第十七話~決意~
「おい」
ジンが龍に話しかける。
「なに」
龍が抑揚のない声で返事をした。目からは生気が抜けている。
咲が死んでからというもの、龍はずっとこの調子なのだ。暇さえあれば、地球を見ている。
ジンはため息を吐いた。少しいらいらした様子で口を開く。
「………これは戦争なんだぞ。いちいち感傷に浸っている暇はない」
「………」
龍はなにも言わない。ただ黙って、地球を見ている。
ジンは舌打ちをした。
するとようやく、龍が口を開く。
「………ジンはさ、今までたくさんの人が死ぬのを見てきたんだよね」
「………ああ」
ジンは怪訝そうな表情で答える。確かに、自分はたくさんの人間や異能者が死ぬのを見てきた。だが、それがなんだというのだろう。
龍は地球を見たまま続ける。
「その人たちを見て、なんとも思わなかった?」
「………」
ジンは黙りこむ。少しだけ、困ったような顔をしていた。
「俺は………」
なんとも思わなかったわけではない。
ジンは言葉につまった。
「僕はね………」
龍がジンの方に顔を向ける。その目は、ジンを見ているようで見ていない。
「決めたんだ。僕は、この戦争を終わらせる」
「なに………?」
ジンが目を見開く。
そんなことができるものか。無理だ。
しかし、龍は生気の抜けた目で地球を見る。
「僕の父さん、人間サイドのリーダーを倒して、この戦争を終わらせる。神城さんの仇も、咲さんの仇も、僕がとる。だからジン………」
そこでようやく、龍の目がジンを見た。
「………手伝っくれないかな、僕を」
「………」
ジンはなにも言えない。やめさせた方がいいのはわかっている。しかし、今の龍は本気だ。止めたところで、素直に聞くだろうか。
「………たぶん」
ジンは言葉を選ぶ。
「あいつは強いぞ。お前は、生きて帰れないかもしれない」
「わかってる」
龍は頷いた。
「大丈夫。絶対勝つから」
「………?」
ジンは、龍の自信の根拠がわからなかった。




