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地獄戦隊ヘルファイブ  作者: シア・ヨネク
9/12

2ー3 こんな私を嫌いにならないで

「真無 現」と名乗る転校生が僕達のクラスに転入して数時間が立つ。

時刻は1時丁度。

綺麗な青空の下、屋上で大地と共に弁当を食べながら昼休みを過ごしていた。

「大地っていつも油っこいコンビニ弁当ばかり食ってるよな、毎日食ってたら絶対太るだろうに」

「平気平気、部活で死ぬほど走りまくるから大丈夫だって」


大地の買ったそのコンビニ弁当は唐揚げやエビフライ等の揚げ物が盛りだくさんに詰めた『もりもりスペシャル弁当』

揚げ物のオンパレードで胃がもたれそうなこの弁当を大地は嬉しそうにガツガツと口に頬張る。


「そういうお前は野菜だらけじゃん、野菜ばっかでちゃんと栄養足りるのか?」

「心配しなくても栄養も健康も充分とれるから問題無いさ」


大地の『もりもりスペシャル弁当』に対し僕はツヤの良い綺麗な野菜を盛った手作りの弁当。

両親と僕の3人、平凡な一軒家で暮らしているとはいえ親は共働きで、母でさえ朝早く出かけ、帰りが遅くなる事が多い為、その場合には自分で料理をする事がある。それを踏まえバランスのとれた食生活をする身からついでに「その弁当が好きなら運動をきっちりとした方が良い」と言いたいが大地の所属する陸上部は今大会に向けて日々のハードな練習に励んでいるのと大地が熱心に取り組んでいる事からあえて言わなかった。まあ大地が揚げ物を毎日食おうと問題は無いか。


「あ、太ると言えばあの転校生皆にモテてたな。見た感じ良いやつそうだし」

「確かにな、顔立ちはともかく性格ですら悪くないからな」


弁当箱に最後に残されたプチトマトを口に入れた後、数時間前の事を回想する。


休み時間の間興味を持った女子と男子に囲まれていた真無 現は臨機応変に、親切に会話を弾んでいた。

その様子を僕と大地は目にしていたが彼は楽しいそうに話し合っていた。


「…あのさ雅斗」

「何だ」

「亮平の事何だけど」

「亮平?」

「『中島亮平』 ほら、中学の時にいつも俺にくっついていた俺の後輩だよ」


既に空になった弁当箱を保冷バックにしまった俺は記憶を辿り始める。


亮平…


そうだ、思い出した。


中島亮平はここらで有名な暴力団『中島組』の組長の息子。

大地の中学の後輩でいつも大地に付きっきりだった。というのも厳格な父親と違って気が弱かった為、一目見た感じ組長の子だとは思えなかった。そのせいかいつも僕や大地に甘える事が多かったが根からしっかりしている所もあった為、部活動にはちゃんと練習に励む姿をたびたび見たことがあった。それに積極的で大地とどこかで遊びに行く時にはいつも彼がいた。


「あの中島亮平か、そういやしばらく顔を見て無かったが小太郎がどうかしたのか?」

「……三日前にいなくなった」

「なに?」

「昨日の帰り、亮平の親父さんに会ったんだけど親父さん「三日前から家を出たきり帰って来ない、連絡が途絶えてる」って心配して探してたんだ。亮平を知らないかって言われたんだけど俺も分からなくて。雅斗も知らないか?」

「いや、僕も知らない、初耳だ、しかしどうして小太郎が?」

「俺も分からねぇ、親父さんも身に覚えが無くて、急に消えたもんだな………あいつ無事だと良いんだけど、最近この近くで殺人事件が起きたり日香が失踪したりして町中物騒だからなあ」

「……しかも事件の犯人があの『業魔』という噂が学校中に広まっているしな」


大地も弁当を食べ終わり空のプラスチック容器をビニール袋に入れた所で空を見上げ一週間前の事を思い返す。


日香が失踪したあの日の夜、放映する全てのニュース番組で今日発表された政府の緊急会見で総理が業魔の存在を正式に明かしたのだ。

そもそも『業魔』とは悪魔に変身する人間。一年前にどこからか噂され始め、以来そこそこで有名な都市伝説の一つとしてネット上で話題になっていた。最近では業魔の目撃情報が相次ぎ一部からは「本当に実在するのか?」と多少騒ぐ事もあった。

