1ー4 業魔だって辛いよ
こんにちは、シア・ヨネクです
1ー1において「投稿は不定期に行う」と言いましたが
先程自身の判断によりこれからは1ヶ月か2ヶ月に一度投稿する
事になりました
更新頻度変換後もよろしくお願いします
俺を包み込んだ光、徐々にその輝きが弱まり、そして消えた。
周りに広がっていたのは銀行と思わしきその内側。
そこで人々は何かに怯えていた。
これから何が起きるのか、今も恐怖に打ちのめされ怯える人々の視線の先に
「な、なんだお前!?」
奴はいた。
そいつの言葉が響いた方に俺は振り向く。
振り向いた先に丸々太った二足立ちのピンク一色の豚が俺にナイフを向ける。
(こいつか、銀行を襲った業魔というのは)
急に背後から強烈に輝く光現れる。その光の中から藜が出てきた。
「藜!」
「あれが今回の業魔ね、けどあれ……………E?」
「E?」
「ランクよ、個体によって能力の強弱が違うからランク付けをするの、けどやっぱりEよね」
「Eだとめちゃくちゃ弱いのか」
「そう、特にこの個体は外面はともかく能力的に良い所が全く無い、いやすごく残念な程弱小な個体ね」
確かに。
あの業魔には先ほど映像で見た個体とはまるで違う。
あの個体より弱い、覇気すら無い、存在自体全く強いとは思えない。
特に変身者は戦士になったばかりの俺に対し体を小刻みに震え、頭皮から無数の汗をかき、吐息が荒く、落ち着きが無い。
今あいつは無駄に緊張している。
「い、一体誰だが知らねぇが、業魔になった俺にかなうわけがねぇ。今の俺は強いんだ」
「無駄に強がりだな、まあお前の言うとおりこのまんまじゃあいつに勝てねえな。藜、どうすれば良い?」
「これを使いなさい、戦士に変身できる魔具よ、これ1つで業魔と戦えるようになるわ」
「変身アイテムか、ありが…え?」
藜に渡された魔具に俺は唖然する。
基本変身アイテムと言ったらベルトか携帯電話と言った小道具だ。
だが、「魔具」という物はハンドスピナーそのもの。
しかもただのハンドスピナーじゃない。
鉄で構成していて、外輪には手裏剣のように刃先が鋭く、これを変身アイテムと言えるには非常に危なっかしい道具である。
「…どう使えと?」
「思いっきり回して腕を切るのよ、それで変身出来る」
「ちょっと待て!?自傷行為をしろとでも言うのか!?」
「魔具には大いなる闇を引き出す、自傷によってその力を活性化させ初めてその能力を使いこなせる」
とんでもない変身方法だが藜は真剣だった、真剣に説明した藜だからこそ腕を切るという大胆な事ではあるが納得せざるを得なかった。だが変身するのに痛々しい思いをしなくちゃなんねぇのかよマジで。
「そこのガキ!!話の流れ的に俺に挑むんじゃねぇのか!?挑まねぇなら」
「きゃあ!?」
藜の説明で夢中になった俺が目を離した隙に豚の業魔はナイフ片手に若い女性を人質にとる、そのナイフの刃先を女性の首に向けながら。
「あっ!?」
「なっ!?」
「さぁガキ!この女を助けたきゃさっさと変身とやらをしろ!!まあ人間を越えた俺に勝てるかはわからねぇがな」
「変身すりゃあ良いんだな、藜、腕を切れば良いんだっけ?」
「そうよ、真無君。あとあの業魔何か隠してるかも知れない、気をつけて!」
あの男の言葉通り業魔になった人間が人間そのものを超越していているのかは別として、人質の為、今は変身すべき。
(これで人質を解放してくれるなら)
女性の安全を願い、魔具を人差し指で回す。キラキラ輝かせながら回り続けるそれで思いっきり腕を切りつける。
(………痛く…無い!?)
