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空腹凌ぎ作戦

 海岸沿いに建つ1つの学校。国によって作られた優秀な人材を輩出するためだけの学力至上主義の学校。


 生徒は1ヶ月ごとの学力テストの得点でランク分けされる。そして、そのランクごとに学校から受ける待遇も、扱いも変わる。


 ランクSは1番高待遇、そして尊敬されるべき者たちとして扱われる。


 反対にランクCは通称「劣等クラス」に入れられ、上のランクの生徒から馬鹿にされる立場にいる。


 そんなランクCの最低学力者達は、新校舎の離れの管理の行き届いていない教室でミッションを遂行していた。


 □ □ □ □ □


「こちら本部、峯崎だ。対象の様子はどうなっている山上!」


 ザザッ…ピッ。


「対象は校門を通過。まもなく新校舎裏口に到着予定。」


 ザ、ザザッ…ピッ。


「了解した。湊、そろそろ準備だ。」


「あいよっ」


 命令を受けた来栖川 湊はもたれ掛かっていたソファから腰をあげ、窓から飛び降りる。そして、目的地の新校舎裏口まで走る。


 ザザッ…ザッ…ピッ。


「峯崎!山上だ。対象が教頭に確保された!」


「チッ…クソ、先を越されたか。」


「どうするのー?私メッチャお腹空いたんやけど」


 お腹をさすりながら玖有 寧々が言う。

 呑気に椅子にもたれ掛かっていたが、今は空腹からくるイラツキに耐えているのか貧乏ゆすりをしている。


「ほらー、君たちがお邪魔したせいで失敗しちゃうかもしれないじゃん。どうしてくれるのかなぁ?」


 寧々は目の前で正座しているランクAの生徒の頭に足をグリグリと押し付ける。


「いっ…た…!」


「あのさぁ、確保されてる身なんだから勝手に喋んな!」


 また足を押し付ける。さっきよりも強く、頭にめり込むくらいの力で押し付ける。


「ぐっ…しゅ、しゅいましぇん…うっ」


「うっわ、寧々さん相変わらずエグいですね~…。てか、その靴スパイクじゃないですか!?マジ、そろそろ死んじゃいますって!」


 横で監視カメラを操作している野々宮 久司が今にも泣きそうなその生徒をかわいそうな目で見ている。久司の止めにも関わらず、寧々はまだグリグリと足を押し付けている。さすがにかわいそうになってきたところで今度は峯崎が止めに入る。


「本部の峯崎だ。作戦を変更する。山上は寧々に常時対象の動きを報告。湊は尾行し、隙があったら…もう奪ってしまえ!」


 ザッ…ザザッ…ピッ。


「山上だ。了解した。」


「来栖川だよー!奪うのね、りょーかーい!」


 一連の通信が終わり、峯崎はドカッと椅子に座る。ミッション開始からすでに2時間が経過している。そろそろ終わらせないと、みんなの腹が悲鳴をあげる。


「奪うって…随分、強行やねぇ。ま、もうすぐ食べられそうだしいいけど」


 交信をしながら寧々は言う。

 数分後、待ちに待った時が来た。


 ザザッ…ザッ…ピッ。


「来栖川だよー!対象からブツを奪ったよ。みんなは撤退してね!」


「よし、良くやった!聞こえたな、みんな撤退だ!」


 教室では拍手と歓声が沸き起こった。そして、続々と現場で待機していた生徒が入ってくる。

 そして、その数秒後に湊が全速力で扉を突き破ってきた。


「はーい、お待たせ!出前のお寿司200巻とーちゃーく!」


「よしっ、ミッション成功だ!」

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