だがあの報道を見て町中、国中、世界中の人々は愕然しそして悟った。


「本当に悪魔は実在した」と。


あれから一週間後、人々は今も変わらない日常を過ごしているが少しながら警戒心を強めていた。

業魔は悪魔と化した人間。

即ち、道を歩くだけですれ違う通行人、電車やバスの席で隣接する乗客、子供から老人までその悪魔になっている可能性を疑われずに要られないからだ。








亮平の失踪を知ってから四時間が経過した。

時刻は3時50分頃。

空の境界線がオレンジに染まっていき、一つの小さな星にしか見えない金星と半月がおぼろげながらうっすらと浮かぶようになり、真っ先に見える太陽は下へ下へと沈んでいく。


支度を整えた僕は革靴に履き替えロビーを出る。大地も部活の練習着に着替えスポーツ用のシューズに履き替え帰る僕と揃ってロビーを出る。


「じゃあな雅斗-気をつけろよー」

「ああ、怪我しないように部活頑張れよ」


その先の分かれ道で僕らは分かれる。僕は左側の校門に向かい、大地は右側の学校のグラウンドを繋ぐ道を小走りで渡る。


(今日も日香のアパートを寄るか、念のために)


彼女が帰って来るのを少し期待しながら道幅に縦列に並ぶ植木のある道を歩く、すると校門にある人影を見かける。


(ん?…あれは……真無 現?)


人影の正体はあの転校生、真無 現だった。

校門にいた彼は左側の道に辿って歩き始める。


(…どこに行くんだろうか?)


真無 現を遠くで見ていた僕は彼の行く先を気になり始める。

実の所を言えば僕は彼の事を転入してくる前から知っていた。


日香が失踪しその父親が変死したあの日、警察から事情聴取を受けている最中に彼を見つけた。

刑事らしき人と話し合いをしていた。

日香の知り合いか、この事件に心当たりがあるならそれで刑事に情報提供をする筈だ。だけどそうには見えなかった、まるで一般人と刑事という関係には見えず両者共に親しい感じに見えていたからだ。


あの事を思い出すとどうしても気になってしまう。

学校から離れていく彼を見てどんな人間なのか直感的に知りたくなってしまう。


(……………今日くらい寄り道しても良いか)


本当は日香のアパートに寄ってから帰るつもりだったが、時間的に余裕があった為、真無 現の動向をひっそりと探る事にした。









太陽がやっと沈み空が暗くなり始める頃、彼の後を追いながら息を殺し、しゃがみ歩きをしながら気が付かれないよう注意を心がけ彼につきまとう。


(それにしても家はどこなんだろうな)


そんな事を思いながら真無 現を追っていくと彼が突然歩くのを止めた。

気配に気付いてこっちに振り向くかもしれない、そう予測した僕は慌てずにじっとしながら冷静に隠れる場所を探しだす。丁度道端に自分の体をまるごと隠し通せる太い電柱を見つけ、出来る限り音を立てずにすぐさま移動しそこで身を隠す。

だが、彼は振り向く事も、再び歩き出す事も無くただ道の真ん中に突っ立えていた。


(……………動かない……どうか…したのか?)

「………ストーキングなんか知らねぇが出てこい、ついて来てんのもう分かってっから」

(!)


後ろを振り返えてすらいないのに感づかれた。

既に気づかれてたのか?僕が後を追っている事に?