この魔具による性質か、あるいは成子の手で俺の肉体を改造したその影響か、腕を切ったのに痛みを感じなかった。
その瞬間、魔具が急に光だし、この空間全体を強く照らす。
そして、気がつけば俺は武士の鎧を着用した、上が赤い袴で下が黒いジーンズの格好をしていた。
『真無君、聞こえますか?僕です。紺です』
「なっ!?紺!?」
急に紺の声がした為、当たりを見渡すがどこを見ても紺の姿は無かった。
『今真無君の身に付けている戦衣には閻魔室の指令系統装置でこうやって通信出来る機能があるんです』
「つまりヘッドマイクが服そのものになったっていう感じか」
『ヘッドマイクというか…まああながち間違いじゃ無いですね』
「そうか。で、変身したんだが俺はどうすれば良い?」
『自分の思うように戦って下さい。例えばボクシングの選手のように接近戦でパンチを連発したりカンフーの達人のようにアクロバティックに舞ったり等自分なりにどう闘うか、それを行動で表すんです』
「なにごちゃごちゃ話してんだ!!」
紺との通話中に業魔が怒鳴る。彼からして急に独り言し始めるように見えた俺に不愉快極まってたようだ。
「悪いちょっとな。それより変身したからその人を解放しろ」
「偉そうに言いやがって。まあいい手放してやるよ、だから…死ねぇ!!」
「きゃあ!」
女性を軽く投げ飛ばし両手で握りしめたナイフを俺に向けて突っ走る業魔。
荒々しいがちゃんと解放してくれた。
(自分の思うように闘う…か)
そんな業魔に対し俺は考える、「どう闘うか」を。
目を閉じ自分はどう闘うか、そのイメージを思い浮かべる。
(…もし俺がボクサーだったら)
そうして浮かんだのはリングに立つ俺と業魔。
俺を応援する観客達の声援がリング全体に響かせムードを盛り上げる中自分を必死に応援してくれる者達の為に俺は勝たなければならない。
ならばどうするか。
(俺なら、こうする!)
自分の戦い方を見つけ閉じた目を開き、突進する業魔だけに集中する。
業魔の持つナイフと俺の間合いが詰まったその瞬間に
俺はしゃがむ!
しゃがんだ瞬間ナイフは俺の頭上に、そうなればあいつは今無防備になる
(そこが狙い目!)
もし俺がボクサーなら
相手のブローをしゃがむ事でかわし
そこから起き上がってからアッパーカットで腹を打つ!!
「ぐほぁ!!」
俺の拳は見事命中し巨体の業魔は宙にぶっ飛ぶ。
しかし、そのまま落ちるかと思いきや直ぐに体勢を整え無事着地した。
「痛ッ…てぇ……!」
だがその直後に業魔は片膝をつく。
この時あいつは顔をしかめ、片手で腹を抱える。
今のパンチが凄く効いてたようだ。
『お見事です!真無君!良いパンチでした!』
「…自分の思う通りに戦うってこういう事か、なるほどな」
『それとあの業魔なんですが、調べたべ結果能力的に弱く体力もあとちょっとしかないのであの技をもう一発やれば倒せます』
「そんなに弱いのかあいつ」
初戦の相手の実力がそれほどとは…
期待外れ過ぎてがっかりしたその時、業魔は今にでも苦しそう顔で俺を睨み始める
「クソォ…この日の為に業魔になったって…のに…このままあのガキやられたら……洒落になんねぇよ!!」
業魔は直ぐに立ち上がり、側にいた受付の女性を持ち上げて捕らえ、女性の顔にナイフを向ける
「おい!お前卑怯だぞ!」
「そうよ離しなさい!より罪が重なるわよ!」
「ならなおさらだ!このまま負けるよりはマシだァ!!」
藜の説得に耳を傾けず業魔は怯えている女性に向けて躊躇無くナイフを突き刺そうとする___
「孝?」
緊迫感のあるこの空間に誰かの声が小さく響いた。
振り向けば銀行の入口付近に腰の丸まった老婆が立っていた。
「危ない!」
「あんた、本当に孝なの?」
藜は咄嗟に老婆を庇うがそれでも老人は身動きせず、そのまま業魔を見つめる。
「…母……ちゃん?」
しかもナイフで女性を突き刺そうとした業魔も老人の言葉でその行動をぴたりと止めそこで立ちつくしている老婆を見つめる。
というか今「母ちゃん」って言ってなかったか?
