(赤と緑のクロス)
そんな赤川洋子が、高2になって
少しした昼休み、そう、6月の下旬
「ちょっとだけ、気がかりな男子が
一人いるんだけど」と
草葉空子が、相談されたときには
なんてことと、天地がひっくり返るんじゃ
ないのと、その時は
とてつもなく ビックリして、思わず
洋子に
「今、熱があるんじゃないの?」と
聞き返してしまった。
洋子は、そう言われると
「別に好きとか
そんなんじゃないんだからー。
誤解されると、こまるー。」と
必死になって、否定して
「誤解するなら
もう いいよ空子ちゃん。」と
赤川洋子が、言ったので
草葉空子は、現実に引き戻されると
「ごめーん。
ちゃんと相談にのるから
言ってみて。
誰にも、言わないから。」と
やさしく答えるのが、精一杯だった。
そして空子は、完全に落ちついてから
洋子に聞いた。
「いったい、その男子って誰なの?」
赤川洋子は、そう聞かれた時
パッと笑顔になって
「その男子は今、同じクラスの
黒田洋くんと言う、男の子なの。」
その時、空子はちょっと難しい顔を
してしまっていた。
「えっ 空子ちゃん、そんな顔して
やっぱり何か変なこと言ったかな?」
空子は、そう洋子に言われたときに
なんてことと、心の中で
思わずには、いられなかった。
黒田洋とは、小学、中学、高校が
一緒のある意味で、幼なじみだった。
だから、黒田洋のことは
あまりにも、知りすぎていたからだった。
でも、おかしいな彼は
確かふたりか三人しか、知らない
初恋のことが、あるのに。
6年間、好きだった
初恋の女子に、こっぴどく
小学6年の時に、振られたのに。
そして女性恐怖症に、近い感情を
持ち続けて、女子は、苦手ですっという
オーラを、出して
今まで、来たはずんだけど?
と、言うか
あそこまでひどい振られかたは
見たことがないくらい
ひどかったからな。
それが、今でも尾をひいているはずで
女性に、対しては、トラウマが
あると、思っていたんだけどな、と
不思議に思って、まずは
こう、洋子に聞いてみた。
「彼のどこが気がかりになるの?
ちゃんと言ったら
ちゃんと答えてあげるから。
本心を、言ってみて。」
「私、なぜだかわからないけど
人の心の奥まで、見透かしてしまう時が
あるの。
それは、空子ちゃんも
知っていると、思うけど
だから、今まで
男子の心の奥まで
見透かして、つい言ってしまうと
何、こいつって
思われてたの。」と
洋子は、言いはじめた。
「だから、そんな男子なんて嫌い
うわべの優しさしか
持たない男子なんて、本当に
大嫌いって、思ってた。
今でもそれは、持ち続けてるの。
だけども彼は、黒田くんは
違うの。
あんなに孤独そうで、悲しそうな目を
見たのは初めて。
私、あの瞳を見るたびに
彼は、絶対 優しくて、いい人なんだって
思ってしまうの。
そう思ったら、なぜか、ほおっておけない
気持ちで、いっぱいになるの。
私、どうしたらいい空子ちゃん。
彼のことが、気がかりなの。
あんな男子は、初めて見たの。」と
ここまで一気に空子に、打ち明けた。
それを聞いて、空子は
「そっか。
そうなんだ。
黒田洋のことは、そう彼のことは
今日の放課後に、私の知っていること
話してあげるから、待ってて。」と
そこまでで、この話しは
打ち切りにした。
有無を言わせぬ、態度だったことは
いうまでもなかった。