いまだに後ろを振り向こうとする気が無い彼を前に不意に動け無くなってしまった。

だが、このまま動かない訳にはいかない。


(…バレてしまったなら、堂々を身分を明かした方が良さそうか)


バレたらバレたで不審者扱いされるか、それ以上にひどい仕打ちを受けるか、それでも僕は決意した。

電柱からゆっくりと自分の姿を見せた。振り向か無いまま背中を見せる彼の前に。


「怪しい者じゃない。ただ君の事が気になってついストーカーまがいな事をしてしまった事には謝る、すまない」


反省の意を込め、ぺこりと頭を下げ謝罪すると、彼はやっとこっちに振り向いた。


「あれ?お前アパートの時の、確か………行方不明中の小須部 日香の友人の…多良………」

多良見雅斗たらみがくとだ。というか僕が彼女の友人だと知っていたのか」

「知り合いの刑事さんが教えてくれてたんだ。で、雅斗、だっけ?俺と情報交換でもしない?」

「情報交換?」

「そうだ、本当なら明日俺からお前に情報を聞き出す予定だったけどせっかくだし今しよう、その代わりに俺はお前の抱える疑問を出来る限り回答するよ」

「…わかった」

「じゃあ決まりだ、よろしく」

「あ、ああ」


僕を不審がるどころか自分から情報交換を持ち上げた。

僕を普通に受け入れる彼に思わずその要件に乗ってしまった。

だがこれで得体の知れない彼の正体知る機会が出来た。

気を取り直して僕は彼と寄り道する事にした。








数少ない星が光る夜空の下、道端の古い外灯がぽつり、ぽつりと一つずつ縦列にそびえ立ち、小さな明かりを灯すこの道を歩ながら真無は僕に自身の経歴を語っていた。


「つまり記憶を失ったんで、地獄の戦士とやらにならざるをえなかったと?」

「そういう事だ、今は閻魔様に仕えし戦士として生計立てながら第二世界に暮らしている」

「生計立てるって、何か傭兵みたいだなそれ」

「気が付いたら文無しだったからな、それでそこそこ生活を送っている、という訳だが信じる?」

「信じるも何も総理の言っていた事が本当だと分かった時点で否定する理由なんてないさ」


そう、地獄の戦士という存在は総理から既に示唆していた。

あの緊急会見で業魔の存在を公表した総理はこの事実を踏まえて対抗策としてその存在を口にした。

政府の切り札としているが存在する事意外は全て機密事項で総理曰く「全て公表するのは難しい」との事。

詳細どころかその実体すら分からない戦士、その内の一人は僕の学校の生徒として今目の前にいる。まさしく政府が隠す切り札を目の当たりにしている。


「まあ今のメンバーは俺を含めて二人しかいないが俺の上司が戦隊物のような5人体制で構成するつもりでいるからこの先増えると思う」

「…あ」

「どうした?」

「今更だが正体ばらして良いのか?機密事項だろ?僕の為に地獄の戦士だの説明しているが」

「あー………まあ何も問題なければ大丈夫だ」

「それで良いのか」


真無の発言に僕は呆れる。

悪魔を倒す戦士がこんなマイペースで良いのだろうか。

そんな事を考えながら僕は次の質問をする。


「じゃあ学校に通っているのは情報収集のする為?」

「ん、その通りだけど何故分かった?」

「機密事項の身分がわざわざ学校に行く時点でおかしいから」

「あー確かに、とはいえ情報収集をやっているのは事実だ。ただ有力な手掛かりは無いし今の所進展してないんだよな~」

「………その犯人の正体が業魔だと言うのはもう確定、してるのか?」

「…それなら既に確定済みだ。現場近くの防犯カメラの映像にそれらしき物体が映っていたのが決め手となった」

「…そうか」


やはりあの事件の噂は本当だったようだ。

日香は大丈夫だろうか?得体のしれない悪魔に襲われてたりしていないよな?

日香の事を思うと心の奥底の不安がどんどん募らせていく。


「…雅斗」

「……………あ、ああどうした真無?」


日香の事で頭が一杯になり、気になり過ぎて真無の呼び掛けに気が付かなかった。


「あんたの疑問全部答えたから次は俺が質問する番だな、これも情報収集の一環として協力してほしいんだが」

「情報収集なら構わないさ、で、どんな質問なんだ?」

「行方不明者 小須部 日香はどんな奴なんだ?」

「…笑顔が取り柄な女子だ、どんな相手でもいつも笑顔を振る舞っていた。僕とは一年来の友人、一年前、高校に入学して数日経ったある日通学で彼女のアパートの近くを通った時、前にいた同じ制服の女子生徒のバックからクローバー型のアクセサリーが落ちたのを見て、拾って渡そうとしたらその女子生徒が日香だった」