てことはあの老婆と業魔はもしかして
『真無君!今です!』
結論に達する前にハッと我に返る。
そして気がついた、奴は今隙だらけだということを。
(やるなら今しかないか!)
このチャンスは二度と来ない
そう思って即行に業魔の所に駆けつけ、勢いそのままに拘束されていた女性を素早く救出する。
「しまった!!」
知らずに人質が救出されたことに今気づいた業魔。
その女性を人混みの中に避難させて直ぐに業魔に向けて突っ走る。
そしてもう一発パンチを繰り出す、前の一発より強力なパンチを。
「これで終わりだ!」
業魔の腹に残ってあった傷跡に向かってアッパーカットを打つ。
その瞬間俺の拳に赤い稲妻が走る。
そして奴を持ち上げて衝撃波を放つ
「グアアアアアアアッ!!!」
強すぎるダメージに耐えきれず断末魔を上げ爆散する業魔。
その中から巨漢の男が姿を現しそのまま落下、地面に叩きつけられその衝撃で「うぐっ!」っと業魔になってる時と変わらない重い地声で声を上げ、仰向けで倒れる。そして男はゆっくりと起き上がり両膝を地につける
(こいつが業魔の中身だな)
そう確認した時頬の皮が分厚い丸顔を男、いや孝は思いがけない行動に出る。
地面に叩きつけられた衝撃でさえ握り続けたそのナイフに両手で握り直し刃先を自身の首に向ける。
男は今ここで自殺をするつもりだ。
「どうせ…………俺の人生なんて…………………」
この時孝は疲弊と絶望に満ちた顔をしていた。
即ちあの男の人生は惨めな物であり、業魔に変身し銀行強盗を犯したのも自分の人生を変える為にやったに違いない、例え人を殺してでも。
だがそれすら失敗に終わった事で男が掴み取ろうとした望みは今断たれた。
この状況の結末見据えたのか周りの人々その大半は両目を強く閉じ視線を逸らす、その中の子連れの母親は我が子に見せていけないと思ったのか両手で小さな子どもの目を塞ぐ
そして男はゆっくり目を閉じ自身の首にナイフを突き刺す。
それを俺は弾き飛ばす。
弾き飛ばされたナイフはカタカタと落ち、孝は驚いて「え」とカの鳴くような声を漏らし、見上げて俺を見る
そしてざわめき始める周囲の人々。
今の俺の行動には意味がある。
「お前の母親《母ちゃん》、悲しんでるぞ。」
俺の背後に老婆は泣いていた。
隣で藜に心配されながら正座座りで泣いていた。
それを俺は一瞬で見た。
だから阻止した。
「悲しむ母親の目の前でこんな結末を迎えてはならない」と一瞬思った俺の意思で止めた。
その結末を向かえば母親は絶望の淵に落とされ自分を責め続けてしまう。
そう思ったから。
「ごめんね…孝の事を分かってくれなくて……お父さんが亡くなったあの日からあなたを養う為に私はパートを転々としながら働き続ける毎日……でもその事で精一杯で全くあんたを構ってられなくて……あなたの心の痛みを気づいてあげられなかった……」
つまり男は幼い頃から働き詰めの母に相談出来ず、持てる全ての悩み、不安を1人で抱えこんだ。
あまりにも重すぎたそれを無理して背負い続け、果ては神経すら磨り減らした挙げ句、うまくいかない人生に疲れ自暴自棄となり今に至った。
そう推測した俺を見るように見上げた孝は表情変える事無く魂が抜かれたようにがくりと顔を俯く。
老婆のすすり泣きがだけが銀行全体を少し響かせていた。
「今回も被害者0で済んだな」
