がございますので早速きょうの練習をはじめるでござる」

「ござる?」

「あら失礼、始めるでざーます?なんか変?ともかく”とうきょう とっきょ きょかきょく”」

「ろうこう ろきょ ろかこく」

「ああ、いきなりハードル高こうございました、た行の練習から始めましょ、た、ち、つ、て、と」

「ら、ち、つ、て、ろ」

「うーん、た」

「てゃ」

「うん近くなった、たたた、たー」

「てゃてゃてぃてゃあー」

「たちつてと、はい」

「てゃちつてと」

「うんいいよいいよ、と、になってる」

「えっ、と、と、と、とー、と、がでてる?」

「うんちゃんと、と、になってる、やったね碧ちゃん」

と私の両手をにぎる。

「ありがとう、ああとが言えてる、うれしいさつきちゃん」

「うん、この調子でどんどん行こうね」

「さつきちゃんもその調子で行こうよ」

「えっ、あっわっわたくしまたまたやってしまいましたわ、えっと、、まっいいか、でもここだけね、私ねアイドル目指してるの、それでねちょっと特徴出そうと思って、見かけ通りのお嬢様って雰囲気出てる?」

「出てる出てる、ってそのままでお嬢様なってるけど」

「だめよ、完璧を目指さなきゃ、じゃあ今日はここまで、また後で練習しましょ」と言った途端に五月さんのお腹がグーとなった。

「あっやっぱりお昼食べてなかったんりゃあ《じゃあ》」

「あらどうしましょわたくしとした事が」

「ねえ早く戻って食べろう」

「いえ、とてもそんな時間は」

「あっそうだ私パックの牛乳持ってるからそれ飲んで」

「えっでも、、」

「いいから早く教室戻ろう、発音練習の授業料、あっでも冷えてないかも」

「大丈夫、貰った、さっ行きましょ」

といって五月さんはいきなり駆け出した。

(わっ早い、でも負けないから)わたしも急いで追いかける、二十メートル位走って下へ降りる扉の手前でスピードを落とした五月さんに追いついて肩に手を掛け「はやいー」とひとこと。

「碧さんこそ、私について来れたじゃない、はあ、息も乱れて無いじゃない私より、はあ、短距離は自信あるんだけど」

「でも追いつけなかった、五月ちゃん早い」

「じゃあ今度対決しましょ、こういう勝負ならどんどんやって構わないのよ」

「分かったから、とにかく急いで戻ろう」

「そうでした急ぎましょう」

と言いながら五月さんは廊下は走ることなく足早に歩いて戻る、学級委員になるものが廊下を走ってはいけないからと。

廊下を歩きながら

「何かあったらすぐにわたくしに知らせるのですよ」

「あの子友達いないんだって、私と一緒だわ」

「いいえあなたにはわたくしが付いておりますわよ、分かっているの碧さん、あの人は危険人物なの」

「えー危険人物って、燃えたり爆発したりするの」

「違います、あのオカマはすぐに今の様に暴力を振るってくるのです」

「お釜に腕があるはずないけど、ぶんぷく茶釜じゃあるまいし」

(おかまの意味が違います、この子って日本語が小学校低学年レベルなのでしょうか)

「いえわたくしの出る幕はありませんでしたわねふふふ、、、わたくしの腕のみせどころでしたのに」

「五月さんて見かけによらず強いんだね」

「美少女は自分で自分を守らなければならないんですもの、碧さんも武道を何かしてらっしゃるの」

「ううん何もしてないけろ毎朝トレーニングだけはしてるよ、らいたい走るらけど小さいころはチャンバラとかやってたよ」(ゲッ今時チャンバラごっこする子っているの)ふふふ、すごいさすが月影という名前だけのことはありますわね、でも今はそういう雰囲気はありませんわね」

「んー星に興味を持ちらしたころから落ち着いてきたかな、でもねないしょよ、今でも木登り得意なの、自慢にもならないけどね」

「得意ってことは今でもやっていらっしゃるのね」

「うん朝ね人がいないときトレーニングの一つなの」

「それで運動神経も発達したんじゃありませんこと」

「ううん運動神経はダメボール投げるのはいいけど、打ったり受けたりするの全然だめ、蹴るのも

どこに飛んでいくか分からないし、自分が飛んだり跳ねたりするのはいんだけど」

「練習次第でしょう、素質はよろしいのでは」教室近くに来ると

「碧さん何かあったら必ず私に言ってねたとえ誰にもしゃべるなと言われても私は秘密を守りますから

私だけには教えてくださいませ」

「うん分かった絶対言うから、今日はありがとう」

「いいえ楽しゅうございました、ほんとは私もふふふ、ね」

(?)



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