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地獄の底からM N D

文夫の(ジャック第5部)をムーンハイツで読んだ、大原(旧姓、綾瀬)彼女が解き明かす過去の真実

     インターホンの音で我に返る。

    滴を拭いドアを開けると霞だった。

   「ちぇーーす」

    と元気良く挨拶したものの大原の様子に気付き気まずそうに固まった

   「おー地獄の底から蘇ってきよった」

   「なんですか・・それ?」

   「まだ読んでないの?・・はい」

   スマホに(GOOD by MND)を出して霞に渡した大原はダイニングテー

   ブルにコーヒーを置きノートパソコンを開いた。この現状を文章化する

   のだ。  

   「肝臓って痔になるんですか?」

   {ガンって読むんですけど}

   「地獄から蘇るってなんですか?」

   「そのページで死んだって描いてるやろ」

   「え・死んだって書いてました」

   「死んだと書いてます」

   「先輩ほんまに投稿するんですか?」

   「あったりまえや・・マツコ」にこんなたっかいネックレス売り付けら

    れて5万やで5万」

   胸元に輝くピンクゴールドとシルバーのトップのネックレスを指先で摘

   んだ。 

   「何で先輩そんなん買ったんですか、それ、いいとこ2~3千円ですよ

   ね。別にろくにゃんの事好きでもないのに」

   「なんでやろAgain読んだら、そうするしかないって思ったんや」

  

   大原はあの秋の夜の事を思い出していた

   (アローム完全になくなったよ!)

   上田から届いたメールを見た時胸が軋んだ、見に行く程の事ではない。

   自分がアロームでバイトしたのは1年そこそこだそんなに思い入れがある   

   わけではない。しかし気付けば綾瀬は自転車のペダルを踏んでいた。真月

   なのだろうか良く晴れた夜空は暗く星が美しかった。何処からか金木犀の

   香りが漂ってきた。

    アロームの敷地は暗い闇に包まれていて路肩に1台のバイクが留まって

   いた。暗くて読めないがたぶん(関係者以外立ち入り禁止)と書かれたテ

   ープに囲まれた敷地の中に一人の人影が見えた。  

   「あ・・・・・」

   思わず小さな声が出た。マスターだった。向こうを向いて立ち尽くす彼に

   声を掛けようと近づいた時、彼の肩が震えている事に気付いた。

   えらいとこに来てしまった。しくしくと肩を震わせていた彼は、やがて跡

   地の中央に座り込んでしまった。体育座りをして俯き両手で地面を撫でて

   いた。見てはいけないものを見てしまった気分だった。オーナーシェフの

   成れの果てか・・

   声を掛ける状況ではない。そっと彼の背後から離れ自転車のペダルを踏んだ  

   帰り道涙が溢れ出た。

   「あほやなー」

   いまの自分にはどうする事もできなかった。

   

   霞からネックレスの経緯を聞いた大原は千尋に売って欲しいと頼んだのだ。

   「まあ、印税入ったらチャラやけどな、(ジャック)は絶対売れる、ほんだら

   ガッホリ入ってくる」

   「ほんだら、じゅうりゅうせん・・治療うけれるな!」

   「え・・・・・」

   「じゅうりゅうせん・・って何?・・うち肝臓は大丈夫やけど痔なんですよ

    内っ側の」

   「痔に重粒子線治療はせんやろ」

   「ろくにゃんに文句言うたろ!」

   霞は文夫のアドレスに発信した

   

   文夫の携帯の着信音が鳴りディスプレイにMNDフードが光った

   「おー地獄の底から蘇りましたか?」

   「誰が地獄ですか、どうせやったら、天国にしてくださいよ」

   「まあ、MNDには地獄でしょう」

   「MNEにして下さい」

   「ないそれ?」

   「ミッド・ナイト・エンジェル」

   「エンジェルだったら A ですけど」

   「え・・ほんまに?・・・あんな・ろくにゃん今な・・」

   「わーーーー」

   大原は両手を交差して静止を求めた

   「知ってるって茜さんいるんやろ」

   霞は大原に振り返った

   「二人とも知ってるんですよねー」

   「知っているのに知らん振りーなーぜーなーぜーなーの」

   大原と文夫は同時に言った。

   「なんなんですかそれ?」

   「お父さんに聞いたら分かる!」

   また二人同時だった。


   文夫は思った。二人は再会することはないだろう。いや、むしろ自分達はもう

   一つの所に存在するのだ。綾瀬に対する永遠の愛を手に入れた。恋愛を成就する  

   という事はつまりはそういう事なのだ。これから先もずっと綾瀬の事を好きでい

   られる。切った携帯に文夫は囁く様にいった。

   「ありがとう」


   パソコンのキーボードを叩いていた大原の美しい指が止まった。

   「よっしゃー・・でけたーー!」

   次話投稿をクリックした。




















































    

  どうでした?物語としてこれで上手くまとまったと思います。でもまだ終わり

 ではありません。2部続けて急ぎで私が投稿したのには理由があります。マスタ ー、いえ、文夫君まだムーンハイツには行ってはいけません。なぜなら、この次 の第8部であなたはムーンハイツに行くのですから、でもそこには大原逸美は

 もういません。ごめんね!

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