「そんな彼女に一目惚れして直行で「付き合って下さい!」って言ったらそのままカップル成立」

「いやいやいやいや!違うから!告白して無いから!勝手に人の話を変えるな!………まぁそのきっかけで親しくなったんだ。そして大地も後に僕の友人になった」

「ん?大地って確か陸上のエースの坂原大地さかばらだいち?」

「そうだ、やんちゃな奴だか選抜メンバーの一人として去年の全国大会までの出場経験を持っている」

「マジか!?すげぇ友人を持ったなお前」

「まぁな、ともかく僕らは平凡日常を今まで過ごしてきた。たまに休日には三人揃って色々な場所を巡っては楽しくエンジョイしてきた………が、まさかあんな事が起きるなんて………」


少なくとも彼女は他人に憎まれたり恨まれたるような人間じゃない

それなのに何故あんな事件が起きてしまったのか

薄暗い空を見上げ何とか彼女が無事でいることを僕は祈る


「その日香、という女子に連絡先はあるのか?」

「あるさ、メールアドレスでさえも。だがいくら掛けても電話に応答せずメールを何度も送っても今のところ返事が来ない」

「…なるほどな、他には?」

「無い、ん?いや、あ、そういえば彼女、というよりあの親子、訳あって金の事で困っていたな」

「金のトラブル?」

「それは違う、僕が思うより経済的にあんまり良い生活を送っていない、そういう事だ、今まで日香は金の事で苦労してるって呟いた事が何度もあった」


とはいえそれが事件の原因になるとは思えない。

日香、もとい小須部親子は借金を抱えているんじゃない、ただ金の事で生活に困っている。

それが勤さんが殺される理由にならない。


そうしていろいろ話しているうちにお互い情報交換を終えた………が

僕は情報交換よりもあることに気になり初めてしまう。

真無と歩くこの道には昔から馴染みがある、そのせいかこの道をずっと歩き回り続けているような気がした。


「そういや真無」

「ん?」

「気のせいだろうか?同じ道をぐるぐる回り続けているような気がするんだが」

「家に帰るも何もこれ、巡回だから」

「え!?巡回?」

「そう、上司の閻魔様の命令で帰る前にこの町を徘徊してるんだ、というかお前は大丈夫か?そろそろ家に帰った方が良いんじゃねぇの?」

「家?…あっ」


真無に構っていて時刻を見るのを忘れた事に気付き直ぐにポケットからスマホを取りだし起動させ時刻を確かめる。

既に三十分も時が過ぎていた、そろそろ帰らなければ母が心配をかけてしまう。


「もう帰らないと、お前はどうするんだ」

「もう一回りして何も異常がなけりゃ帰るさ」

「そうか、悪い、仕事中邪魔してしまって」

「大丈夫だ、巡回とはいえ暇だったからな、お前こそ帰り気を付けろよ」

「ああ」


真無と別れ僕は我が家へ直行する、そのまま巡回しようとする真無を背に僕は帰宅する事にした。抱えた疑問が全てスッキリと解決したしこれでもう_


『雅斗も知らないか?』

(………あ、そうだ、中島!)


突如僕は後ろを振り向いた。

思い出したのだ、理由も無く行方を眩ませた中島の事を。


(中島が失踪した原因にもし業魔と関係しているだとすれば)


