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はじめての恋愛日記

※作中の文章はあくまで登場人物の思考、考えであり、作者自身に偏見等の意図があっての内容ではありません。

※例によって夜勤明けに書いた為、生暖かい目で読んで頂ければ幸いです。

※伏字等を使ってはいますが、作中には現存する作品の題名、名セリフをネタとして引用している場合があります。問題があると読者様が判断し、ご指摘頂ければ編集、最悪削除する場合がございます。

 四月×日


 初恋をしました。


 ん~、日記の書き始めとしては微妙かな? もうちょっと劇的な書き出しの方がいいかもしれない。うーむ、なにかいい言葉はないか………。あ、そうだ、こんなのどうだろう?


 その時、山田公彦に電流走るっ!


 ……おいおい、これから甘酸っぱい初恋の日記を書こうかって時に電流が走ってどうすんだよ。


 ん? あながち間違っちゃいないのか? 彼女を見た時確かにこう、なんかビビっとオレの脳内センサーがスパーク! とか叫びだした気がするし。


 え? マジでどうしよう。

 文章なんてろくに書いた事ないのに日記でも書こうかとか思いだしたのが間違いだったのか? つってももう日記帳買っちまったしなぁ。


 ……あぁ、そういえばこの日記帳買った時の俺のテンションもおかしかったな。なんか夢見る乙女……自分で書いてて恥ずかしいけど、みたいな顔でなにをトチ狂ったのかドピンク色のふわふわ~っとした感じのファンシーショップに一人で特攻かましたもんなぁ。


 ……今思うと相当頭がヤられてたな、俺。


 しかもるんるん気分で「いやっほぃ~♪」とか言いながらあっちこっち物色してたしなぁ。思い返してみると周りの女の子達小声で「えっ!?」とか「うわぁ~」とか「ヤバクない?」とか言ってた様な気もするし、なによりこの日記帳をレジに持っていった時の店員さんがしたあの顔のひきつりよう。


 …………。


 駄目だ。詳しく思い出そうとすると脳のセーフティセンサーに引っかかって全然思い出せない。


 なにやら警察に事情を聞かれたところは覚えてるんだけど、どうやって家に帰ってきたのかも曖昧だ。やけにお袋が俺の心配をしてたり親父の仏壇の前でなにやら拝んでたのはチラっと見かけたんだけど……。

 え? まさか泣いてた? 親泣いてたのあれ? 

 ちょっと勘弁してくれよ、まだ十七だよ俺? たった十七年で親が泣くような子供に成長しちまったのか? あ、まだ誕生日来てなかったから十六だった。


 ―――深く考えないようにしよう。


 考えたら負けだ、うん。もっとポジティブにものを考えないとな。エライヒゲのおっさんも言ってなかったっけ、「過去を振り返るのではない、未来を見据えるのだ」って。


 そうだな、くよくよしてても仕方がない。とりあえず初恋のことを書こう。それがいい。

 ……けどよ、ヒゲのおっさん。その見据えた先がドブ色の未来だったら俺はどうすりゃいいのよ。

 いや、マジで。


 彼女の名前は朝霧和子。…、漢字だとアレだな。いいや、どうせ日記だし、誰にも見られなければオールオッケー。


 彼女はワコちゃん、俺の愛しの君だ。

 同じ高校で、二年目にして初めてクラスメイトになったかわいいあの子、ワコちゃんに一目惚れをしてしまった。

 茶髪で垢抜けた容姿で、それでいて気取らず気さくな彼女は、二年が始まった初日からもう既にクラスの中心にいた。周りにいた男も女もなんだかんだでやっぱり彼女に惹かれて集まったんだろうな。

 いいよな、人徳ってやつか? それがあるやつは。


 いや、決して彼女の事を……えーと、なんつーんだ? 影から妬ましいって思うこと。

 あ、妬ましいでいいのか。そう、そう思ってるわけじゃない。


 ただな~、あんまりに俺の立ち位置っつーかポジションからじゃ高嶺の花ってやつなんだよなー。

 なんせ俺ってば、ただの童顔チビ助のヘタレだからな~。コミュ力0、社交性0、口を開けばどもってばかり。

 おかげで生まれてこの方まともに会話した事があるのは親くらい。あとはず~っと一人だったもんな。なんか喋ってみんなの輪に入ろうとしてもこっちが喋ってるのあんまり聞こえないのか変な愛想笑いでぜーんぶ流されるもんな。


 なんでだろ? テンションがおかしいんだろうかやっぱり? 楽しそうに話してる他のリア充達見てるとすっげーテンション高いもんな。というかあいつらみんなテンションで会話してるだろ絶対。


 それはそうとワコちゃんだ。そう、そう考えると、小学校から合わせて……ん、何年だ。まぁ大体十年くらいで初めて俺に話しかけてきてくれた女の子。


 そりゃ惚れるでしょ? 