老婆のいる入り口とは別の、左側にあるもう1つの入り口から頭頂部の毛が薄く白髪が交じり黒いスーツを着こなす50代半ばの男が海外の戦争映画に出てくる特殊部隊を引き連れていた。
その特殊部隊の武装は渡来のとは真逆に全面白く、背中に「ECLESIA」と文字が打たれ、彼らの持つ銃は戦車の頭部に近い真四角な形をしていた。
状況確認の為銃先をあちこち向けながら移動する部隊を引き連れるスーツの男の元に藜が駆け寄る。
「吉光さん、お疲れ様です」
「おう、いっつもお疲れさん。ああ、この子か」
笑顔で挨拶を返す「土良」という男が俺の存在に気付き、部下達に銃を下ろすよう指示し自分の元にやって来て俺の体をあちこち見始める
「へぇ~ほぉ~」
目元に小ジワを持つ彼は俺に感心があるのかジロジロ見た後今度はじっくりと俺の顔を見ると優しい笑顔を浮かべる
「成子さんから聞いている、戦士になったんだってな」
「あ、はい」
「対業魔対策特殊部隊隊長 土良 吉光だ。戦う者同士お互いに助け合っていこうな、少年」
そう自己紹介し直ぐに俺と握手を交わした「土良 吉光」
交わした後、彼は前まで業魔だった孝の元へ行く。
そこに彼の部下達が待機をしていた
「署で吐かせてもらうぞ、今に至るまでのおめぇの経緯、その全てを、な」
吉光が優しくも冷たい言葉を放った時、反応するかのように孝はゆっくりと立ち上がるが顔は俯いたまま何も言うこと無く両手を差し出す。
そして隊員の1人が彼の両手に手錠をかける。
そのまま孝は抗う事無く入り口に向かう吉光とその部下達に連れられるように連行される。
「孝!孝!」
泣きながら孝の元へ必死に駆ける老婆。
だが2人の隊員が冷静に受け止める。
行かせたくない気持ちは分かるが、彼は罪人、犯した以上の罰を受けなければならない。
あまりにも辛く悲しい光景に俺と藜、周囲の人々はただ見る事しか出来なかった。
あの事件を解決した後、俺達は第二世界及び閻魔堂に戻り閻魔室で今回の事件の報告した。その後藜と紺は「別の仕事がある」と閻魔室を後にした。
なので今閻魔室にいるのは俺と出窓に写る夕陽を眺める成子だけだ。
「初陣はどうだった?」
「マジで話になんねぇ程弱かったよ、相手」
「経験にならない程?」
「…まあ…な」
奴はあまりにも弱すぎた。
特殊能力が無いどころか、戦闘力すら無く出来る事と言ったら相手を脅すだけ。
今思えばあの業魔は端から隙だらけだったと思う。
「経済的に困窮し幸福を満足に味わえない者やなりたいものになれずに現実から逃げたい者等、第一世界には人それぞれの何かに絶望し闇に堕ちる人間がたくさんいる。そんな彼らにとって業魔の力はまさに希望。でも本当は心の中にある葛藤や憂いといった負の感情を解放し欲望を暴走させ人間を邪道に導いてしまう。
あの男のように苦しみから逃げようとあの力に手を染めた人間を私達は今まで戦って来た」
「私達って成子も業魔と戦った事があるのか?というか俺が選ばれるまではどうしてたんだ?」
「私と紺、藜、そして巡で戦ってた。特に巡は一番最初に選ばれた地獄の戦士よ」
「一番最初?それなら俺は2番目?」
「そうなるわね、今巡はある任務の遂行の為、閻魔堂にはいないけど、いつか近いうちに紹介しなきゃね」
巡…
俺の先輩にあたる史上最初の戦士、か。
一体どんな人物なんだろうか?