そう直感して振り向いた僕はゆっくりと前に歩く真無を叫ぶように呼び戻す。


「待ってくれ!真無!」

「ん?」


夜中に響き渡る僕の呼び掛けに気づいた真無は小走りに僕の所へ引き返していく。


「どうした雅斗?突然デカい声出して」

「心当たりのある奴を思い出したんだ、君が探している業魔と関わりがあるかも知れない奴を」

「え?マジか!?それ!?…あ」


同じように大きな声を出した真無がその直後自分が大きな声でうっかり叫んでしまった事に気付き周りに人がいないかどうか当たりをキョロキョロしている内に僕は話を続ける。


「だが真無にとって有力な情報になるかは分からない、僕の思い違いかもしれないし」

「思い違い、か………でも思い違いでも良いよ、お前の持ってる情報とやらにもしかしたらヒントがあるかもしれないし」

「そうか………分かった、君に伝えよう。実は僕の知り合いが_」

「ぎゃあああああああああああ!!!」


真無に伝えようとしたその時、突如男の叫び声が夜空に響き渡り僕らは振り向く。

この先左に曲がった所に公園があるがそこから叫び声がした。

何かあったに違いない。


「…まさかな」

「お、おい真無!?」


突然真無が公園に向かって走り出し僕も彼を追って走り出す。

走る真無を追い左側の公園の入り口に着いた瞬間ある光景を目にする。


「これは…!」


薄暗く見える遊具があるこの公園で男が横たわっていた。

男は骨の部位がはっきり見えるほど異常なまでに痩せ細り、首にはストローの口と同じ大きさの穴が開けられうっすらと血を流していた。

日香の父親と同じ手口で男は殺されていた。

そして男の亡骸の側には人間らしき「何か」がその場で立っていた。


「…あら」


この光景に目にした僕らに気付き僕らのいる方向に目を向ける。

良く見ると人間らしき「何か」は本当に人間ではなく植物が人型の生物に進化したような怪人だった。

全身緑のタイツにツタを異様に装飾されていて頭部には紫の薔薇の蕾が前向きに倒れている状態だった。


「見たの?………おじさんが苦しんで死んでいくのを………」


植物型の怪人が質問すると閉じていた蕾が咲き始める。

咲いた花の中心に真っ白な人の顔が露になり、その顔はまるでマネキン、廃墟で置き去りにされ老朽化し全身汚れきったマネキンそのものだった。


「見てない、正確に言えばそのじいさんが死んだ直後にここに来たばかりなんだ、とはいえお前だろ、小須部 勤を殺した業魔というのは」

「うふふ、そうよ~」


微笑みながら答えた業魔は自身の両腕をすぐに触手に変えた。

上へ上へと泳ぐようにくねくねと気持ち悪く動きながら何故か先端を真無に向ける。


「じゃあ死んで」


その瞬間、2本の触手が真無に向かって襲い始めた。スピードを落とさずに真無を突き刺そうとする。


「真無!」


俺は咄嗟に真無を庇おうと手を伸ばす。しかしこの様な事を予測していたのか真無は驚かず冷静さを保ち逃げようとはしなかった。それに良く見ると真無の片手に小物らしき物を握っている。


(何だ……あれは?………手裏…剣?)

「…転身てんしん


そう呟いた真無が手裏剣のような物を指で回し回転したそれで腕

を切る。

その瞬間、真無が突然光だした。


「うわっ!?」


あまりにも強すぎる光に業魔の繰り出した触手は弾かれ、僕は思わず両手を前にかざし目をつぶる。そして光の圧力が徐々に弱まっていくのを感じゆっくりと目を開ける。


「!…真無、それは?」


突如光だした真無を再び目にした時彼の容姿が変わっていた。

今まで着用した制服から武士の鎧を着用した、上が赤い袴で下が黒いジーンズといった見た目がおかしい侍姿を着こなす真無がそこに立っていた。


「…普通の人じゃ無いね、あなた、何者?」


弾かれた触手をそのまま宙に踊らせる業魔に問われた真無は少しキメ顔で答えた


「地獄の戦士だよ、あんたを倒しに来た」

「…じゃあ君は私の………敵ね」


業魔の触手が再度真無に襲いかかる、その触手を前に真無は何処からか剣を取りだし業魔の触手を斬り裂く。斬られた触手がもう使い物にならない確認した否や真無は業魔に向かって突っ走る。


「うふふふ…」

「ん?…な!?」


しかし触手を斬られた業魔はまだ余裕があるかのように微笑む、すると真無の背後に斬られたはずの二本の触手が元の状態のまま再び現れ彼を襲う、しかもその触手は修復したどころか一本の触手に二本に分裂していた。だが真無は直ぐに振り向き触手を横線をなぞるように二本まるごと真っ二つに斬るが根元を斬られた触手はそこから三本に生え変わり直ぐに修復し終える