 しかもボディがけしからん! たまらないっ!


 んー、でもなぁ。こういうのって小説とかドラマとかじゃ大抵カンチガイの恋とかゆうやつらしいんだよなー。


 一人ぼっちのクラスメイトに、優しい彼女が声をかけてくれただけの事。


 ……あれ? 初恋としてなら上等だろ、この理由。

 よかった、俺の初恋はカンチガイなんかじゃなかった! やっほぃ!


 まぁ初恋は実らないって言うけどな。


 ……だめだ、書いててちょっと悲しくなってきた。もうちょっと前向きに生きようぜ、俺。


 にしてもこんだけ書いたのにまだ見開き分くらいしか書いてないのかよー。

 そりゃぁ、彼女と恋人とかになれたらさ、きゃっきゃ、うふふで楽しい思い出いっぱいの、けど俺以外の誰にも見られない……っつーか見られたら死ぬな。そんなことでいっぱいの日記になるんだろーけどさー。


 もし振られたり、片思い中に彼女に彼氏が出来ちゃったりしてみろよ?

 なぁ俺、そこんとこ考えてみ?


 なんかもう、燃やしたくなるよね、うん。

 もう死ねばいいよって感じになるな、間違いなく。

 むしろ俺を殺したくなるよね。


 ん、まぁいい。今夜はこのくらいにして、また書くとするか。

 それでは、今日はこの辺にしておく、ではまたな明日の俺。グッナイ、今日の俺。






四月×日


 死のう。

 いや死ぬ。なんだこのドッキリは。

 というかなんで寝る前にこんな白紙の日記ばらばら~とかめくって見たんだよ俺! 目も覚めたわ! どこぞのメガシャキよかよっぽど目が覚めたわっ!


 あ~、ダメだやっぱり動揺してやがる。

 つーかマジありえねぇ、なんだこの日記帳の最後のページは。

 デ●ノートか? 重要そうでいて一番後味悪い事最後のページに書いてんじゃねぇよ、責任者出てこい。


 こいつのせいで一日に二回も日記書くとか訳わかんねぇ事しちまってるじゃねぇか。

 え? マジなの、この取説。なんの恨みがあってこんな説明書きが載ってんの?

 死ぬの?

 え? なにこの一文。


『あなたの恋を応援します☆ 当選おめでとうございます、あなたは記念すべき十万人目の初恋を日記に綴る痛い女の子です。』

『さぞかし暗い青春を御送りの事だったでしょう。心中お察し致します。』

『しかし我々はあなたに薔薇色の恋物語をお約束しております』

『何故なら、あなたはこの日記を最後まで書いて、この最後のページに記されたこのメッセージを受け取っているのでしょう?』

『でしたら、あなたはもう既に素敵な《女の子》として充分過ぎる程に充実した日々の生活を満喫している事でしょう』

『その恋をお大事に』

『あなたの恋をずっと応援しています』



 ……ざーっと書き出してみた。とりあえずまて、俺は男だクソ野郎。

 書き出してよくわかる。冷静が、沈着した。これは日記帳のメーカーかなんかがノルマUPってか売上貢献の為になんかてきとーな一文を載せただけだろ。


 落ち着いてみれば、なんて事もなかったな。


 女の子ってーのはこういうファンタジーっぽいもんが好きと相場は決まってんだ、占いとか今日の運勢とか運命の赤い糸とか。いや、もうなんかもう指が疲れてきた、マジで寝よう。さらば世界、こんにちは新しい世界。ノシ





 四月●日


 死のう。

 ありえない。

 なにこの嫌がらせ。どうせなんか起きるかもとか思って寝たけど正直これはないわー。


 あぁ、オチはちょっと読めてたよ?


 もしかしたら俺が女の子になって~とか、日記帳から恋の女神が現れて~とか。


 ちょっとはそんな期待をしたさ。だってそうだろ? 脳みそアッパラパーでお花畑満開の脳みそで買った日記帳に、なんか意味ありげに載ってるんだもん。

 まぁいい。全然良くないけどまぁいい。まずは落ち着いて素数を数えてから……。あ、ありのまま今朝起こった事を話すぜ、俺は洗面所にはいって歯を磨いていたと思ったら、



 上半身に、大きなメロンが二つあっった。

 そしてそのメロンは脂肪で出来ていた。

 カップとかよく知らんがとにかく巨乳だった。しかも美乳。

 その上、背中には半透明の鳥みたいな羽まである。



 そして何故か、下半身にはキチンと、男の象徴たるモノがついていた。


 ……つまり、上半身は鳥女(?)で、下半身は男ということになるな、うん。




 ……え?

 

 なにこれ、俺まじでどうなんの?

 



                      ―――《恋する乙女の応援日記》より抜粋―――


……これからどうなる主人公。そのタイトルの返信は作者にもできません;;

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