せめて仲良く出来そうな人だと良いんだか。
「出来ればあと3人の戦士を迎え入れたい。今後の為にもね」
「その3人をスカウト出来たら俺達戦士は5人。まるで戦隊物じゃん」
「そういやそうだね。あ、むしろ場合によっては強い業魔も出てくるからその形式で戦わなきゃいけないと思うから……あながち間違いじゃないかも」
「おい、大丈夫かそれ、めちゃくちゃ不安なんだけど」
「大丈夫、だと、思う、筈、うん」
本当に大丈夫なのか、成子の片言な答えにますます不安になる。
俺としては本当に大丈夫であるならそれで良いんだか。
「ねぇ真無君」
「ん?」
「記憶を取り戻したい気持ちはある?」
「あるさ、出来ればこのモヤモヤからどうにかしたい、自分は一体何者なのか、そのまま分からずじまいになるのは嫌だ」
「その理由で戦士になりたいって言ったよね」
「そうだが…どうして?」
「いや真無君がちゃんと戦士になってくれるのは嬉しいけど、ただそれで良いのかなって。というかもし記憶を取り戻せたらどうするの?そのまま戦士として戦うかそれとも辞めるの?」
「その時によるかな、将来の事なんざ俺にだって分かねぇし。ただちゃんと戦う覚悟はある、それははっきり言える。それに…」
「それに?」
「イタリアの業魔の悪行を見た時、何か思い出せそうな気がしたんだ」
「………え?…あの映像で!?なんで!?」
「分からん、もしかしたら俺の勘違いかもしれない」
だが、確かにそんな気がした。
今思い返せば映像に写る業魔の姿を見た時見覚えのあるような気がした。
しかし、本当に見覚えがあるのかは分からない。見間違いかもしれない。
でも、もしそれが失った記憶のヒントだとしたら道は開けるかもしれない。
だから俺は戦士として業魔と戦う事を決めた。
このまま迷い続けず、戦う事で前に進み続け、本当の自分を取り戻す為に。
「成子」
「ん?」
「俺は戦う、たとえ記憶が戻っても。罪の無い人々を守る為、俺は最後まで戦い続ける、だからよろしくな司令官」
「…その心意気、嫌いじゃないよ、よろしく私の戦士さん。」
先程心配していた成子は出会った時と同じ笑顔になり微笑んだ。
夕陽に照らされた彼女の笑顔を見て俺は俺の戦う意思を再確認した。
どんな時でも戦う事を止めないと。
「本当に現れるとはな」
帰るべき我が家の玄関の前に俺は呟く。
呟いて今日の事を振り返り、そして思うのだ。
『戦士』という名の存在を。
事の始まりは赤田 孝の業魔の観察及び奴の戦闘能力の情報収集の任務の遂行中の事だった。
奴の戦闘能力そのステータスを見極めそこから得た情報を業魔のデータベースに登録すべく気配を消しながら奴の行動を見ていた。そんな中でそれは現れたのだ。
地獄の戦士が。
事も有ろうに3日前に彼女は戦士の到来を予言していた。
只、予言というよりも実際は推測で彼女自身も「予言じゃない」と否定していたがその言葉通り戦士が今日その姿を現したのだ。
となればフリー・ジャスティスを仇なす者としてこの先俺達の障害となるだろう。
だが、たとえ地獄の戦士だろうと誰で有ろうとも、俺達の願望を邪魔する奴は容赦無く潰す。
俺達には世界そのものと渡り合える力があるのだから。
そんな事を考えながら玄関を開ける、開けた先には暗闇と同化した廊下におぼろげな光があった。その光に向けて俺は暗い廊下を歩く。歩く内にその光で浮かび上がる部屋の入り口にたどり着く。
「お帰りなさい、カズ」
薄明かりの光が照らす部屋で彼女は漆黒の玉座を優雅に座りながら俺の帰りを待っていた。
彼女、閻魔 廻音は少女でありながらいつか世界を真の平和に導く王と成る者。曰く廻音はこの世界の人間達よりも「平和」を望む完全なる平和主義者。
そんな彼女と出会った時から俺達は誓ったのだ。
どんな手を使ってでも全てが不平等なこの世界を変える。
そう望む彼女を最後まで付いて行くと。