第十二話~親友~
最後の新キャラです。
・神崎龍一郎→かんざきりゅういちろう
地球にて。
「それにしても………っ」
アスカが銃を撃ちながら誰にともなく話しかける。
「なんで市村サンは、雪子にまで行けって言ったんだろうね?」
雪子は走りながら答える。
「さあっ、わからないわ………っ」
雪子は五人の中で最も能力が劣っている。それは彼女の能力が、相手の名前がわからなければ使えないからだ。相手の名前を把握し、意のままに操る、それが、雪子の能力である。
「咲さんっ、後ろ!!」
龍が叫ぶ。
咲は素早く振り返ると、背後にいた敵を両手の炎で焼き払う。
「誰かのときとは大違いだな」
ジンが咲の戦いぶりを見てぼそりと呟く。龍が軽く睨んできたが、知らん顔で戦い続けた。
別に龍も悔しくないわけではない。しかし、咲の戦いぶりには、素直に感心した。
「全員、宇宙船に乗り込め。戻るぞ!」
ジンの声が響く。
龍たちは次々に宇宙船に乗り込んだ。
宇宙船が地球を出発する。
全員が宇宙船に乗っている、はずだった。
「あれ、雪子は?」
最初に気づいたのは、アスカだった。
全員が、宇宙船の中を見てまわる。そして戦慄した。
「なんで………?」
アスカが愕然とする。
アスカと雪子は、親友同士なのだ。
アスカは叫ぶ。
「今すぐ戻ろう!雪子の能力じゃ、絶対に勝てない!!」
そんなアスカをジンがなだめる。
「無理だ。一度月に帰らないと、宇宙船の燃料がもたない。今地球に戻れば、今度は全員が帰れなくなるぞ」
「で、でも………っ」
アスカは唇を噛んで押し黙る。握りしめた拳は、小刻みに震えていた。
龍はアスカを見る。咲の方を見ると、彼女は心配そうに窓の外の地球を見つめている。
地球は少しずつ小さくなっていく。
龍、ジン、アスカ、咲を乗せた宇宙船は、進路を変えることなく、月ヘと帰還していった。
月に帰ると早速、雪子救出のための作戦会議が行われた。
「いいか。まずは、あの操り人形どもをどうにかしないと話しにならない」
ジンが島の地図を広げながら言う。
アスカはずっとそわそわしていた。
龍が首を捻る。
「神城さんは、島のどの辺りにいるのかな?」
「もしかしたら、島のいろいろなところを移動しているのかもしれませんね」
咲が地図に書いてある、ばつ印を指さして尋ねる。
「これはなんの印ですか?」
ジンの隣に立っていたほまれが答える。
「それは、島の唯一の建物、敵のアジトだな」
「ここにいる可能性は?」
龍がばつ印を指でとんとんと叩きながら言った。
「なくはないが………」
ジンが腕を組んだ、そのとき。
『初めまして、異能者の諸君』
「!?」
全員の視線が、部屋に備え付けられたモニターへと注がれる。
モニターの画面が荒れ、ある人物を映し出す。
「市村さん!」
一人の男が部屋に入ってきた。そして、ほまれに報告する。
「我々の回線が、地球の回線にジャックされました!!」
「どういうことだ!?」
ほまれは叫んで、男と一緒に部屋を出ていく。
モニターに映る人物を見て、龍は目を見張った。
アスカが叫ぶ。
「雪子!」
モニターの中の雪子は、二人の男に両側から押さえ込まれていた。
龍の声が震える。
「まさか、そんな………っ」
龍の目に、そこにいるはずのない人物の姿がうつる。
「父さん!?」
そこにいる全員が息を飲む。
モニターには雪子と、龍の父親である神崎龍一郎が映っていた。
やっと、全ての登場人物が揃いました。
次回、雪子がピンチで、アスカが叫びます。