「マジかよ…」


絶句する真無に対し触手はまた彼を襲う。真無もまた斬り伏せようと握る剣を振り回すが学習機能によるものなのか触手は真無の剣からひらりとかわしその隙を突こうとするが真無も素早く反応し触手一本の一撃を躱す。続けて手の指のように分かれた触手は一本それぞれ連撃を繰り出し、真無も攻撃する触手から一本ずつ躱していく。一秒一秒立つにつれ凄まじさをます触手との攻防の末、真無はこの状況から仕切り直すべく触手の内の一本の攻撃からタイミング良く飛び上がり華麗に宙を舞って着地する。


「すげぇなお前、さっさと攻めたいのにやりづれぇよ」

「褒めてくれてありがと~でも今日はここまでにしたいから、ね」


そう言うと業魔はまた触手を使って真無を_


「えっ?」


ではなく僕を襲った、一般人の僕に襲いかかろうとする。


「雅斗!!」


僕を助けるべく真無は僕の方へ駆け、触手を目の前に僕は咄嗟に身を守ろうとする、しかし先を取った真無が触手を斬り払った為難を逃れた。


「大丈夫か!?雅斗!?」

「あ、ああ大丈夫だ、まさか僕を狙っていたとは」


安堵する僕を見て真無は胸を撫で下ろす、そしてすぐに険しい顔をした真無は僕を殺そうとした業魔に向かって怒鳴り散らす


「おい!植物野郎!何一般人を狙っ_」


しかし既に業魔の姿は無かった。

今までそこにいた業魔は何の音沙汰も無く姿を消していた。


「逃げたか、あークッソ、せっかく土良さんの手土産になると思ったのに」


真無が悔しそうにガッカリすると真無の容姿が一瞬変わって元の制服姿に戻る。


「なあ今のが地獄の戦士の力…なのか?」

「ん?ああ、見ての通りだ。今のように業魔と戦って倒しているんだ。それよりあれ、どうする?」

「あれ?」


真無はある方向に向かって指を指す。

真無が指したのはこの夜中にぽつりと横たわる男の死体だ。


「あっそうだった、警察に連絡しないと。あ、でもこの場合本当に警察で良いのだろうか?」

「何で?」

「何でって怪人が起こした事件だから警察より君の組織?の方に連絡した方が良いのかなって」

「別に警察でも良いよ。俺の上司、業魔と一緒に倒すって既に警察と手を組んでいるから」

「分かった、じゃあ警察を呼んでくる」


警察を呼ぶ為、僕はせっせとスマホを取りだす。

ついでに母さんには「帰りが遅くなる」と連絡を_


「…雅斗?」


110番で電話に掛けようとした時、男の遺体に目に止まる

あの後ろ姿に初めて見た気がしない、それどころか何処かで見覚えが………


「まさか!」

「雅斗!?」


偶然なのか?本当にあの人なのか?

確かめるべく男の遺体へ駆けつける。


そしてしゃがみ、男の素顔を自分の方へ向けさせる。


「………やっぱり………間違いない…!」

「どうしたんだよ雅斗?いきなり走り出して」


真無も男の遺体の方へ駆けつける、そして僕は困惑する彼の顔を見ずに男の素顔をじっと見つめながら男の正体を告げる。


「………………思い出したんだ、この人を、でも、どうしてこんな所で?」

「知り合い…なのか?そのおっさん」

「ああ、でも一度しか会っていない、たった一度だが親しい関係でもあったんだ、


この人は僕の町で有名な極道組織、『中島会』の会長 中島なかじま 泰平たいへいさんだ」

どうも、シア・ヨネクです。

今回は投稿が遅れてしまい読者の皆様に心配をかけてしまい申し訳ございません。

実は自分が勤めている会社の仕事が多忙となり、小説を執筆する時間が無くなり、一ヶ月長く投稿を長引いてしまいました。

しかしそろそろ元の生活環境に戻りつつある為、次の日からはいつものペースで執筆出来そうです。

これからも『地獄戦隊ヘルファイブ』を読んで頂けると嬉しいです。


それでは次回もお会いしましょう!

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