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プロローグ
「…ついに時が来たようだ。カイル。」
「大魔導士様…。」
賢者カイルに緊張が走る。
「今宵3名の魔導士が転生した。覚醒するにはもうしばらく必要だがそれもそう遠くはないだろう。それまで我々で持ちこたえなければならない。間に合うといいのだが…。」
大魔導士ウィザードマスターは憂いに満ちた眼でカイルを見つめた。
「時空の歪みが出てきています。少しずつ魔が流れ出して今はかろうじて食い止めていますが、じきに溢れ出すでしょう。彼らの覚醒までどうにか持てばいいのですが。」
エメラルドグリーンの瞳を曇らせながらカイルが答える。
「そうだな」
地球を見下ろし大魔導師が続ける。
「彼らが転生したということは今回は大規模な歪みになるだろう。力及ばなければ地球も我々も全て無に還ることになる。行く末は彼らに委ねるしかない。」
しばらく考え込んでからカイルに視線を戻す。
「覚醒するまではあの者達は赤ん坊と同じだ。魔が嗅ぎつけるかもしれない。無事ここに来れるまで守ってほしい。」
「お任せ下さい。」
狂い始めた時がゆっくりと動き出した。